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食べ飲み放題、Wi-Fi&サウナも 月4万で“住めるカプセルホテル”が安すぎる理由
Uber Eats配達員などの利用増も利益創出は「厳しい」 業界不況続く中、“苦肉の策”
既存のサービスに加え、アルコール類の提供や朝食時間以外(6:00〜24:00)でのご飯サービスを新たに追加。また、無料アメニティもより充実させ、シャンプー、コンデショナー、ヘアワックス等の整髪料だけで50種類以上を用意している。
これだけ充実したサービスでありながら、都内3店舗(男性のみ)の「15日使い放題」が2万5000円、「30日使い放題」が4万円。名古屋栄店(男女可)の「15日使い放題」プランが男性2万5000円/女性2万円、「30日使い放題」プランが男性5万円/女性4万円。利益はきちんと得られるのだろうか。
高級カプセルホテルとして全国展開していたファーストキャビンは、稼働率が10%程度に落ち込み、昨年自己破産を申請していた。安心お宿も、昨年の最初の緊急事態制限時には全店舗休業を余儀なくされた。その後もこの1年、コロナ禍で宿泊施設やカプセルホテルはどこも極限状態の中、空室だらけになるよりはと、苦肉の策を打ち出したというわけだ。
「カプ住プラン開始直後に店頭看板の写真がTwitterで拡散され、テレビでも取り上げていただきました。また、テレビ放映の様子を視聴者の方がツイートし、11.7万いいね。約2.2万リツイートされるなど大きな反響をいただきました。放映直後は問い合わせのお電話も多くいただいております」
反響は上々の様子。都内は男性専用のため30〜40代のビジネスマンが多く、最近は、Uber Eatsの配達員の宿泊も増えている。全店舗、最寄駅から徒歩3分以内で繁華街に近いため、カプ住プランで衣食住を確保して効率的に働いているようだ。
コワーキングスペース、就活生、女性利用で打開なるか「カプセルホテルも形を変えていく」
多くは国内外からの出張先で、ビジネスマンの男性が手軽に泊まれる場所として利用されてきたカプセルホテル。昨年から出張が激減し、テレワークが急激に促進したことから、同店は一部フロアをリノベーションして「カプセル型のコワーキングスペース」の提供を開始(カプ住プランでも使い放題)。SNSを中心に話題を呼び、20代の新たな客層の獲得につながった。また、今春からは「就活応援プラン」として、コロナ禍の影響を受けた22卒の学生を対象に、宿泊・コワーキングスペース利用をすべて無料で10泊まで招待するキャンペーンも行っている。
今後もしばらくは厳しい状況が続くと思われるが、目まぐるしく変化していく社会に合わせて、カプセルホテルの定義も新たな展開を見せてくれるかもしれない。
「服や食事のサブスクリプションがあるように、働く場所や住む場所も変化していくのではないかと考えています。そういった時代の変化に伴い、カプセルホテルも形を変えても人々に受け入れられる場所として再生させていきたく、生活様式の1つとして利用していただきたいと考えています。今後もカプセルホテルの概念にとらわれず、進化系ホテルとして常にチャレンジを続けていきたいと思います」
※掲載内容は2021年7月30日現在の情報