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(更新: ORICON NEWS

「なんであの人が適応障害?」深田恭子の報道で注目、経験者が明かす「生きることを諦める前に」すべきこと

「生きることを諦めてしまう前に、まずは周りの人や専門医に相談してほしい」

――乃樹愛さんは、退職を選択しましたが、なかなか仕事を手放すことを決断できない人もいるのではないでしょうか?

乃樹愛さん そういう人も多いでしょうが、まずは自分の身体が優先。自分がいなくなって会社が回らないのならば、そんな会社は遅かれ早かれつぶれると思います。不調を感じているのに我慢して、病気を長引かせてしまうことが一番怖いと思います。

――退職を決断したとき、未来を考えると怖さはありませんでしたか?

乃樹愛さん もちろん不安でした。だから私は、退職をするのか、それとも休職にするのかどうかもカウンセラーの先生と相談しました。当時の自分は判断力もない状態だったので、客観的に判断してもらう必要があったんですよね。

――結果的には良い決断だったのですね。

乃樹愛さん 当時は、先のことまで想像はできませんでした。まさか、いまこうして漫画家として活動できるなんて…会社を辞めるときはまったく思ってもいませんでした(笑)。そのときは不安があったとしても、生きていればこうして予想もつかない未来が待ってることもあります。生きることを諦めてしまう前に、まずは周りの人や専門医に相談してほしいです。

かつては少なかった適応障害の情報、今では変化も

――日々生活をしているとストレスはどうしても感じてしまうものですが、どうやって予防をしたらいいと思われますか?

乃樹愛さん 基本は規則正しい生活です。しっかりご飯を食べてよく寝ること。心の病気の症状は睡眠に現れやすいと聞きます。睡眠の質がよくなかったり、なかなか寝付けなかったりする時も、気軽に専門医に相談してみましょう。また、人と繋がることも大切。コロナ禍でなかなか難しいですが、SNSなどもありますので、うまくコミュニケーションを取ることが大事だと思います。人は、人との繋がりを実感すると、幸せホルモンが出ると言われています。誰かと繋がることで自分の社会的価値を認識できますし、「自分はここにいていいんだ」と思えて、気持ちもラクになると思います。

――「なにかおかしい」と感じたら、周囲の人はどういった対応を?

乃樹愛さん いろいろできることはありますが、やっぱり受診を勧めてください。私自身、適応障害を発症したとき、母から厳しい言葉をかけられたこともありました。自分で精いっぱい頑張っているときに「もっと頑張れ」と言われると、心が折れてしまう。まずは専門家に見てもらうことが一番だと思うので、周囲の人は受診できるようにうまく導いてあげてほしいです。

――乃樹愛さんが著書やブログなどでこうしたことを発信する意味は?

乃樹愛さん 一人で悩まず、専門家に相談してほしいということを伝えたいんです。真面目な人ほどどうしても、「うまく適応できないのは自分が悪い」と考えてしまいがち。そこで我慢してしまうと、症状が長期化、悪化してうつ病などのその他の疾患に移行する可能性もある。そういう人を少しでもなくしたいという思いはあります。

――そうした思いは届いていると思いますか?

乃樹愛さん 少しずつですが感じています。私が最初に適応障害の本『なんで私が適応障害? −暗闇の中で光を見つけた私。−』(合同出版)を出したのは、2018年の12月。当時は適応障害に関する情報はほぼなかったのですが、いまはこうして注目してくださる方もいて、向き合おうとしてくれる方が増えていることは実感しています。

――いま、適応障害で苦しんでいる方に伝えたいことは?

乃樹愛さん まず、その日一日過ごせた自分を褒めてあげてほしいです。先のことを考え過ぎると、不安でしかない。一日を積み重ねていくことで未来が見えてくるので、一日無事に生活できれば、それだけですごいことなんだと思って欲しいです。

(文:磯部正和)
Profile 乃樹愛(のきあ)。マンガ家。大学卒業後、入社した教育関係の会社で適応障害を発症。休職の末、退職。著書に、コミックエッセイ『なんで私が適応障害? −暗闇の中で光を見つけた私。−』(合同出版)、『適応障害 治した私/支えた私』(ナンバーナイン)。
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