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芸能界の性加害、週刊誌やSNSでの告発に弁護士が警鐘「必ずしも正しいやり方とは言えない」

被害者が「週刊誌や#Me too運動などに頼らなくてもよい」環境作りを

 今回、週刊誌を通じた告発は大きな話題となり、転換点の一つにはなった。だが、これから正すべき課題は山積みだと佐藤弁護士は語る。

 「今回の件を一過性で終わらせないためにも、まずは、個人事業主を守る法律を作り、各省庁は、この問題を放置せず、適切に法律を運用していくべき。そして同時に、声を挙げたことによって仕事がなくなることのない仕組みを作るべきです。現在、各俳優が、声を挙げたり、声明を出したり、また、文化庁が文化芸術分野の契約関係について検討会議を開催したりし、少しずつ動き始めています。週刊誌やSNSなどを活用した#Me too運動では、名誉毀損や冤罪を生む恐れもあります。ですので、被害者が週刊誌や#Me too運動などに頼らなくてもよい環境を作っていかなければなりません。健全な働き方や取り引きが行われるよう今すぐ動き出すべきですし、私も今後も尽力していくつもりです」

 昨今では、Netflixや大河ドラマの撮影現場で、ハラスメント講習などが行われるようにもなったという。これは非常に良い傾向ではあるが、「ハラスメント講習も含めたコミュニケーション講習もするべき。自らの優位性を理解しないままのコミュニケーションが、ハラスメントの温床になるからです」と、佐藤弁護士は提案する。

 過去、一般社会とは切り離された常識がまかり通ってきた芸能界。それだけに、すべてを健全化するにはかなりの時間を要するであろう。だが、以前の闇営業騒動から明るみに出た芸能人の契約問題などは、徐々に改善の道を歩んでいるように見える。芸能人でも一般人でも、働く人として守られる権利はあるはず。このような性加害やハラスメントが減っていくように、芸能界やメディア、そして立法、行政、司法それぞれの場で解決を目指すべきだろう。

(文:衣輪晋一)
<プロフィール>
佐藤大和(さとう・やまと)。レイ法律事務所代表弁護士。2017年に、芸能人の権利を守る団体である「日本エンターテイナーライツ協会」を立ち上げ、共同代表理事を務める。エンタテインメント、芸能法務、マスコミ対応、企業法務、第三者委員会の対応などが得意分野。厚生労働省「過重労働解消のためのセミナー事業」委員。これまで、『バイキング』(フジテレビ系)、『モーニングCROSS』(TOKYO MX)など、メディアにも多数出演。

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