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“スパ文化”を日本に根づかせた『スパ ラクーア』の20年 複合レジャー施設先がけの自負

 今年開業20周年を迎える東京ドームシティの『スパ ラクーア』は、都心で仕事帰りに天然温泉とリラクゼーションを楽しむスパ文化を根づかせた施設であり、長きにわたり同市場をけん引するとともに、昨今のサウナブームにつながる流れを作ってきた。いま全国に増える複合レジャー施設のロールモデルとなる先駆者『スパ ラクーア』が、女性に支持される背景には、韓国やヨーロッパなどスパ先進国の文化を日本流にローカライズする徹底したホスピタリティがある。

後楽園ゆうえんち再開発で女性への客層拡大を狙ったスパ施設『スパ ラクーア』

 『スパ ラクーア』が誕生したのは2003年5月。東京ドームに隣接する後楽園ゆうえんちの再開発により、都市型複合レジャー施設となる東京ドームシティの中に、「東京の真ん中でリフレッシュを楽しむこと」を提供するスパとしてオープンした。

 その背景には、それまでの後楽園ゆうえんちのほか、スポーツ関連を含む、後楽園レジャー施設の客層がファミリーや男性がメインであったことから、女性層の取り込みが掲げられたことがある。そこから、都心で働く25〜35歳の社会人女性をターゲットにコンセプトの開発が始まり、仕事帰りにリラックスした時間を楽しむことができるスパへと方向が定まる。

 温浴施設といえば、当時は健康ランドやスーパー銭湯、カプセルホテルに併設されたサウナなどが一般的だった。スパやエステといった女性向けの施設はあったが、高級感と共に高額であった。

 『スパ ラクーア』が開業に伴い目指したのは、入浴やサウナを楽しむだけではなく、さまざまなリラクゼーションサービスで心安らぐリラックスした特別な時間を過ごしてもらうこと。高級感を打ち出すスパで既存の温浴施設と同等の金額で差別化を図った。

韓国やヨーロッパなど先進国のスパ文化を日本人向けにローカライズ 女性向けに徹底した本物志向へのこだわり

 当時まだ日本ではそれほど知られていなかったスパの開発にあたり、スタッフはスパ文化先進国である韓国やヨーロッパ各国へ足を運び、その文化の良いところを日本人向けにローカライズして取り入れていき、『スパ ラクーア』オリジナルとなる日本式スパを完成させた。

 東京ドーム宣伝広告部の佐藤さんは、当時について「日本人にまだスパ文化へのなじみがなかったので、どういったものが女性に楽しんでいただけるのか、癒やしを提供するとはどういったことかなど、実際に各国で体験して日本式に落とし込んでいきました。“本物”を提供するために、スパ文化先進国の雰囲気やエッセンスを取り入れ、独自性を打ち出すことに試行錯誤しました」と振り返りながら、開発時からの本物志向へのこだわりをにじませる。

 そんな『スパ ラクーア』のもうひとつのこだわりが天然温泉。女性への癒やしの提供を追求する上で欠かせず、都心でのそのニーズも見込まれることから、コストとリスクを掛けた掘削へと踏み切る。その結果、地下1700メートルまで掘り進め、地表面41.3度の適温の温泉が出る。そうして日本の本格的なスパ施設の先駆けとなる『スパ ラクーア』が誕生した。

 泉質については、「約400万年前の新生代第3記上総層から湧き出ている天然温泉。約3万年以上昔の氷河期の海水が地中に閉じ込められたもので、「化石海水」とも言われます」と東京のど真ん中で天然温泉が楽しめる。

 都心で働く女性に向けて、エレガントかつ優雅さのある高級感あふれる本格スパとしてオープンした『スパ ラクーア』。従来の温浴施設とは異なるスパという形態であることから、その認知拡大とブランディングのための女性層へのアプローチにはさまざまな施策を打った。

 アメニティは細部にこだわり、高級志向の女性が好むブランドや製品の導入に妥協はない。シャンプーはシリコンとノンシリコンを備えるほか、化粧水や乳液なども数種類を常備。マーケティングを経て選別し、女性スタッフが実際に試用してから施設で提供している。

