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キャンプ&車中泊に使えると話題のオートバックス“新車”、忖度なしの最速試乗レポ…“満場一致”で不満な点も
【外装】「ジムニーの対抗馬になれる」と絶賛、一方で「欲を言えば他色展開も」
・運転歴20年弱。ここ数年所有していないが、車好きの編集A氏(免許あり・男性)
・日常的に運転し、家族でアウトドアライフを楽しむカメラマンB氏(免許あり、男性)
・月に数度、実家の車を運転する山好きライターC氏(免許あり、女性)、
・登山好きだが車は運転しない編集D氏(免許なし、女性)
カー用品店で知られるオートバックスのプライベートブランド「GORDON MILLER」では、アウトドアを含めたライフスタイル全般で活用できる、機能的でスタイリッシュな商品を展開。2019年、新たに「GORDON MILLER MOTORS」という車両レーベルを発足し、トヨタ『ハイエース』をベースにした『GMLVAN V-01』(以下/V-01)、日産『NV200バネット』をベースにした『GMLVAN C-01』(以下/C-01)を発売。特に、感度の高いアウトドア派から注目を集めてきた。これらを背景に、これまでそのサイズ感からなかなか乗れなかった人たちに向けて開発されたのが、『V-01』『C-01』よりもサイズダウンした『S-01』だ。
これまで、HPなどで見る機会があった4人だが、実車を目にした瞬間、評判通りのビジュアルに絶賛の声が上がる。
「(軽自動車で人気の)スズキジムニーの対抗馬になれるくらい、デザインがいい」(B氏)
「もう顔がカワイイ。車には全然詳しくないけど、これに乗るために、軽率に免許が欲しくなりました(笑)」(D氏)
「人とかぶらなそうなところがいい。乗りながら、内心ドヤってしまいそう」(C氏)
と、これが初見という3人からは、見た目にベタ惚れな意見が飛び交う中、以前から情報をキャッチアップしていたA氏からは、「色(コヨーテ)はもっと濃い印象だったけど、屋外で見たらそこまで濃くないな」という冷静な感想も。ちなみに色は、メーカー工場塗装で『GORDON MILLER』のキーカラーでもある、オリーブドラブ(GMLVAN オリジナルカラー)とコヨーテ(ダイハツサンドベージュメタリック)の2色展開。ユニセックスなアースカラーとクラシカルな丸目デザインは、車好きか否かに限らず、おおむね受けが良いようだ。一方で、車好きからはこんな意見も。
「欲を言えば、もう少し色を展開してくれたら。選択肢の幅が広がるとうれしいですね」(A氏)
【内装・装備】隙間なく閉まるカーテン◎、後席の荷物を「固定できるフックがほしい」
「天然木は質感もよく、経年で風合いが変わるっていうのが楽しみですよね。どんどん、愛着がわいていきそう」(A氏)
「バックミラーがカメラ付きのインナーミラーになっているから、視界を気にせず荷物を積み重ねられるのもいい。軽自動車なのに機材がたくさん詰め込めるから、仕事用に、という選択肢もあるかな。その場合、後ろで荷物を固定できるようなフックがあると、より助かりますね」(B氏)
「キャンプにしろ、山登りにしろ、準備がてら車の中で着替えることって多いんですよ。日が昇る前とか、下山後とか。これ、カーテンも隙間なく閉まるし、ライトも調節できて、ものすごく細いところまで気が利いてますね」(D氏)
「撮影でもモデルさんの着替え場所って意外と困るんですよね。でもこれは、機材を下ろせば、着替えてもらうこともできる。重宝しそう」(B氏)
また、これまで発売してきた『V-01』『C-01』にはない、パワースライドドアが装備され、自動で開閉できることも特徴と言えるだろう。
「ドアの開閉が静かなのも、アウトドアをやる人には重要みたいですね」(A氏)
「登山口の駐車場では、車中泊することもありますから。うるさくないほうが、ありがたいです」(C氏)
こうした細かい仕様は、先に発売した『V-01』や『C-01』のオーナーから、要望を細かく聞き出し、反映させることで実現。後部に付いているテーブルは、まさにこうした意見から生まれたものだという。
「テーブルがついているのもすごい。これ、本当にちょっとした小部屋ですよ。食事も仕事もできるし、災害時などは非難スペースになるのでは」(C氏)
外観同様、おしゃれな内装と機能性、見た目以上の積載力、それを見越した装備には、全員一致でプラスの評価となった。
【運転性】取り回し◎も、車好きが気になった“音”と、満場一致で不満だった後部座席
「エンジン音、ロードノイズが少し気になるかな」(B氏)
「うん。(アクセルを)踏み込んだときに、ターボのキーンって音がするのは、若干気になりますね。パワーの部分も含めて、軽自動車である以上、ある程度仕方ない部分ではありますけどね」(A氏)
