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「“映え”だけじゃダメだ!」ブームのコラボカフェ、最後発サンリオカフェのガチすぎる“おじさん社員”の汗と涙「正気を疑われたことも」

 ブームを超えて、今やすっかり定着したコラボカフェやキャラクターカフェ。人気キャラクターやアニメがあしらわれたメニューや店内はSNS映えもするとあって、食事だけでなく撮影を楽しむ人も多い。一方で近年は、出されたメニューをほとんど残して帰る客が社会問題にもなっている。こうしたカフェに求められるのは、味か映えか? 2020年6月にオープンした初の直営店『SANRIO CAFE(サンリオカフェ)』が、3年経った現在も連日大盛況となっているサンリオのフード・レストラン課に話を聞いた。

“映え”だけでいい? 大盛況ながら味は…ブーム当初のコラボカフェの様相

 キャラクターやアニメ、アイドルをテーマにした飲食業態が始まったのは、90年代後半頃とされている。ブームが加熱したのは2010年代に入ってからで、リリースなどに合わせて期間限定オープンするプロモーションは今や定番だ。

 2020年6月に東京・池袋に1号店をオープンしたサンリオカフェは、コラボカフェ、キャラクターカフェとしては後発組ながら、こちらは期間限定ではなく常設店舗。2021年5月には鎌倉に2号店をオープンしており、どちらもサンリオが直営している。

 サンリオとしてはもともと、キャラクターを前面に押し出した直営でのカフェ運営には積極的ではなかったそうだ。とはいえ、世間で大評判になっているコラボカフェとはいったいどんなものなのか。サンリオ社員たちも勉強のために足を運んだという。

 「たしかに、どこも大盛況でした。ですが、写真だけ撮って満足されるお客様も多く見られ、とても残念な思いをしたそうです」(サンリオ フード・レストラン課 シニアマネージャー・鈴木啓二さん)

 これではキャラクターも可哀想…。そんな思いがサンリオの創業以来の方針をぐるっと転換させた。

 「やる以上は“本物”でなくては、ファンにもキャラクターにも申し訳ない。そのためには瞬発力的な集客狙いの期間限定ではなく、味に満足してリピーターになってもらえるような常設のカフェをやろう。そんなミッションがフード・レストラン課に下ったんです」(鈴木さん)

サンリオとKFCの意外な関係も…、カフェワゴンで奮闘するもSNSに書かれる

 ところで、しばらく飲食を自社運営していなかったサンリオに、なぜフード・レストラン課という部署があったのか?

 「あまり知られてないのですが、サンリオでは70年代半ばから40〜50年にわたって、ケンタッキーフライドチキン(KFC)の一部店舗でフランチャイズをやっていたんです。当時はまだサンリオショップも少なく、店舗展開のノウハウを学ぶのが目的でした。その経験がいざ飲食事業を始めるにあたって、衛生管理や調理オペレーションといったマニュアルに生きました」(鈴木さん)

 といっても、サンリオの部署の中でもフード・レストラン課の人員は少ない。サンリオカフェに先立ち、2018年6月に移動販売車『サンリオカフェワゴン』をスタートした際には鈴木さん自らワゴンを運転し、販売をしたという。

 「SNSにもいろいろ書かれました(苦笑)。『おじさんがキャラクターのTシャツ着て頑張ってるのなんでwww』『ムリしてる!』とか。だけどお客さんと直接触れ合って、笑顔をいただいて、売上を会社に持ち帰る。この一連の仕事にサンリオの原点的なやりがいも感じていましたね」(鈴木さん)

やっと漕ぎつけたオープンはコロナ禍真っ只中、黒字化にかかった2年

 同時進行でサンリオカフェの準備を進め、池袋サンシャインという最高の立地も決まった。その矢先のコロナ禍だった。

 「お店がどんどん閉まっていくタイミングで、デベロッパーさんからは『正気ですか?』と。保健所からも『本当に今やるんですか?』と何度も確認されました。とはいえ準備に時間をかけてきましたし、もう引っ込みがつかないところまで来ていたんです」(鈴木さん)

 オープン当初は「サンリオが満を持して直営カフェをオープン」という話題性から、多くの客が詰め寄せた。しかし、度重なる緊急事態宣言。ありとあらゆる集客施策も街に人が出てこない状況では手の打ちようもなく、赤字はどんどん膨れ上がっていったという。

 「実のところ、初めて黒字になったのはオープンから2年経った昨年の夏頃のことなんです。今年の夏は状況もさらに良くなり、昨年比2倍。出店先の全飲食店で、対前年比の売上伸び率が1位になりました。社内でも『ようやく報われたね』と言われるのですが、耐え忍ぶ時期があまりに長かったので今の状況がちょっと信じられないところもあります」(鈴木さん)

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