2018年6月にフルモデルチェンジし、質実剛健な“角ばった”ボディが人気のスズキジムニー（JB64・JB74）。オリジナルのまま乗っても十分かっこいいのだが、カスタムベース車としても非常に有能。ユーザーの“求め”に応じる形で、さまざまなメーカーがカスタムパーツを開発・販売している。今回そのなかでも、2019年に高級輸入SUVのオマージュモデル（パーツ）を発表し大きな注目を集めたカスタムショップ「DAMD」（ダムド）に、人気のカスタムジムニーについて話を聞いた。

ベンツGクラス、ディフェンダーのオマージュモデル発表で、カスタム未経験者も注目

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  JIMNY "little G."（JB64）
  画像提供／DAMD

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  JIMNY SIERRA "little D."（JB74）
  画像提供／DAMD

　2018年に、現行モデルのジムニーが発表されてから、社内の満場一致でカスタムパーツの開発がスタート。社内では常に「どうカスタムするか」の議論が止まず、アイデアが湯水のように湧いているという同社だが、その始まりは、2019年の東京オートサロンでも賞を受賞した『little G.』と『little D.』。この2台のCGをHPで先行発表した際、反応がすごかったという。

「一番最初に開発をスタートしたのが、オマージュカスタムとして『AMG G63』をモチーフとした『little G.』と、『ディフェンダー』をモチーフとした『little D.』の２デザインでした。弊社がジムニーのカスタムを行うという、“開発宣言”として、この2台のCGを各メディアへ公開したところ、サイトのアクセスは急激に増えたり、初めてYouTubeの再生数が10万回を超えたり、最新情報お知らせメールの登録が5000近くあったりとこれまでに経験したことのない反響があり、衝撃を受けたのを覚えています。もちろんジムニーという車種の注目度の高さもそうですが、カスタムというものに今まで触れてこられなかった層の方々にも好意的に見ていただけたことが大きかったと思います」

　2台とも高級輸入SUVをオマージュしながらも、それぞれに開発コンセプトやこだわりのポイントは異なる。

「『little G.』は、現行ジムニーは街乗りで使用する方も多いということで、より高級感、都会感を強めたカスタムをイメージしました。“Gクラス”をオマージュしながらも、ジムニーのボディやサイズ感になじむよう、実はかなり大規模のアレンジを加えています。いい意味で『めちゃくちゃGじゃん！』と言われるキットを目指しました。ジムニー純正のグリーンやグレーなど、“小さいG”を好きな色で好きな仕様で、よりカジュアルかつおしゃれに楽しんでいただけたらと思って制作しました。
　一方で、『little D.』は、キャンプやオフロードに似合う、ジムニーの王道カスタムを欧州の伝説的四駆をオマージュしました。こちらもオマージュ元とは、よく見ると全く違う造形になっており、ジムニーのデザインやサイズに合うよう完全に新規造形しています。ディフェンダーとの共通点はグリルの四角枠とウインカー類の縦2連だけにもかかわらず、その空気感を感じていただけると思います。バンパーなどで効いているファッションボルトは実は家具で使われるボルトを採用しています。固定概念に縛られず柔軟な発想で、渋さを表現しています」

1番人気は『the ROOTS.』、クラシックなデザインとカスタムのしやすさが人気

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  JIMNY SIERRA the ROOTS（JB74）
  画像提供／DAMD

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  JIMNY the ROOTS.（JB64）
  画像提供／DAMD

　完成前から話題を集めていたこの2台は、2019年の『東京オートサロン』で初お目見え。その時の反応もすごかったという。

「東京オートサロンでは、『最初からこの姿だったみたいなフィット感ですね！』といううれしいお言葉もいただき、弊社が長年培ってきた純正並みのクオリティをしっかりと体感いただきました。
　これらの2台を実際に開発して改めて思ったのですが、ジムニーという車がとてもカスタムに適した設計をされていることに驚きました。各パーツがモジュール設計で独立しており、また取り付け設計のしやすさまで考えられているように感じ、『今後ジムニーカスタムはより盛り上がっていくだろう』と感じました」

　この読み通り、今やこのジムニーのカスタムはさまざまな方向性で、実に多岐にわたり広がっている。同社でもさまざまなパーツの開発をすすめ、『little G.』と『little D.』以外にも発表。やはり反響の大きさから、一番人気はオマージュモデルのいずれかかと思いきや、1番人気は意外にも違うという。

「最も人気があるのは、『the ROOTS.』というモデルです。ジムニーが大好きな方のために現行の安全装備、性能で初代の雰囲気が楽しめると素敵だなというのが、そもそもの制作コンセプト。ウインカーの位置をあえて少し下げ、さらにわずかに小型化させるために新規オリジナル品を設計したのがこだわりで、これによって初代ジムニーのどこかとぼけたようなかわいさを表現しています。
　人気の理由は、クラシックなデザインとカスタムのしやすさでしょうか。エクステリア3点キットというフロントグリル、前後バンパーの3点セットをカスタムパーツとして用意しているのですが、他のシリーズと比べ、パーツ点数が少ないにも関わらず、ガラッと印象が変わります」

　クラシックかつシンプルなカスタムが好まれているという現行ジムニー。それは、今までカスタムカーに触れてこなかった人たちへの、入り口のようなかたちとなっているからなのかも、とも分析する。

「私たちのカスタムは『今までカスタムカーに触れたことがなかった方』に選んでいただくことが非常に多いです。そういった方々が深層心理で何を求めているのかをしっかりと分析し、素直にシンプルに物づくりをしていきたいと考えています。そして、カスタムしたあとも純正同等の安全性、整備性、手間の無さで、より幸せなカーライフを送っていただけるよう、開発の誠実さも忘れず商品提案をしていきたいです。これからも、小さい車から大きな車まで、お客様の生活や趣味の景色がより素敵なものになるような、“相棒”となるカスタムカーを提案していきたいと思います」