(更新:)
ORICON NEWS
「メイクは魔法ではない、でも…」低身長に悩んだ男子が女装しメイドに?「まず外見を磨くという考えは間違っていない」
思春期には身長の悩みも、「もっと背が高かったら自分に自信がつけられたのかな」
チーズナン葵さん もともと写真活動をしていて、撮るだけでなく、撮られる側の気持ちも理解したいという思いがあったんです。そこから、自分も被写体になる機会がだんだん増えていって。せっかくなので、女装・コスプレに興味はあるけど、なかなか一歩を踏み出せない…という人たちに向けて、「しっかりメイクをすれば、こんなに変われるよ」ということを知ってもらいたいと思い、投稿してみたんです。
――投稿してみて、どんな反響がありましたか?
チーズナン葵さん 「明るくなったね」、「7年経って若返ってる!」、「努力したんだなあ」、などのお言葉をいただきました。
――垢抜ける前、容姿に関して嫌な思いをしたことはありますか?
チーズナン葵さん ありがたいことに、周りで容姿のことをいじってくる人がほとんどいなかったので、他人に嫌な思いをさせられたことはありません。それでも、思春期のころから身長の低さにはコンプレックスがあり、高身長に憧れがありました。もっと背が高かったら自分に自信がつけられたのかな、と感じたことは何度もあります。
――女装をするようになって、心身にも変化はありましたか?
チーズナン葵さん メイクは決して万能ではないし、魔法ではないと思っています。限界があるし、メイクだけでは補えない部分もあります。でも、メイクをすることで、コンプレックスをカバーできたり。それによって自信が芽生えて、どんどん人前に出られるようになったり。自分の魅力を知ってもらうきっかけになる…という意味では、女装・メイクには大きな可能性があると感じています。中身を知ってもらうため、まず外見を磨くという考えは間違っていないと思うので、今後もより魅力的な自分になれるよう、努力し続けていきたいと思っています。
メンズコンカフェで「自分のやりたいことを最大限に発揮」
チーズナン葵さん 自分としてはジェンダーは気にせず、似合う格好をするのが楽しくて取り組んでいるだけなので、女装という意識はなくて。なので、メイクの話になってしまいますが、写真活動を始めたばかりのころ、モデルさんに「どんなメイクがいいですか?」と聞かれたことがあったんです。けれども、そのときはメイクに関する知識がゼロだったので、何も答えることができなくて…。そこで、このままではいけないと思い、自分自身を練習台にしてメイクの勉強を始めて。そこから徐々にメイクそのものが楽しくなってきて、気づいたらハマっていった…という次第です。
――どのようにしてメイクの技術を習得されたのか、そうした努力・取り組みについてもお聞きしたいです。
チーズナン葵さん YouTubeに上げられているメイク関係の動画を片っ端から見て。どんなメイクが自分に合いそうか、研究しました。なぜそこにハイライトを置くのか?アイラインはなぜ、その長さにするのか?涙袋を強調する理由は?…など、ただ単に技術覚えるだけでなく、自分自身が理解して、人に説明できるようになるまで、くり返し見ながら練習を重ねました。
――現在はメンズコンカフェにも勤務されていますが、こちらに勤められるようになった経緯も気になります。
チーズナン葵さん もともとコンカフェでのお仕事に興味があり、人と話すことも好きだったので、これまでの経験を生かして働ける場所はないかなと探していたんです。そうしたら、SNSで繋がっている知人がキャスト募集のツイートをしていたので、これだ!と思い、その日のうちに応募しました。
――お店ではどのような活動をされているのでしょう?
チーズナン葵さん BabySwanというお店で、メンズコンカフェという枠組みのため、在籍しているのは男性のみですが、常時女装のキャストや、その日の気分で男装・女装を切り換えて出勤するキャストも多く、ジェンダーレスな雰囲気を楽しんでいただけるようになっています。自分のやりたいことを最大限に発揮できる場所なので、ここに入れて本当によかったと思っています。
――お客さんはどういった層の方が多いのでしょう?
チーズナン葵さん 女性の方が多いものの、男性でも常連で来てくださる方はけっこういらっしゃいます。メンズコンカフェというと、ホストクラブのような雰囲気を想像される方も多いと思うのですが、うちのお店は実家のような雰囲気でお客様同士も仲がいいので、学生の方から社会人の方まで幅広い層に来ていただけています。
「悩んだり迷ったりしているのは自分だけじゃない」と知ってほしい
チーズナン葵さん 写真活動や女装・コスプレ活動を通して、若い子に限らず、表舞台で活躍したいと思っている人が本当に多いことを実感しました。そして、それと同じくらい、自分のアピールポイントを見つけ出せず、苦労している人が多いこともわかったので、いつか自分の培ってきたノウハウを生かして、そういった方たちのサポートをしていきたい…というのが目標です。
――ビジュアルも含め、自身のやりたいことを貫くチーズナン葵さんの生き方には、共感する人も多いと思います。最後に、そうした「やりたいこと」がありながらも、なかなか一歩踏み出せない人、迷っている人に、ひと言お願いします。
チーズナン葵さん 僕自身もずっと迷いながら、正解を探しながら生きています。流行り廃りもあるので、明日には自分が正しいと思っているスタイルも、お終いになってしまっているかもしれません。なので、「悩んだり迷ったりしているのは自分だけじゃない」ということを知ってほしいですね。答えはわからないながらも、やりたいことを続けて。それで応援してくれる人がひとりでもできたら、その取り組みは「正解」ということになるんじゃないかな…と思います。
(文:ソムタム田井)
チーズナン葵さん(外部サイト)
チーズナン葵のカメラアカウント(外部サイト)