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ファミコン芸人フジタが選ぶ「ずっと聴いていられるファミコンBGM3選」

 家庭用ゲーム機黎明期に誕生し、今も楽しめる名作から、“クソゲー”と呼ばれる不人気作まで、さまざまなソフトを生み出した『ファミリーコンピュータ』。そのソフトは1000タイトル以上と言われ、誰もが知っている名作から、まったく日の目を見なかったものまで、実にさまざま。そこで、ゲームソフト所有本数3万本、約3000万円をゲームに捧げたファミコン芸人・フジタ協力のもと、この“ファミカセ”を、さまざまな角度で切り取り、ピックアップしてシリーズを企画。第1回のテーマは「プレイリストに入れてずっと聴きたい名曲BGM」。

容量に限界の中で…制作者たちの努力と工夫を感じられるファミコンBGM

 近年ファミコンが再評価されるなかで、希少性や難易度などで価値が計られるケースが多いが、そこで使われる音楽が高く評価されているものもある。ファミコンBGMの魅力についてフジタは、「物事って壮大すぎるものよりも、意外とシンプルなものの方が良かったりするじゃないですか?その最たるものだと思います」と話す。

 そこには、「ファミコンは容量に限界があったので、そことの闘いでもあります。基盤だってチップを1つ載せるか載せないかで表現できることは増えるけど、そこにコストがかかる。会社からは『コスト下げろ』と言われていたと思いますし、グラフィックと音楽で容量を取り合ったなんて話も聞いたことがあります」というファミコンならではの事情も絡んでいたという。

 そういったものも加味して、フジタはファミコンBGMの魅力は「限られたなかで、表現することに挑む制作者の努力とか工夫がすごく感じられるところだと思います。しかも、いまでこそ音楽もグラフィックも評価されていますけど、当時はそんな裏の話は出てきていないし、評価もなにもなかったですから。こうして語り継いでいくことが、その制作者の皆さんの苦労に報いることかなと思っています」と語る。

フジタが選ぶ「ずっと聴きたいファミコンBGM」3選

スペランカー(1985年/アイレム)
フジタオープニングテーマが素晴らしいです。電源入れると最初の画面で流れる音楽なんですが、とにかく長い。スペランカーって無謀な探検家のゲームですが、そのストーリーと全然関係ない、悲し気な音楽なんです。それがすごくいい。「なんでこの音楽がオープニングなの?」って疑問もありますが、一般的にもすごく評価されています。オープニング以外は、普通にゲームに合った音楽ですね。

 個人的な話をさせてもらえれば、小学生の頃、学校が終わって誰もいない家に帰って「スペランカー」をセットして、電源を入れるんです。そうすると、暗い部屋にカセットの赤いダイオード(スペランカーのカセットには赤いダイオードが付いており、電源と連動して赤く光る仕様)がついて、その物悲し気な音楽が流れてくる。それが自分の置かれたシチュエーションにピッタリハマった。ゲーム内容はすごくコミカルでバカなんですけど、そのギャップが良かったですね。

 今スペランカーは、「史上最弱の主人公」みたいな扱いで、難しいゲームとして知られていますが、原作の主人公はそんなに即死しないんですよ。ビデオゲームとしてアメリカで発売されていたものを日本の制作会社のアイレムがアレンジしてあの形にしたんです。でも即死するアレンジをしたから、あれだけ売れて、今も語り継がれているんで、結果良かったんですよね。原作者の方も、このヒットで巨万の富を得たと言われています。
不如帰(1988年/アイレム)
フジタ戦国シミュレーションといえばコーエーのイメージが強いと思いますが、個人的にはコーエー作品はあんまりやってないんです。戦国シミュレーションは、ナムコの「独眼竜正宗」とこの「不如帰」ばかりやっていました。内容もいいんですけど、音楽に関しては今も確実に評価されています。最初の方はすごくポップな音楽なんですけど、物語を進めていくと、10年おきくらいに音楽が変わっていって、どんどん大詰め感が出てきてすごくいい音楽になっていきます。当時はこの音楽の良さも手伝ってやりまくりましたね。

 すごくいい曲があって評価もされてるんですけど、なぜかこの曲のCDは事情があって出せないらしいです。PSPで「戦国絵札遊戯 不如帰 大乱」が出たんですけど、タイトルと戦国時代を取り扱ったこと以外、画も音楽が全然違う感じになっていて個人的に残念でした。

 日本統一を目指していろんな武将からスタートできるんですけど、僕は全武将でクリアしました。九州の阿蘇惟将(あそ・これまさ)でスタートしたときはきつかった。九州って島津家や龍造寺家、大友家とか有力大名に囲まれていて、そこからのクリアは大変でした。
ドラゴンクエストIII(1988年)、IV(1990年/共にエニックス)
フジタベタだと言われると思いますが、ドラゴンクエストシリーズは本当に素晴らしいです。音楽を手がけられているすぎやまこういちさんのセンスが本当にすごい。物語の世界観に合っていますし、迷宮だったり、街だったり、戦闘だったり、1つ1つが、それぞれのシーンに合ったすばらしい音楽を付けている。特にIII、IVは秀逸です。

 なかでも、IIIのラーミアの音楽(「おおぞらを飛ぶ」)が群を抜いていい。幻想的で壮大、羽ばたいて空を飛ぶラーミアの雄大さが見事に表現されていると思います。当時、この曲が好きすぎて、意味もなくいろいろなところをラーミアでさまよって聴いていましたし、その音をウォークマンで録音してテープで聴くくらい好きでしたね。

 IVに関してはこの曲ということではなく、「章」仕立てになっているにも関わらずそれぞれ異なるので、いろんな音楽が聴け、それがどれもハマっていました。IVは人生において、一番寝ずにやったゲームです。当時学校でも流行っていて、どこまで進んだか友達同士で自慢していました。それ以降いろいろなゲームをやってますけど、ここまで熱中したゲームはないですね。

→次回は「ファミコンの限界に挑む グラフィックが美麗なソフト」

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