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「不安とイライラが止まらない…」急増する“産後うつ”とDV、レディコミで描かれる体験者のメッセージ
「私だけがしんどい…」という錯覚を起こす“産後うつ”
虐待は乳幼児から始まることが多く、その原因の1つとされるのが「産後うつ」だ。
「産後は精神の安定を司るホルモンが減少し、寝不足も重なってネガティブになりやすいんです。旦那さんが家事や育児に参加しても期待よりできていないと感じ、その分だけ怒りや悲しみが大きくなることも。私だけが我慢している、私だけがしんどいという“錯覚”を起こしてしまいやすいんですね」
その結果、もっとも身近な我が子に当たってしまうことも…。怒りをコントロールするには、まずは感情のトレーニングから始めてほしいと島田さんは言う。
「まずは反射的に怒鳴らない、怒らない、モノに当たらないと決めて実践してみてください。人間が怒るときにはアドレナリンというホルモンが分泌されるのですが、深呼吸をしてその場を離れて違うことをすると、アドレナリンを鎮めることができます」
産後うつは、出産した女性の10数%が発症するとされる身近な症状。程度の差はあるが、軽ければ数週間でホルモンバランスも整って抜け出せるという。もちろん不調が続くようなら、心療内科やメンタルクリニックに相談したほうがいいだろう。
幸せになるために「ズルく賢く立ち回ることも必要」
御年73歳となる井出さんが漫画を描き続けるモチベーションは、自身と同様にDVに苦しむ女性たちに寄り添い、抜け出すためのヒントやアドバイスを伝えることだという。
「幸せになるために、ときにはズルく賢く立ち回ることも大事。漫画には旦那をあざむく方法もいっぱい書いています。私の漫画で救われる女性が1人でもいることを、心から願っています」
DVだけでなく、浮気や借金まで重ねていた元夫とは10年の離婚調停の末、決別した。離婚の条件の1つは、莫大な借金を井出さんがかぶることだった。
「長いこと漫画を描いてきてレディコミ全盛期も経験していますが、ブームが去ってからは大変でした。借金を返し終えたのもつい数年前のことです。DVを受けながらも、経済力が理由で離婚できないという女性は多いんです」
コロナ禍により、さらに経済力が心許なくなった女性は多いだろう。親族や友人の元に身を寄せるのもためらい、「いつか心を入れ替えてくれるかもしれない」と耐えている人もいるのかもしれない。
しかし井出さんは、「DVは決して治りません」ときっぱり。自治体や支援団体などDVの相談窓口はたくさんあるので、「スマホなどで情報収集してください。くれぐれも旦那にバレないように!」と力強くメッセージを送っている。