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筋トレと体重増加・体重減少の関係 【プロが教える筋トレ】
著者・監修者プロフィール
和田 拓巳
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療サポートの経験も豊富で、ケガの知識を活かしリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・トレーニングに関する講演会などの講師を務めること多数。テレビや雑誌にて出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆・監修を行い、フィットネスに関する情報を発信している。
Official site:https://wada0129.wixsite.com/takumiwada(外部サイト)
Facebook:https://www.facebook.com/pt.wada(外部サイト)
和田 拓巳
プロアスリートやアーティスト、オリンピック候補選手などのトレーニング指導やコンディショニング管理を担当。治療サポートの経験も豊富で、ケガの知識を活かしリハビリ指導も行っている。医療系・スポーツ系専門学校での講師や、健康・トレーニングに関する講演会などの講師を務めること多数。テレビや雑誌にて出演・トレーニング監修を行う。現在、様々なメディアで執筆・監修を行い、フィットネスに関する情報を発信している。
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今回は筋トレによってなぜ体重が「増加」したり「減少」するのかを解説していく。
筋肉のメカニズム
カラダには約600個の筋肉がある。筋肉は多くの筋肉の線維(筋線維)が集まり束となって一つに構成されている。
この筋線維がそれぞれ収縮・伸張することで体を動かし、筋線維が収縮する本数によって発揮する力を調整しているのだ。
■筋肥大のメカニズム
筋トレを行う目的の一つが「筋肥大」。筋肥大とはその名の通り筋肉を太くさせることを指すが、どのようにして筋肉は太くなっていくのだろうか。
筋肉が太くなるには、「刺激」と「栄養」が欠かせない。筋線維は筋トレなどの外部からの刺激によって部分的に破壊される。筋肉には自己再生する能力があるため、適切な栄養摂取により損傷した筋線維を修復するのだが、このときに外部からの刺激やストレスに耐えられるように、少し太くなって再生されるのだ。このように刺激による損傷→再生を繰り返し、少しずつ筋線維が太くなることによって筋肥大が起こる。
一番「筋肉が肥大している!」と感じる瞬間が、トレーニング直後だ。
トレーニング直後に鏡を見ると、鍛えた部位が張った感じになりいい体になったなと嬉しくなる人もいるはず。これを、「パンプアップ」という。パンプアップは、筋トレで筋肉が刺激されたことで一時的に血流量が増え、筋肉が太くなる現象だ。
しかし、これは一時的なもの。時間がたてば血液量は元に戻り、筋肉の張りは解消されてしまう。パンプアップと筋肥大は別物なのである。
筋トレで体重が増える場合の理由
筋トレの最大の目的は、筋肉量の増加だ。そのため、筋肉量が増加し体重が増えたとしても全く問題はない。
先ほども紹介したように、「筋肉」と「脂肪」は同じ体積でも重量が異なり、その比率は同じ体積の場合、
【筋肉:脂肪=11:9】
となる。
たとえば同じ10cmの立方体なら、筋肉は1,100g、脂肪は900gと200gの差が出るのだ。
仮に筋トレで筋肉量の増加と脂肪量の減少が同じ体積分だった場合、体が締まってきているのに体重が増えてしまうというのはこのためである。
2.一時的な水分の蓄積
筋トレで刺激されることによって、筋肉は一時的に炎症を起こす。その反応として体は炎症を解消するために水分をため込み、体内の水分量が一時的に増加する。部分的にこの現象が起こるのが「パンプアップ」だ。
