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コロナ禍で需要増、72歳“レディコミ”の女帝が語る使命感「壮絶DVに旦那の不倫も経験」
こっそり読むレディコミは「ウェブとの相性抜群」
井出さん80年代にレディコミの大ブームが来て、そのときは1ヵ月400ページも描いていました。普通の作家の1年分で、アシスタントも10人いましたから。現役女性漫画家としては世界一といってもいいかも…。まあ、だからと言って世界的に有名でもないし金持ちでもありません。レディコミは単行本化がほとんどされないから、雑誌で読むしかないんですよね。日本の特殊なジャンルだからこそ、隠れ読者が多くて支持されていたんだと思います。
──今なおご健筆です。失礼ですが、先生は御年…。
井出さん72歳になりました。でも頭は冴えわたってるし、創作意欲もぜんぜん衰えていません。しかもね、ウェブ漫画の時代になって私の漫画のファンがすごく増えてるみたいなの。レディコミってね、基本的にこっそり隠れて読むものなんです。
だってお姑さんのいる家に『実録!嫁姑バトル』なんて置いとけないでしょ(笑)。旦那さんの前で『ドロドロ不倫モノ』なんて読めない。私の漫画はエロ描写が激しいものも多いですしね。読んでスッキリ、読んだあとはキレイさっぱり澄まし顔していられるウェブ漫画は、レディコミととても相性がいいんだと思いますよ。まあ、雑誌と比べると原稿料は安いけど、年金の足しにはなるかしらね(笑)。
「生活するため」、少女漫画からレディコミに転身
井出さん生活のためです(キッパリ)。もともと私はミステリー好きだったので、森村誠一先生の小説のコミカライズをたくさん担当させてもらってたんですね。それがすごくウケたんですが、また私は激しい感情表現を描くのが得意だったので、編集者が『もっと過激なエロを』と求めてくるようになったんです。それでますます読者にウケて。森園みるくさん、伊万里すみ子さん、そして私の3人で、“3大エロ女性漫画家”って呼ばれてたこともありましたね。
──『りぼん』などの少女漫画を描いていた先生としては、不本意ではなかったですか?
井出さんぜんぜん。ジャンルではなく、漫画を描くことが私にとっては何よりもの喜びでしたから。たしかにバカにしてくる男性漫画家もいましたし、『なんであんな漫画描くの?』と言うお友だちもいましたよ。だけど(元)旦那は働かないし、育ち盛りの子どもが3人いましたしね。『子どもたちを食べさせるためです』って言うと、みんな黙りました。