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上坂すみれの濃厚“読書”日記 & この際読んでほしい「ロシアの本」3選+α 社会主義グルメに偏愛ドストエフスキー!

声優・上坂すみれオススメ 巣ごもり中に読みたいロシアの本

【1】ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』&『白痴』
――上坂さんの読書に対する臨み方がわかったところで、いよいよ「巣ごもり中に読みたいロシアの本」というテーマでおすすめ本を聞かせていただきたいと思います。
ロシア関連の本は巣ごもり中でも読みたくない本が多いですね(笑)。

――なんと意外なお答えが……。どうしてでしょうか?
ロシア文学って人名が長かったり、ロシアの貴族文化がわからなかったり、例えば「フョードルビッチ・カラマーゾフ」を「フョードルビッチ」というミドルネームだけで呼んだり名字を言わなかったり、すごく難しい部分が多いです。なかでも個人的に合わないのがトルストイ。
――なるほど。ロシア本には難所が多いということですね。では、改めて1冊目をお願いします。
トルストイよりドストエフスキーの方が好きで、最初に読んだロシア文学が『カラマーゾフの兄弟』『白痴』でした。『白痴』は黒澤明監督が映画にしていたことから興味を持って読んだ本で、『カラマーゾフの兄弟』はロシア文学なのにキャラが立っていて読みやすく私に合っているなと思った本です。これはどちらもおすすめです。

【左】著:ドストエフスキー 、翻訳:亀山郁夫『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫、2006/【右】著:ドストエフスキー 、翻訳:亀山郁夫『白痴1』光文社古典新訳文庫、2015年

【左】著:ドストエフスキー 、翻訳:亀山郁夫『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫、2006/【右】著:ドストエフスキー 、翻訳:亀山郁夫『白痴1』光文社古典新訳文庫、2015年

――ドストエフスキー含め、ロシア文学の魅力はどのようなところでしょうか。
ずっしりくるところというか、何かにうち勝とうとしていないところですかね。内省的で自分の心の闇と戦っているようなキャラクターが多いです。ロシア正教という宗教があるので日本とは違いますが、メンタリティーがちょっと明治のころの内省的な日本文学と近いものがあるなと感じています。

想いを伝えられないままずっとモヤモヤしているキャラが多く、本当の自分と向き合うのが怖いというのは最近のお話にも通じますが、総じて人が暗いので“陽キャ”が苦手な人にはおすすめです(笑)。ロシアの本にあんまり“パリピ”はいないですね。
――たしかにモノローグだけで10ページ、という作品もざらにあります。
落ち込んじゃったときに無理矢理キラキラした話を読むと疲れちゃう人っていると思いますし、私もどちらかというとそういうタイプ。ダウナーな気分になりたいときは本当におすすめです。ウオッカを飲みながら読んで、「私、この人よりマシだな」ってなります。そうするとちょっと元気が出るというか、登場人物と比べて「こんなにしょうもなくはない」と思えます。

【2】『この社会主義グルメがすごい!!』
――では続いての本を教えてください。
『この社会主義グルメがすごい!!』(原作:内田弘樹、マンガ:河内和泉/KADOKAWA)というマンガです。
――パンチの効いたタイトルですね。
ソ連や東ドイツなどのグルメを紹介してくれるのですが、なんだか絶妙においしくなさそうで、さすがだなって(笑)。私が以前ロシアに行ったときのご飯はすごくおいしかったのですが、「社会主義グルメ」という概念が面白いし、レシピも載っているので料理が上手な人は作れるなと思うマンガです。

【3】『ロシアを知る事典』
――それでは3冊目をお願いします。
高校生の時にロシアにハマって読んでいた『ロシアを知る事典』(川端香男里ほか監修、平凡社)です。一生読める事典なので、眠れない日など本当におすすめです。
――そちらの事典は以前「人生で最も好きな本」として挙げられていましたが、今もその答えは変わりませんか? それとも更新されましたか?
やっぱり今でも「人生で最も好きな本」で、ちょっと古くはなってきましたが大事に持っています。

――継続中なのですね。事典にまつわる思い出はありますか?
学生時代に買って、その時レーニンやスターリンについて調べるのが大好きだったので、レーニンの項目にはめちゃめちゃ付箋が付いているなど、昔の自分をいつまでも部屋に置いているようで、なかなか処分できない思い出深い本です。面白いかと言われたら、面白いと思うのは多分私ぐらいなのかな(笑)。

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