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実は「飛び出したら勝ち」だった?45周年『黒ひげ危機一発』ルール変更に至る物語
人気バラエティがきっかけ「民意でルールが真逆に」
池田氏会社に閉じこもっていても遊び心のあるアイデアは生まれないということで、弊社ではときどき環境を変えた企画合宿を行うんです。『黒ひげ』が開発されたときには、「ファミリー向けアクションゲーム」「何度でも遊べるランダム性」という2つのミッションがありました。そして鎌倉の海を眺めていたある社員が『アクション→カッコいい/海→海賊』と連想を巡らせていったのが、『黒ひげ』の原点だったと資料に残っています。
ともあれ、シンプルかつ飽きのこないゲーム性やユーモラスなキャラクターから初代『黒ひげ』は瞬く間にヒット商品に。さらに「誰が飛び出させるかわからない」という公平性やスリル感、飛び出させた人のビックリする様子や表情がウケたことから、当時の人気クイズ番組『クイズ!ドレミファドン!』(1976−88年・フジテレビ系)の企画コーナーにも採用。お茶の間への認知をますます広めていく。ところが同番組でのルールは「飛び出した剣を刺した解答者の得点を没収」。つまり「飛び出させた人=負け」という、本来のルールとはまったく逆の意味合いで使われた。
池田氏やはりテレビの影響力は大きいですね。弊社でも調査したところ、当時からほとんどのユーザーが『飛び出させたら負け』と認知していました。まあ、弊社としては楽しんでいただけるならどっちでもいいかと(笑)、なので、79年にはパッケージにも『飛び出したら勝ちまたは負け(遊ぶ前にどちらにするか決めてください)』と明記しました。そしてとうとう95年に『飛び出させたら負け』と正式にルール変更が行われたんです。いわば"民意"によってルールが真逆になった、珍しいケースだと思います。