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うつ病の彼氏と別れを決断、「恋人と最後まで寄り添うべきなのか…?」批判受けても発信する意味

 うつ病の彼氏と別れるまでの自身の実体験を、インスタグラムとブログで発信するはなさん。「好き」という気持ちだけではどうにもならない日常の積み重ねを赤裸々に描く中で、多くの心無い言葉や批判も受けてきたという。罪悪感を抱きながらも発信し続けるはなさんに、作品に込める想いを聞いた。

多くの批判や意見を受けて、繊細なテーマだと再確認

――『うつ病彼氏と別れるまでの話』を漫画として発信しようと思ったいきさつを教えてください。

【はなさん】そもそも同棲開始当初は、「大好きな彼氏が弱っているから、私が支えたい!」という一心で、一人暮らしをしている彼の家へ転がりこみました。しかし、一緒に生活をしていくうちに「好き」という気持ちだけではどうにもならないことが積み重なりました。周りに相談しても、友だちや家族からは「別れたら?」のひと言で終わります。そんなモヤモヤを解消したくて、ネットで体験談を検索しましたがなかなか見つからず、「それなら私が描こう」と思ったんです。

――同じ境遇の人たちに自身の体験を伝えようと?

【はなさん】私のようにうつ病のパートナーがいて、問題を抱えている人はほかにもいるはず。おこがましいかもしれませんが、私の体験談で誰かが癒やされるかもしれない、誰かの悲しい気持ちに寄り添えたらと思いました。

――“うつ病の彼氏と別れる”という内容が批判を浴びるかもしれないという不安はありませんでしたか?

【はなさん】批判は常に受けています。当初のタイトルは「うつ病彼氏と別れたい」でした。それに対して、「まるでうつ病だから別れたいみたいじゃないか」「うつ病の人は恋できないのか!失礼だ」というご意見をたくさんいただきました。私としてはまったくそんな意図はありませんでしたが、配慮が欠けていたと反省し、現在のタイトルに変更しました。そこでようやく、これは本当に繊細なテーマなんだと再確認しました。

――実際にどのような批判を受けましたか?

【はなさん】「タイトルのせいで他のうつ病患者のイメージが悪くなる。漫画描くな」、「この漫画をうつ病の人がみたら悲しくなる。ひどい」などです。そういうご意見を目にするたびに、「何のためにこの漫画を描いているのか?」と考えさせられます。

――そうした声を受けて描き方の変化はありましたか?
【はなさん】うつ病とひと口に言っても、その症状や反応は人それぞれです。「私がお付き合いしていた人と私たちはこんな感じでした。よかったら参考にしてね」という心づもりで描いています。批判や意見を受けて、うつ病の方を批判する気持ちは一切ないこと、ただありのままの生活や心の機微を繊細に描くこと、この2点に重心を置きました。

辛かったのは「彼の具合の悪さに、自分も引き込まれてしまうこと」

――うつ病を克服しようと2人で前向きに取り組んだシーンもありました。

【はなさん】「こうしたら治る」が個人によって違いますから、本人も周囲も向き合うことが難しい病気です。はじめは「彼を支えたい」「元気な私が一緒にいれば大丈夫」と思っていましたが、いつしか「このままでは共倒れしてしまう、離れた方がいいのでは…?」という気持ちに変わっていきました。

――彼を支える日々のなかで、どんなことが辛かったのでしょうか。

【はなさん】彼の顔色が悪いときに顔を合わせると、私まで食らってしまうことが何より辛かったです。本人はなにも悪くないし、その辛さといつも闘っていることは重々承知です。それでも、私の気持ちも引っ張られてしまう。そんなときは離れたいと思ってしまうことにも、さらに罪悪感が募りました。

――別れることに対して、「病気の彼を見捨てる」という罪悪感との葛藤があったんですね。

【はなさん】彼の場合、実家が近いわけでもなく、家族とも疎遠で友人も少なめ。私と別れたらどうやって生きていくのだろうと常に不安でした。自分を優先するべきか、彼を優先するべきか。同棲していた間はこの2択にいつも頭を悩ませていました。

――そうしたなか、限界を感じた決定的な瞬間があれば教えてください。
【はなさん】よくケンカをしていたのですが、ヒートアップした彼が物に当たることが続き、「もう一緒にいられない」と思いました。「今は物だけど、いつかは私に当たるかもしれない。もし結婚して子どもができたらその子も危ないかもしれない」と怖くなり、その日のうちに家を出ました。

「よかれと思っていたことが彼を傷つけていた」悲しい現実も…

――うつ病の彼の言葉に傷ついたことはありますか?

【はなさん】別れたあとの話ですが、彼のSNSに私と付き合っていた頃を振り返って「彼女が優しすぎてそれが逆に辛いときもあった」と書かれていたことがありました。それを見て正直困惑しました。当時、弱っている彼を目の前にして優しくするしかありませんでした。それが彼を傷つけていたことを知り、とてもショックで悲しかったです。ただ、彼にアウトプットする元気があることを知り、よかったなとも思いました。

――うつ病のパートナーを持つ読者からの反応はいかがですか?

【はなさん】いちばん多いのは「不安なのは自分だけじゃないとわかって、安心しました」というメッセージで、この漫画を描いて本当によかったと感じています。中には、「当時はすごく悩みましたが、別れた今ではあのとき決断してよかったと思っています」「うつ病を患うパートナーと結婚していて、子どももいます。しんどくないと言えば嘘になりますが、パートナーのことが本当に大好きなので、結婚してよかったです」という方もいました。

――パートナーがうつ病で悩む人にメッセージをお願いします。

【はなさん】本気で悩んでいるのは、相手のことが大切だから。人のことを考えられる優しい人なんです。でも、それと同じくらい自分自身のことも大切に考えてください。自分が幸せだと感じていない人が、他人を幸せにすることは難しいと思います。まずは自分の人生において何をすべきか、何をしたいかを優先し、余裕ができたらまわりを助ける。自分を後回しにしないことを大切にしてください。
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