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脚の筋肉を理解し、健康な足腰を維持するためのガイド【プロが教える筋トレ】

脚の筋肉を理解し、健康な足腰を維持するためのガイド【プロが教える筋トレ】

著者・監修者プロフィール

和田 拓巳
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療サポートの経験も豊富で、ケガの知識を活かしリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・トレーニングに関する講演会などの講師を務めること多数。テレビや雑誌にて出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆・監修を行い、フィットネスに関する情報を発信している。

Official site:https://wada0129.wixsite.com/takumiwada(外部サイト)

Facebook:https://www.facebook.com/pt.wada(外部サイト)
健康的な生活を送るためには、健康な体が必要だ。しかし、体は年とともに着実に衰えていく。
でも大丈夫。この衰えは、しっかりと対策をしておけば、防ぐことができるのだ。

今回は衰えやすい脚に着目し、健康な足腰を維持するための方法を解説していく。

脚の筋肉について

まずは、脚の筋肉にはどのようなものがあるか確認してみよう。


■大腿四頭筋
大腿四頭筋は、太ももの表に付着している筋肉だ。大腿直筋・内側広筋・外側広筋・中間広筋という4つの筋肉の総称で、骨盤や大腿骨から脛骨にかけて走行している。膝関節を伸ばしたり、股関節を曲げる働きを持つ。


■ハムストリングス
ハムストリングスは、太ももの裏にある筋肉だ。ハムストリングスは、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋という3つの筋肉を合わせた総称で、骨盤〜脛骨・腓骨にかけて走行している。大腿四頭筋の反対の働きを持ち、股関節を伸ばしたり、膝関節を曲げるときに働く。


■内転筋群
内転筋群は、太ももの内側にある筋肉だ。大内転筋・短内転筋・長内転筋・恥骨筋・薄筋の総称で、骨盤や恥骨から大腿骨にかけて走行している。脚を内側に閉じるような動きや、股関節を伸ばすときに働く。


■下腿三頭筋
下腿三頭筋は、ふくらはぎに付着している筋肉だ。腓腹筋とヒラメ筋の総称で大腿骨からカカトの骨である踵骨に、ヒラメ筋は脛骨・腓骨から踵骨に向かって走行している。つま先立ちをするように、足首を伸ばしたり、膝を曲げるときに働く。


大まかに分けるとこの4つとなるが、いずれも複数の筋肉の総称であり、多くの筋肉で構成されているのがわかるだろう。それぞれの筋肉の働きは少しずつ異なるため、細かく筋肉を鍛える場合は、エクササイズの姿勢や動作を少しずつ変える必要があることも覚えておこう。

脚の筋肉と健康との関係

では、脚の筋肉がどのように健康に関与しているのかを確認してみよう。


1.基礎代謝の維持
脚の筋肉は、体の中でも大きいものが多い。
大きい筋肉が多いということは、エネルギー消費量も多いということだ。

トレーニングによって筋肉量を増やすことで基礎代謝が高まり、太りにくく痩せやすい体になることができる。


2.関節への影響
年齢を重ねると、膝や腰などの関節の痛みを訴える人が増える。
これは関節だけではなく、下半身の筋力の問題でもある。筋力が低下することによって、関節にかかる負担が増えてしまうからだ。
脚は、常に体重を支えているため負担が大きく、上半身の関節より痛みが出やすいだろう。

また、以前ケガをしたことがある部位は要注意が必要だ。関節にある靭帯や腱や軟骨は、一度損傷してしまうと、完全に元の状態まで回復することはない。消耗品なのだ。
そのため、関節まわりの筋肉の筋力が低下してしまうと、痛みが生じてしまう。


3.骨密度の増加
筋肉同様、骨も年齢とともに弱くなり、骨密度が低下していく。
骨密度の低下は、痛みなどが一切ないため、自分では気づきにくい。

転倒した際や重いものなどをもったときに、骨折するリスクが高まる骨粗鬆症は、筋トレなどの刺激によって防ぐことができる。特に脚の筋トレは、骨を強くするのに効果的だ。


4.姿勢の維持
大腿四頭筋やハムストリングス、下腿三頭筋は、「抗重力筋」だ。抗重力筋とは、立ったり座ったりする姿勢を常に保つために、重力に負けないように常に力を発揮している筋肉たちのことを指す。重力に対抗する筋力が低下してしまうと、姿勢は悪くなっていってしまうのだ。


5.疲れにくくなる
脚の筋力の低下は、日常生活での様々な動作にも影響を及ぼす。歩く・走るはもちろん、立ち上がる、階段を昇降する、物を持ち上げるなど、多くの動作が行いにくくなったり、できなくなることもある。


