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昭和の名機「ワニワニパニック」が再ブレイクの兆し 令和へと受け継がれる開発者たちの想いとは

初代「ワニワニパニック」(1989年) (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 SNS界隈を賑わせているもう1つの"ワニ"の話題がある。ゲームセンターや遊園地、ショッピングモールなどで、誰もが一度は夢中になったあの「ワニワニパニック」が再びブレイクの兆しを見せているのだ。大人世代にはちょっぴり懐かしいゲームだが、近頃は雑誌『幼稚園』(小学館)の付録となって未就学児たちを熱くさせているとか。プロデューサーであるバンダイナムコアミューズメントの川合潤さんに、開発秘話や「なぜ今、ワニワニパニックなのか!?」といった話をうかがった。

AIがワニの動きを制御! アナログのようで実は超ハイテクだった初代「ワニワニパニック」

 大きな口を開けて次々と襲来する5匹のワニを、ハンマーで叩いて防御・撃退するという単純にして明快、なのになぜか熱くなってしまう、そんな不思議な魅力に満ちたゲーム「ワニワニパニック」が初登場したのは、平成が幕を開けた1989年のこと。バンダイナムコホールディングスの前会長・石川祝男氏が当時大流行していたモグラ退治ゲームの課題に気づき、「もっと誰もが楽しめるものを提供したい」という想いから企画・開発されたのが「ワニワニパニック」だったという。

川合さんモグラ退治は下から出てくるモグラを叩くゲームなので、筐体に奥行きがあり、小さなお子さんが手を伸ばして遠くのモグラを叩くのが難しいという課題がありました。そこでプレイヤーの手前にワニが迫って襲ってくるというレイアウトが考案されたんです。これなら誰でも簡単にプレイできますし、さらにワニをやっつけるだけでなく、ワニに噛まれるなどの『ワニと対決する』体験ができるインタラクティブな遊び方も生み出しました。

 攻めてくる5匹のワニの個性が違うのもポイント。ユーモラスな表情から、得点板に表示されるセリフの言い回し(最高の「まいったスゴイ!」から最低の「やーい、ざまみろ!」など)に至るまで、開発者の遊びとこだわりが随所に散りばめられている。ついつい熱くなり、ワニに負けても再挑戦してしまう秘密はAIにあった。

川合さん初代ワニワニパニックにはAIの分岐システム(難易度調整機機能)が搭載されていました。つまりプレイヤーの腕前によって、ワニの出るタイミングや早さといったパターンが変わるんです。上手な人がやっても下手な人がやっても、ちょうどいい感じの難易度になるところもこのゲームがヒットした理由なのではないかと思います。

 初代「ワニワニパニック」は一世を風靡し、幾度にもわたってリピート生産が行われるロングセラー製品に(現在は生産終了)。また、開発した石川さんが初代に込めた想いやアイデアは後継者たちに受け継がれ、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」(花博)には8人通信対戦型の「ワニワニパニック」を出展。それをロケでも運営できるようにした「ワニワニパニック GRANDPRIX」や、海外向け製品、初代の後継機種「ワニワニパニック2」といったアーケード機はもとより、海外版、児童向け玩具、高齢者向けリハビリマシンなどさまざまな形態で展開され、幅広い世代を熱くしてきたのだった。

絶滅危惧種だった「ワニパク」が幼児誌の付録で復活 クオリティにプロデューサーも感涙

 長年にわたって愛され続けてきた初代「ワニワニパニック」。しかし発売から30年を経過し、筐体の老朽化や修理用の部品が調達できない関係で運営を断念する店も増えていた。近年は携帯ゲームやスマホアプリ版への展開もされてきた。しかしハンマーでワニをぶっ叩く爽快感とドキドキ感には、何物にも代えがたい魅力があるはずだ。

 そんな中、小学館の「幼稚園」4月号の付録で「ワニワニパニック」が復活し、SNSでも大きな話題となっている。

 幼児向け雑誌の付録といっても、そのクオリティの高さは大人でも夢中になってしまうほど。紙製の組み立て付録ながらモーターユニットが搭載されており、5匹のワニが出たり入ったりする動きが忠実に再現されている。もちろんワニを叩いた数をカウントしてくれるカウンターも同梱。なお、駆動には別売りの単3電池が必要となる。

 雑誌『幼稚園」と言えば、近年はセブン銀行ATMやセブンティーンアイス自販機など、数々のリアルな企業コラボ付録で話題を呼んできた。「個人的にも『幼稚園』を購入しましたが、出来の良さに感動しました(笑)」という川合さん、なぜ今、幼児誌に「ワニワニパニック」だったのか。

川合さん権利元のバンダイナムコエンターテインメントが、小学館さんと取り組んでいることは聞いていました。私は6月に登場するアーケードゲーム『ワニワニパニックR』のプロデューサーを務めているんですが、こちらは当時の『ワニワニパニック』を知っている世代とそのお子さまたちに遊んでいただけるよう開発してきたんです。『幼稚園』の付録でお子さまたちが触れる機会ができるのはありがたく、バンダイナムコグループ間でうまく連携できたなと思っています。

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