という車慣れしている2人に対して、「まったく気にならない」「音? 言われないと分からない」と言うC&D氏。今回乗った車がオーディオレスで試乗時に無音だったため気になったが、音楽をかけたり、おしゃべりしていると気にならない可能性は高い。
音より何より、後部座席からは別の問題が勃発した。それは、シートの硬さと背もたれの角度。
「これはクッションとかを敷かないと、長時間座っているのがキツイ。早々に腰に来ます」(C氏)
「背もたれって調節できないのかな? 4人で出かけるとなると、マメに座る場所を交代したくなるかも」(D氏)
と、長時間のドライブには向かないという意見が。だが、これも後部座席が倒れ、折りたたんでフルフラットにするための仕様のため、致し方ない部分もある。
そもそも『S-01』の「S」には、「Small」「Simple」「Smart」という意味が込められており、大きいサイズである『V-01』と『C-01』という2台のバンがあるからこその展開。短時間の買い物など普段使いでは後部座席も使えるが、長時間ドライブをして目的地に向かうことを考えると、1〜2人用として、最適なセレクトになりそう。実際、後部座席から前列に移ってみると、かなりの快適さだった。
「軽自動車ってガタガタするとか、そういうイメージだったけど、全然そんなことないし、乗り心地いいですね。前の席は(笑)」(C氏)
「前も後ろも(コーデュラの)シートカバーがあるから質感はいいけど、シート自体の作りが違うからクッション性には差がありますね」(A氏)
また、軽バンの特徴である“箱型”については、取り回しのしやすさに対する意見が上がった。
「箱型でボンネットがないから運転しやすいし、視界も高さがあって広く感じます」(A氏)
「最近の車って丸いから、運転席からだと左側が見えにくいんだけど、この車は見やすいですよね。ハンドルの位置も詰まりすぎてなくて、スペースもちゃんと確保してあるので運転しやすいですね」(B氏)
【総括】価格は少々高いが、目的との折り合いがつけば、所有する満足度は高い
「街で運転する分にはまったく感じられなかったけど、例えば横風を受けた時、箱型なので多少影響がでるかもしれないですね」(A氏)
「私は人の車に乗せてもらっているだけなんですけど、登山口の駐車場とかって、舗装もされていないし、上り坂もあるので、そこは大丈夫なのかな?」(D氏)
「パワーに関してはターボが付いているので、軽自動車なりにがんばっている感じはありますよ。登山口がどの程度の場所なのかはわからないけど、キャンプ場なら問題はないかなと。それに、この車は狭い道の走行や駐車がすごくしやすいと思います。僕も都内で細い道に入っていくことが結構多いんですけど、小回りが利いて楽そうです」(B氏)
「私のような、たまにしか運転しなくて腕に自信がないドライバーからすると、それはすごく心強い(笑)」(C氏)
というわけで導き出された結論は、街乗りはもちろん、1〜2人でのキャンプなど“秘密基地”的に使うのがベスト。とはいうものの、細いところまで配慮が行き届いており、使うほどに愛着がわくであろうことは、この数時間の試乗体験でも一致した意見であった。
また、2WDで319万円、4WDで338.8万円という価格については、
「軽自動車の価格帯が上がってきているなかで、これだけの装備を付けたらそれくらいするだろうなと分かっていても、なかなか高い印象ですね」(B氏)
「自動車にあまり詳しくないからこそ、軽自動車という部分にもデメリットは感じないし、この見た目と内装には惹かれますね。自分が車を買うとしたら、十分選択肢に入ります。ただ、私にとって“初愛車”でこの金額はなかなか勇気がいります(笑)。例えば、パートナーや家族と共用するなら、ありかな」(D氏)
と、他2人の意見もあわせて4人全員が少し高い印象。一方で、「日常使いやキャンプで、この車を所有して楽しむことが価値になると思うんです。実際注文は殺到しているようなので、そこに価値を見いだしている人が多いのだと思います」(A氏)という意見も。価格というハードルは高いが、それを乗り越え、所有したあとの満足度は高そうだ。
「移動できる小さい部屋を所有できるイメージです。この車で一人旅がしてみたくなりました」(C氏)
「体格がいい私からすると、ちょっと手狭な部屋ではあるけど(笑)、“秘密基地”みたいで、ロマンはありますね。あと軽自動車なので、税金面で普通車よりも安く済むのもうれしい」(A氏)
「うちは子どもが中学生と高校生なので、現状だとファミリータイプでないと厳しい。なので子どもたちが巣立ったあと、夫婦でどこかキャンプにでも行くか、というステージになったときに使いたいですね」(B氏)
“お気に入りのガレージライフをそのまま外に持ち出して、バンライフとして楽しもう”というコンセプトのもと、より趣味とロマンに特化した車であり、リーズナブルさより満足度を優先している印象だ。こだわり抜かれたものだけに、刺さる人には大いに刺さる車ではないだろうか。
取材・文/根岸聖子