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突然、夫の心肺が停止…“植物状態”の夫との病院生活 コロナ禍でも抱き続ける夫への想い

  • コロナ禍で1年以上会えていないという、植物状態になった夫・ぼくちんさんと妻・そらさん(画像提供:そら)

    コロナ禍で1年以上会えていないという、植物状態になった夫・ぼくちんさんと妻・そらさん(画像提供:そら)

 突発性不整脈が起こり心肺が停止し、植物状態になった夫との病院生活を描いた『ぼくちんとの病院生活』という漫画がInstagramに投稿されて話題に。大変なことがたくさんあるに違いないが、「ぼくちん(夫)と一緒に過ごせる時間が一番の癒しになる」と作者のそらさん(@soraeureca)は語る。投稿には、同じような状況にいる方や医療従事者の方などから、多くのコメントが寄せられている。なぜこの漫画を描こうと思ったのか、どのような思いで夫との病院生活を過ごしているのか、そらさんに話を聞いた。

「私のやっていることが誰かの役に立つかも」 夫との病院生活を漫画にしたきっかけ

 3年前のある日、突発性不整脈が起こり、心肺が停止してしまった夫・ぼくちんさん(当時34歳)。なんとか一命は取りとめたものの、心肺停止の時間が長かったため、医師には蘇生後脳症と診断され植物状態に。そこから入院生活がスタートするが、何をどうしたらいいのかがわからず悪戦苦闘を繰り返す日々に、初めの頃はそらさんも精神的に追い詰められていた。徐々にぼくちんさんとの病院生活には慣れていったが、「そらさん、まだ若いんだから、これから出会いがあるわよ」と周囲の人に心無い言葉を投げかけられ気持ちが下がることもあった。ただ、夫との病院生活での経験が誰かの役に立ったり、共感してもらえたり、クスッとしてもらえたりしたら嬉しいという思いから、この漫画を描き始めたという。

――『ぼくちんとの病院生活』はどのエピソードも反響を呼んでいますが、そのことについてはどう感じていますか?

【そら】同じような状況の方々が共感してくれたり、お世話の体験が誰かのお役に立ったりしたらいいなと思って描いていたのですが、応援やぼくちんのキャラクターへのコメントをいただき、「ぼくちんが絶対喜ぶだろうなー!」と思っています。今は面会禁止中で会えてないぼくちんにも、この想いが届いているといいなと思っていますし、「これからも患者さんに向き合って仕事を頑張ります!」といった医療従事者の方々からのコメントもいただけて、とても嬉しく思いました。

――ご自身の体験を漫画にしようと思ったきっかけについてお聞かせください。

【そら】ぼくちんのお世話をしているときに、同じような病状の患者さんのご家族から「どんなお世話をしているの?」とか「そういうこともしていいんだね」などと話しかけられたことがきっかけかもしれません。

――少しでも力になれたらといった思いですね。

【そら】私は医療従事者の方々に相談できる機会が多々あり、アドバイスをもらいながらお世話ができたのですが、それがなければ知らないことも多くて、ぼくちんに色々してあげられなかったと思ったので。「私のやっていることが誰かのお役に立ったりするかな?」と思ったのと、色々と相談に乗ってくれた友人が体験を漫画にすることを後押ししてくれたので描くことにしました。

色々な経験をさせてもらえた 3年の病院生活で得ることができたもの

――ぼくちんさんとの病院生活の中で、一番しんどいと感じたことは?

【そら】心肺停止をした直後、救急病院に搬送されたときが本当にしんどかったです。日々の病院生活の中であれば、ぼくちんが何か嫌なことを訴えていそうな表情やしぐさをしているのに、私が何もわかってあげられないのを痛感するときがしんどいし、ぼくちんに申し訳なくも思います。

――漫画には、病院の看護師さんたちやリハビリの先生たちのやさしさ、ぼくちんさんの人柄にほっこりするエピソードが多数描かれています。日々の生活の中でそらさんの心を整えて癒してくれるのはどういったことでしょうか?

【そら】ぼくちんのそばにいるときが、一番心が整って癒しをもらっていると思います。ぼくちんの面会が終わって病院を出た後に、とてもしんどくなる出来事が起きて気持ちが乱れたことがあったのですが、まだ面会時間内だったのでもう一度ぼくちんに会いに行って顔を見て、「あー、ぼくちんに会っていると癒されるなー」と感じたことがありました。仕事で疲れた後でも、ぼくちんに会うと疲れが吹き飛ぶので、一番の癒しがぼくちんなんだろうなと感じました。

――病院生活をされて3年。ぼくちんさんには今、どのような想いを抱いていますか?

【そら】ぼくちんが病気になったのは本当に辛いことだったのですが、病気になったことで色々な経験や体験や勉強をさせてもらえているなと感謝もしていますし、「毎日変わらずに過ごしていてくれてありがとう」とも思っています。

――7月に『推しは目覚めないダンナ様です〜低酸素脳症になってからの病院生活〜』(幻冬舎コミックス)という書籍も発売されるそうですが、今後SNSで漫画エピソードを発信するうえで、どのようなことを伝えていきたいですか?

【そら】私がぼくちんに癒しをもらったり、「頑張ろう!」と思わせてもらったりしていることを漫画にして、読んでいただいた方が癒されたり頑張ろうと思っていただけたりすると有難いです。それと、何かのお役に立つ情報が誰かに届けばいいなと思っています。
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