 サービスでは、季節やニーズに合わせ「SpiceとHerbで温活美人」など、キレイと健康をテーマにしたイベントを定期的に実施することで、多くの女性客を呼び込んでいる。

「時代によって変わるニーズに合わせていますが、当初は仕事に邁進する女性たちが夜遅くまで働いていました。そういった方々に、少しでも疲れを癒やし、リフレッシュしていただける施設として寄り添ってきました。全てのクオリティにこだわってきた結果、女性のお客さまを中心に支持していただくことができました。オープン時から来館者数は、順調に推移しています」(佐藤さん)

昨今のサウナブームにつながるスパ文化をけん引 過去最大規模のリニューアルで地域密着を強化

 空前のサウナブームと言われる昨今、プライベートサウナを含むサウナ専門施設などが全国津々浦々に新設され、女性専用の高級スパといった温浴施設も増えた。それと同時に、地方で新設される大型レジャー施設にはサウナやスパが付属するのが一般的になっている。その走りが東京ドームシティの『スパ ラクーア』だろう。佐藤さんは「新しいスパ施設がオープンする時には、運営会社から質問を受けたりします」と先駆者としての自負を持つ。

「『スパ ラクーア』のお客さまの平均滞在時間は4時間を超えています。入浴やサウナ時間は、長くても1〜2時間。半分以上の時間は、お風呂以外でリラックスして過ごされています。充実した贅沢なくつろぎの時間をスパで過ごすことは、いまや多くの女性の楽しみであり、至福の時間になっています。『スパ ラクーア』が常にそのリーディング施設としてありたいです」

 『スパ ラクーア』は、20年前にスパ文化の礎を築き、スパ市場を開拓すると共にけん引してきた。それは昨今のサウナブームにもつながっている。そんな功績の裏にある人気の秘訣を佐藤さんは、「女性向けの本物志向にこだわり続け、女性のための施設というコンセプトからブレないことが、後続に追随を許さない施設としてやってこられた要因です」と力を込める。

 一方、『スパ ラクーア』にもサウナブームの恩恵がある。それにより若い世代の男性が新規顧客として増えた。かつて女性向けでスタートした『スパ ラクーア』だが、現在は男女比が半々になっている。しかし、ブームによる客層の変化に対して、サービスやホスピタリティの変更はない。

 佐藤さんは、「サウナブームと言われてから長く続いており、すでに一過性ではないサウナ人気が定着していると感じます。そんななか、どれだけ高いクオリティでサービスもファシリティも提供できるか。そこに注力しています」と語る。
 20周年を迎える今年、『スパ ラクーア』は過去最大規模のリニューアルを実施する。そのポイントは、プライベートサウナを設けてサウナの楽しみ方をより充実させるとともに多様化すること。グループや家族だけで楽しめるラウンジも併設される。さらに、ショップ&レストランは25店舗が新規&改装オープン。デリ&ディッシュを掲げ“持ち帰り”を強化し、コロナ禍で変わった多様なライフスタイルに対応し、その場で飲食を楽しむ場を提供する。それにより、都心で働く人たちに加えて、地域に密着する近隣住民が楽しめる施設にしていく。

 新たに生まれ変わる『スパ ラクーア』だが、まだまだちまたでは知られていない楽しみ方もあるようだ。また施設内の飲食店舗では、ジェットコースターに乗り楽しむ姿も間近で見られる。

 そんな同施設について佐藤さんは、「スパに入った後に、サンダードルフィン(ジェットコースター)に乗ると極上の“ととのい”が得られると評判です」とスパやサウナ好きスタッフの間で話題になっているそうだ。

 新たな社会のライフスタイルに合わせて、スパの次なる時代のステージに向かう『スパ ラクーア』。「競合は意識していない」という佐藤さんからは、スパのロールモデルとなる施設の自信がにじみ出ている。吉本興業運営の新劇場建設など、東京ドームシティ全体で過去最大規模のリニューアルは、長さ約100メートルのデジタルサイネージの新設を含むランドスケープの刷新による 東西南北の導線の強化・老朽化にも対応しながら、来夏までに順次実施。地域密着を強化し、シティ全体で「街」の一体感を醸成する同所の再スタートに、今後も注視したい。

(文/武井保之)
◆『スパ ラクーア』オフィシャルサイトはこちら(外部サイト)

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