ORICON NEWS
突然、夫の心肺が停止…“植物状態”の夫との病院生活 コロナ禍でも抱き続ける夫への想い
「私のやっていることが誰かの役に立つかも」 夫との病院生活を漫画にしたきっかけ
――『ぼくちんとの病院生活』はどのエピソードも反響を呼んでいますが、そのことについてはどう感じていますか?
【そら】同じような状況の方々が共感してくれたり、お世話の体験が誰かのお役に立ったりしたらいいなと思って描いていたのですが、応援やぼくちんのキャラクターへのコメントをいただき、「ぼくちんが絶対喜ぶだろうなー!」と思っています。今は面会禁止中で会えてないぼくちんにも、この想いが届いているといいなと思っていますし、「これからも患者さんに向き合って仕事を頑張ります!」といった医療従事者の方々からのコメントもいただけて、とても嬉しく思いました。
――ご自身の体験を漫画にしようと思ったきっかけについてお聞かせください。
【そら】ぼくちんのお世話をしているときに、同じような病状の患者さんのご家族から「どんなお世話をしているの?」とか「そういうこともしていいんだね」などと話しかけられたことがきっかけかもしれません。
――少しでも力になれたらといった思いですね。
【そら】私は医療従事者の方々に相談できる機会が多々あり、アドバイスをもらいながらお世話ができたのですが、それがなければ知らないことも多くて、ぼくちんに色々してあげられなかったと思ったので。「私のやっていることが誰かのお役に立ったりするかな?」と思ったのと、色々と相談に乗ってくれた友人が体験を漫画にすることを後押ししてくれたので描くことにしました。
色々な経験をさせてもらえた 3年の病院生活で得ることができたもの
【そら】心肺停止をした直後、救急病院に搬送されたときが本当にしんどかったです。日々の病院生活の中であれば、ぼくちんが何か嫌なことを訴えていそうな表情やしぐさをしているのに、私が何もわかってあげられないのを痛感するときがしんどいし、ぼくちんに申し訳なくも思います。
――漫画には、病院の看護師さんたちやリハビリの先生たちのやさしさ、ぼくちんさんの人柄にほっこりするエピソードが多数描かれています。日々の生活の中でそらさんの心を整えて癒してくれるのはどういったことでしょうか?
【そら】ぼくちんのそばにいるときが、一番心が整って癒しをもらっていると思います。ぼくちんの面会が終わって病院を出た後に、とてもしんどくなる出来事が起きて気持ちが乱れたことがあったのですが、まだ面会時間内だったのでもう一度ぼくちんに会いに行って顔を見て、「あー、ぼくちんに会っていると癒されるなー」と感じたことがありました。仕事で疲れた後でも、ぼくちんに会うと疲れが吹き飛ぶので、一番の癒しがぼくちんなんだろうなと感じました。
――病院生活をされて3年。ぼくちんさんには今、どのような想いを抱いていますか?
【そら】ぼくちんが病気になったのは本当に辛いことだったのですが、病気になったことで色々な経験や体験や勉強をさせてもらえているなと感謝もしていますし、「毎日変わらずに過ごしていてくれてありがとう」とも思っています。
――7月に『推しは目覚めないダンナ様です〜低酸素脳症になってからの病院生活〜』(幻冬舎コミックス)という書籍も発売されるそうですが、今後SNSで漫画エピソードを発信するうえで、どのようなことを伝えていきたいですか?
【そら】私がぼくちんに癒しをもらったり、「頑張ろう!」と思わせてもらったりしていることを漫画にして、読んでいただいた方が癒されたり頑張ろうと思っていただけたりすると有難いです。それと、何かのお役に立つ情報が誰かに届けばいいなと思っています。