逆にしっかり筋力を高めていれば、動作を楽にできるだけでなく、疲れにくくもなるだろう。

足腰の筋肉が衰える原因

なぜ、足腰の筋力は低下してしまうのだろうか。ここでは足腰が衰えてしまう原因を探ろう。
■廃用性筋委縮
体を動かす機会が少なることで、体の機能は徐々に衰えていく。特に筋肉は顕著だ。

筋肉は、外部からの刺激が少ないと、必要ないと判断され、委縮して衰えていく。これを「廃用性萎縮」という。例でいうと、骨折による長期間のギプス固定がわかりやすいだろう。固定され筋肉を使えないことで、筋肉は細く弱くなってしまう。

筋肉量は20代をピークに徐々に低下していくが、高齢になるにつれてその減少率が顕著になっていく。筋肉を維持しようと意識していないと、徐々に日常生活にも影響を及ぼすことになるのだ。


■サルコペニアとフレイル
近年、加齢による骨格筋量や筋力の低下によりおこる「サルコペニア」と「フレイル」を予防することが重要視されている。

フレイルとサルコペニアは関連が深い概念だが、それぞれに若干違いがあるので確認していこう。

●サルコペニア(sarcopenia)とは、
「高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下」と定義されている。
(『サルコペニア診療ガイドライン 2017 年版』(日本サルコペニア・フレイル学会、2017)

簡単に言えば、加齢に伴う “筋肉量や筋力の低下” を指す。

●フレイル(frailty)とは
「要介護状態に至る前段階として位置づけられるが、身体的脆弱性のみならず精神心理的脆弱性や社会的脆弱性などの多面的な問題を抱えやすく、自立障害や死亡を含む健康障害を招きやすいハイリスク状態を意味する」と定義されている。
『フレイル診療ガイド 2018 年版』(日本老年医学会/国立長寿医療研究センター、2018)

フレイルは加齢により筋肉量や筋力だけでなく、疲労、体重減少、歩行障害、認知機能低下など多面的に心身の活力が低下した全身的な虚弱状態を指す。


つまり、サルコペニアはフレイルの主要な要因の一つであり、フレイルはサルコペニアに加えて精神機能や認知、社会的側面の問題も含む包括的な概念のことを指している。

サルコペニアやフレイルを防ぐためには、運動によって筋肉を鍛えたり、しっかり栄養を摂る必要がある。また、対策を始める時期が早ければ早いほど、予防の効果は高いといえるだろう。

脚の筋肉を鍛えるために日常でできるエクササイズ

ここでは、簡単に行えるエクササイズを紹介していく。スキマ時間にもできるので、こまめに取り組んでほしい。
■ワイドスクワット
1.足を肩幅よりも拳2〜3個分程度広めにして立つ。つま先を45°程度外側へむけ、両手は胸の前で組んでおこう。
2.胸を張ったまま、股関節と膝を曲げて体を下していく。動作中、膝が内側に入らないように、つま先の向きと同じ方向に膝を曲げていくようにしよう。
3.太ももと床が平行になるまで体を下げたら、股関節と膝を伸ばし元の姿勢に戻る。

動作はこちら→https://www.oricon.co.jp/special/66543/#link6

大腿四頭筋と大臀筋を鍛えるスクワットだ。オーソドックスなスクワットより足幅を広くすることで、内転筋群も同時に鍛えることができる。足を広げるとバランスが悪くなるので、動作やフォームに気をつけること。
■ニーアップ
1.両手は腰にあて、足を閉じて立つ。
2.膝を曲げながら、高く上げていく。太ももが床と並行になるところまで意識して上げてみよう。
3.持ち上げられるところまで上げたら、脚を下ろし元の姿勢に戻る。反対側も同様に行おう。

このエクササイズは、膝を高く上げることがポイント。回数よりも、1回1回、しっかりと膝を持ち上げられるところまで上げることを意識して行おう。
■カーフレイズ
1.腰幅程度に足を開き、立つ。不安定になりやすいので、壁などに手をついて体を安定させておこう。
2.カカトを地面から浮かせ、つま先立ちになる。
3.上げれるところまで上げたら、カカトを下ろし元の姿勢に戻る。

動作はこちら→https://www.oricon.co.jp/special/55142/#link11

まずは平らな地面で行い、慣れてきたら、段差を活用しカカトが常に浮いた状態を作ると、足の関節可動が大きく使えて負荷が高まる。

脚の筋肉をサポートする栄養

運動と同じくらい重要なのが、栄養摂取だ。
特にたんぱく質は、筋肉の元となる栄養素であり、運動と並行してしっかり摂取することで、効率よく筋肉を作ることができる。
サルコペニアやフレイルを予防するためには、1日に(適正体重)1kg 当り1.0g以上のたんぱく質摂取は、サルコぺニアの発症予防に有効である可能性があり、推奨するとされている。(※)
(※一般社団法人日本サルコペニア・フレイル学会「サルコぺニア診療ガイドライン2017年版」より引用)