トレーニングを行うとパンプアップのように部分的に筋肉が太くなるだけでなく、体全体の水分量も増加する場合がある。これは、のどが渇く分、水分摂取量が多くなるのが原因だ。水分の多量摂取によって体重の増加やむくみなどが発生するが、あくまでも一過性ですぐに元に戻るため心配はない。
3.体脂肪の蓄積
筋トレをしているのに体重が増加してしまう原因の中で、注意しなければいけないのが、体脂肪の蓄積だ。
筋トレをすることで食欲が増し、いつも以上に食べてしまったり、「筋トレをしているから大丈夫だろう」と好きなものを自由に食べたりしていると、摂取エネルギーの過多により、筋肉ではなく体脂肪が増加してしまった・・・ということは少なくない。体重増加とともに体脂肪率も増加しているようであれば要注意だ。
筋トレで体重が減る場合の理由
筋トレによって、体脂肪が減少していけば体重は減少していく。これは理想的な形だ。
体重の変化だけでなく、体脂肪率の変化をしっかり確認しながらトレーニングを進められれば理想的なダイエットを実行できていることになる。
■体内の水分量の減少
筋トレで汗をかいたりすることにより、体内の水分量が汗で体外に排出され体重が減少することがある。
しかし、体重が落ちたからといって体脂肪が減少したということではないため、水分を摂取すればすぐに体重は増えて元に戻る。
短期間(数日)の体重変化はこの水分の変化によるものが多い。なので、体重の増加で一喜一憂せずに長期的な目で体重を管理していく必要があるだろう。
■筋肉量の減少
筋肉量が減少することで体重が減ることもある。筋トレをしているなら筋肉は維持できるのでは・・・と思っている人もいるかもしれないが、筋肉量を増やすには栄養が必要である。極端な食事制限などで摂取カロリーやたんぱく質量が不足しすぎてしまうと、せっかくトレーニングをしても筋肉は成長せず、逆に筋肉は分解されエネルギーとして使われてしまうのだ。
筋肉量が減少すれば、基礎代謝も低下して逆に痩せにくい体になってしまうため注意が必要だ。
筋トレで体重を増やしたい場合に必要なこと
筋肉量を増やすには、筋トレのやり方も大切なので意識をして見よう。
筋肥大に効果的なのは、8〜12回で限界を迎えるくらいの負荷(重量)設定だ。この負荷設定を基準とし、トレーニングを継続していくことが必要だ。筋力が向上し挙上できる回数が増えてきたら、負荷を再設定し8〜12回できるくらいに変更していこう。
トレーニング頻度については、最低でも週3回はトレーニングしたい。あまり頻度が低いと、筋肥大までに時間がかかってしまう。ただ、毎回全身を鍛える必要はない。日ごとに部位を分け、高頻度で取り組むようにしよう。
筋肥大は一般的に1〜2ヶ月くらいから実感できるだろう。実際にはトレーニング開始から1週間ほどで少しずつ太くなってきていることが研究で判明しているが、それは精密機械などの測定で分かるくらいに微妙な程度となる。
なので、見た目が変化するには最低でも1〜2ヶ月は適切な負荷設定によってトレーニングを継続していこう。
2.食事(PFCバランス)の考え方
どんなにトレーニング量を増やしても、筋肉の材料となる栄養が不足していれば、筋肥大はおこらない。
しっかり摂取したいのが筋肉の栄養となる「たんぱく質」。たんぱく質は、肉や魚、卵や乳製品などに多く含まれているが、筋肉をつけるためには1日当たり体重1kgにつき1.5〜2gの摂取量を目指したいところ。
また、ダイエット時には敬遠されがちな炭水化物や脂質もバランスよく摂取するようにしよう。
食事に関しては「PFCバランス」という考え方がオーソドックスであり、体づくりには効果的だ。
PFCバランスについては下記を参考にしてみてほしい。
→PFCバランスは必要?理想的な食事メニューや計算方法を紹介【プロが教える筋トレ】
3.サプリメントの摂り方
筋肥大を目指すなら、サプリメントを効果的に活用したい。なぜなら、普段の食事だけでは目標のたんぱく質摂取量を確保するのが大変だからだ。サプリメントをうまく活用しながら摂取量を増やすようにしよう。
