アニメ&ゲーム カテゴリ
ORICON NEWS

コロナ病棟の最前線で何が? 東京五輪にワクチン…応援求められる看護師たちの「伝えたい現状」

  • ぱれちにさん『コロナ病棟 最前線の出来事』

    ぱれちにさん『コロナ病棟 最前線の出来事』

 看護師として働きながら、医療現場の“あるある”を漫画に描き、ブログやInstagramに投稿しているぱれちにさん(@paretiny)。なかでも、『コロナ病棟 最前線の出来事』という作品には、大きな注目が集まった。本作は、「私たちの現状をわかってもらいたい」と、同じ看護師や医療従事者から集まった声を元にしたもの。一般の人からも「本当に頭が下がる」というコメントも寄せられていた。コロナ禍となって1年余り、現在の医療現場のリアルな状況とは? 東京五輪やワクチン接種への応援要請が求められているというが、看護師たちの思いは? ぱれちにさんに聞いた。

「患者さんが毎日2〜3人亡くなる」、コロナ病棟の看護師たちの過酷な現状

  • 『コロナ病棟 最前線の出来事』より

    『コロナ病棟 最前線の出来事』より

 ぱれちにさんは、普段は一般病棟で働く看護師で、患者の日常生活の援助を日々行っている。急性期病院のため、重症な患者さんを看ることも少なくないが、コロナ禍により病院の状況は一変し、大変なことも増えてきているそうだ。

 「他科の患者さんがたくさん入院してきたり、コロナ病棟に応援に行かないといけなかったりすることもあります。また、患者さんのご家族が病棟まで上がって来られないので、荷物の受け渡しをしたりと、色々とやることが増えました。面会ができないことで、患者さんのフラストレーションが溜まり、認知症の患者さんの症状が増悪したりすることも増えたなと感じています」

 そんな忙しい日々を送りながらも、医療従事者や看護師に向けた漫画を描くのには、ぱれちにさん自身が看護師として感じる“理不尽なこと”を共有したいという思いがある。「そういうことってある。自分だけじゃないんだ」と、同じようにつらい思いをしている人が少しでもホッとできたら…。そんな気持ちが、これら漫画作品には込められているという。

 「フォロワーの看護師さんたちからも、『この状況を伝えてほしい』という声をたくさんいただいています。特に、コロナの最前線の状況、新人時代の大変なこと、理不尽なことを漫画にしてほしいという声は多いですね」

 なかでも反響が大きいのが、『コロナ病棟 最前線の出来事』という作品だ。本作は、フォロワーの看護師から寄せられた、コロナ病棟でのエピソードを元に描かれたもの。数々の出来事の中でも、「患者さんが毎日2〜3人亡くなる」という話については、ぱれちにさん自身、「普通はないことなので、考えただけでも恐ろしい状況です」と、大きな衝撃を受けたそうだ。

 ほかにも、「医師や看護師が疲弊して次から次へと離職」「休みの日が全然ない」といった大変な環境、「入院中に面会もできず、亡くなった時も会えずにそのまま火葬場へ。それがただただ悲しい」といった無念の思いもつづられている。最前線にいるからこそ見えてくるコロナの恐ろしさが、短い描写の中からひしひしと感じられるものばかりだ。

心無い批判も…、「こんなとこで働いていて大丈夫なの?」

  • 『コロナ病棟 最前線の出来事』その3より

    『コロナ病棟 最前線の出来事』その3より

  • 『美容系の看護師の私。お客さんから言われた一言』より

    『美容系の看護師の私。お客さんから言われた一言』より

 だが一方で、患者たちから看護師に対し、「おまえらのせいで治療が延期になった」「病院が悪い」との批判があったこと、コロナとは関係のない美容系の看護師にも「コロナが流行っているのに、こんなとこで働いていて大丈夫なの?」といった声がぶつけられた、というエピソードもある。

 そんな声に対し、ぱれちにさんは「理不尽だなと思いますし、批判の矛先を間違えておられるんじゃないかと思います。フォロワーさんの中にも、実際に言われた方も多くいるので、とても悲しいです」と語る。

 患者たちには、もちろん不安やうっ憤もあるだろう。だが、それを支える看護師、医療従事者も人間であることには変わりないし、誰もが必死に乗り越えようと努力している。それは、コロナ病棟だけでなく、どんな現場でも変わりないだろう。

あなたにおすすめの記事

 を検索