高齢になると、たんぱく質摂取量が低下してしまう。お肉の脂や食べにくさが敬遠される原因だ。しかし、肉は重要なたんぱく源。積極的に食べるようにしよう。
肉が食べられない場合は、魚・卵・乳製品・大豆などがいいだろう。サプリメントも活用することで、たんぱく質量をしっかり確保することができる。

たんぱく質をしっかり摂るなら、同時にビタミンBの摂取も増やしたいところ。

ビタミンBのうち、ビタミンB6やビタミンB12は、たんぱく質を代謝する重要な働きを持っている。たんぱく質を多く摂取しても、ビタミンB群の働きがなければ、効率よく体内に吸収することができないのだ。たんぱく質の摂取量とともに、ビタミンB群の摂取量も増やしていこう。
●おすすめの食材
たんぱく質やビタミンBの多い食材については、過去記事
「タンパク質が多い食べ物ランキングTOP100【食品一覧】」
「タンパク質豊富な食べ物とその効果」
を参考にしてもらうとよいだろう。

脚の筋肉の健康を維持するための生活習慣

脚の筋肉を維持するのは、難しいことではない。日ごろからの心がけをしておくことで維持することができる。ここでは生活習慣に取り込める予防法を紹介しよう。

1.歩く時間を増やす
もっとも簡単な筋肉の維持方法、それは「歩行」だ。歩く時間を増やすだけで、筋肉の維持につながる。

●正しい姿勢
歩くときは背筋を伸ばし、胸を張った姿勢を保つこと。といっても、胸を張ろうと腰を強く反ってはNGだ。頭を真上から引っ張られているように意識すると、自然とよい姿勢になる。軽くあごを引き目線を正面に向けることで、猫背を防ぐことができる。

●歩き方
歩く際、つま先で蹴ることを意識すると、足の裏の痛みが起こるリスクが高まる。重心を前にかけながら、自然と地面から脚が離れるように歩こう。
ウォーキングの歩幅は、【身長-100cm】が目安。ただし、効果を高めたいのであれば、少し歩幅を大きくして【身長-90cm】くらいに広げるといいだろう。
歩行速度は早歩きが理想だ。意識して早く歩くことで効果が高まるだろう。

●歩く時間
ウォーキングを行うなら、少なくても20分くらい続けて行おう。
また、歩数を目安にする方法もある。
健康寿命を延ばすこと、社会生活に必要な機能向上を図ること、生活習慣病予防を徹底することを目的とした歩数の目標値として、20〜64歳までの男性の場合、1日9,000歩と設定されている。(※)
(※厚生労働省「健康日本21」)

しかし、9,000歩は思った以上に大変だと感じる人が多い数値だ。まずは、歩数を意識せずに歩数を増やすことを心がけるところから始め、徐々に9,000歩に近づけていくといいだろう。

このように、歩く一つとっても、意識したいポイントがいろいろある。まずは、歩いている時間を多くすることを目標に、慣れてきたら歩く距離や、歩行速度を意識していくとよいだろう。
飽きを防ぐために、歩くルートも考慮するのも良い。坂道があれば、筋肉に与える負荷も高まり効果的だ。

2.意識して階段を歩く
これも簡単だが、階段を使うだけで筋肉への刺激がグッと高まる。
階段の上り下りは、ハードであることは確かだ。体力のない人は、まずは下り階段だけを使うことから始めてみよう。

3.ストレッチ
しっかり歩いたら、ストレッチも行おう。残念ながら、ストレッチ自体に筋肉量を増やす効果はほとんどない。しかし、ストレッチで柔軟性を高めることで、歩幅が広がったり体が動かしやすくなるなど、ウォーキングを行う際のメリットにもなる。

ストレッチは、痛みを感じるやり方はNGだ。呼吸を止めず、ゆっくり筋肉を伸ばして「気持ちいい」「突っ張った感じがする」くらいでキープするようにしよう。

まとめ

下半身は、上半身に比べ筋肉が落ちやすい。それだけに、日ごろからしっかり歩いたり、筋トレをしておく必要があるといえるだろう。

若いころは筋力の低下を感じることが少ないため、自分は大丈夫と思いがちだ。しかし、何もしなければ着実に筋肉は衰えていく。早い段階から長期的に予防対策をしておくことが重要だ。

筋力維持向上とともに、ケアもしっかり行い、健康な足腰を維持するようにしよう!
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