体づくりの基本的なサプリメントはプロテインだ。プロテインは、手軽にたんぱく質を摂取することができる。トレーニング前後や毎食に追加するだけで、目標のたんぱく質を確保できるだろう。
また、アミノ酸の種類であるBCAAやクレアチンなどのサプリメントは、トレーニング中の筋肉の分解を防ぎ、筋肥大効果を高めるのに役立つ。トレーニングに慣れてきて、効果が停滞してきたと実感している人がいれば、活用してみるのもいいだろう。
これらのサプリメントは、トレーニングをしていない日にも継続して摂取しよう。
4.休息
ひたすらトレーニングをして、栄養を摂っていれば筋肉が増えるかといえばそうではない。筋肉を回復させて成長させるための「休養」も重要なのだ。そしてその休養で最も重要なのが睡眠である。
睡眠中はトレーニング直後と同様、筋肉を回復・発達させる成長ホルモンが多く分泌されるタイミングとなるため、しっかりと睡眠をとり、休養をとることで筋肥大の効果を高めることができる。
体を成長させるためには、良質な睡眠をとることも大切であると覚えておいてほしい。
筋トレで体重を減らしたい場合に必要なこと
ダイエット中は、筋肉量を維持する必要がある。そのために筋トレは欠かせない。
トレーニング内容自体は筋肥大目的の時と同じ8〜12回で限界を迎えるくらいの負荷設定がおすすめだ。もし、運動時間を長くして消費エネルギーを増やしたいというのであれば12〜20回で限界を迎えるくらいの重量設定でもいいだろう。軽い負荷でも限界まで行えば筋肥大効果も得られるため一石二鳥だ。
トレーニング頻度については、できるだけ多く取り組みたいところ。1日に1時間も2時間もトレーニングする必要はない。短時間でもいいので頻度を多くしよう。
体重を落としたいときは有酸素運動を行う人も多いだろう。筋トレと併用するのであれば、筋トレ→有酸素運動の順で行うと効果的だ。筋トレ中に体脂肪を分解し消費しやすい形にしておくことで、有酸素運動の脂肪燃焼効果を高めることができる。
また、筋トレ中のインターバルも気にしてみるといいだろう。インターバルを短くすることで心拍数を高く維持することができ、脂肪燃焼効果を高める。よくジムでインターバル中に楽しそうに会話している人を見かけるが、その時間がもったいない。インターバルの目安は30秒〜1分だ。研究ではインターバルを3分とるグループよりも、1分しかとらないグループの方が筋肥大効果は高かったという報告もある。できるだけ筋トレに集中し、インターバルを少なくするようにしよう。
■食事(PFCバランス)の考え方
体重を減らしたいときもPFCバランスが基本となる。たんぱく質量はしっかり確保しつつ、そのほかの脂質や炭水化物で摂取エネルギーをコントロールするようにしよう。
■サプリメントの摂り方
サプリメントも基本的には筋トレで体重を増やしたいときと同じだ。しかし、サプリメントをとることで摂取するエネルギーが消費するエネルギーより多くなることは避けたい。
食事制限をするなら、不足しがちなビタミン類や鉄分などの摂取も検討しよう。コンディションを保つことは、ダイエットを継続していくために重要だ。
■休息
筋トレで体重を増やしたいときと同様にしっかり睡眠をとり、体の状態を整えるとともに、筋肉量を増やしてダイエット効果を促進させよう。
まとめ
実は、筋肥大と体脂肪の減少を同時に進めることは難しい。そのため、まずは筋肉量を増やすことをおすすめする。
体づくりでもダイエットでも、初めのうちは体脂肪の減少をある程度無視し、食事制限よりも筋肉量を増やす栄養戦略をとり、筋肉量を増やす事だけを考えてみよう。
結果、体重が増えてしまうかもしれないが、筋肉量がついてきたら徐々にその筋肉を維持しながら体脂肪を減少させていけばいいのだ。その方が効率はいいだろう。
短期間の体重変化に一喜一憂せず、体脂肪率も比較しながら長期的に体づくりを進めていくようにしよう。