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キメハラに代表される「なんでもハラスメント時代」、問題提起の一方で弊害も
『鬼滅の刃』ブームで話題の“キメハラ”、日常会話レベルでは法的に問題になりにくい
11月3日に放送された情報番組『グッとラック!』(TBS系)でも取り上げられ、SNSでは「わかる。これを言われるともっと観る気をなくす」「私が好きな作品より『鬼滅の刃』の方が面白いとか、好みを否定しないでほしい」といった反応が見られた。
ハラスメントというと、なにか重大な問題のようにも捉えてしまうが、舟橋和宏弁護士は“キメハラ”について、「それがただちに犯罪になるとか、損害賠償が認められるかと問われると、難しい」と説明する。「ハラスメントという言葉を直訳すると、“嫌がらせ”や“嫌なこと”となります。観た、観てないという押しつけ行為は確かに言われる側にとって嫌なことになり得ますが、だからと言って法的に問題かと言えば、そこへたどり着くまでには数々のハードルがあります。日常会話レベルでは、そこはなかなか超えられないと思います」
ネットの相談では見かけても、「実際に相談しに来た人は一人もいない」
パワーハラスメントとして違法と判断された場合、パワハラの加害者は暴行罪や名誉毀損罪などに問われる可能性があるし、被害者は会社に対して使用者責任に基づいて損害賠償を求めることも考えられる。過去の判例でも、職場のパワハラによって自殺した社員に対し、多額の賠償金が認められたケースもある。
日常会話レベルの“キメハラ”が、損害賠償などが認められるようなものまで発展するかと考えると、難しいだろう。実際、「キメハラを受けた」との訴えはネット相談では見かけることはあるものの、「少なくとも、実際に相談しに来た人は一人もいない」とのこと。「ただ、嫌がる人もいることは確かなので、その意味ではトラブルの種になってしまいます。“キメハラ”も、やらないにこしたことはありません」