(更新:)
ORICON NEWS
明治が常温で91日保存可能な牛乳を発売 大量廃棄や食品ロス削減に貢献「保存料などの添加物は一切使用していない」
北海道産生乳を100%使用した特選牛乳で、かつ常温保管が可能
「パッケージデザインでは、重要書類に封をして本物であることを証明するために使用されてきた封蝋(シーリングスタンプ)をモチーフにすることで、特選牛乳へのこだわりや特別感を表現しました」
近年、北海道の生乳生産量は増産傾向にあり、その活用が課題となっていた。好調な生産の一方で、生乳の廃棄問題が深刻化。そうしたなか、常温保存可能品である「ロングライフ牛乳(LL牛乳)」が、注目されていた。
「LL牛乳の生産量は、冷蔵牛乳と比べると規模は小さいものの中長期的に拡大傾向にあり、食品ロス意識の高まりなどが背景にあるものと捉えています。またコロナ禍以降、消費者意識の変化のひとつにメリハリ消費といった“普段より少し良いものを買う”傾向があります。これらの背景から“北海道産生乳を100%使用した特選牛乳で、かつ常温保管が可能”という、今までのLL牛乳とは差別化を図った新商品として発売しました」
従来の紙パックで販売されている牛乳の賞味期限は、製造日を含む15日。同社が販売する『明治おいしい牛乳900ml』の賞味期限は、製造日を含む19日。常温で91日の長期保存が可能な本商品は、「牛乳の賞味期限を伸ばすことは、容易なことではありません。本商品発売を機に、賞味期限の見直しを行い、品質上問題ないことが確認できたため、賞味期限を製造日含む91日と設定しました。このような賞味期限延長の取り組みは、『LL牛乳』に限ったことではなく、主力商品である『明治おいしい牛乳』など、各商品においても、賞味期限の延長に向け取り組んでいます」
加熱滅菌した牛乳を無菌状態で充填、保存料などの添加物は一切使用せず
要冷蔵の牛乳の場合、120〜130度で1〜3秒間殺菌するが、「LL牛乳」は130〜150度で1〜3秒間生乳を滅菌している。また「LL牛乳」は、紙容器にアルミ箔を貼り合わせ、光と空気を遮断した“アセプティック容器”を使用。一方の要冷蔵の牛乳容器には、アルミ箔は使用されていない。「LL牛乳」は滅菌した容器に、加熱滅菌した牛乳を無菌状態で充填されている。
とはいえ、常温保存が可能と聞けば、「保存料などの人工的なものが入っているのでは…」と思う人もいるだろう。近年は自然志向が強く、過敏に反応する人も少なくない。
「『明治特選北海道牛乳』は「LL牛乳」であり、その長い賞味期限を実現できる理由として、中身も容器も滅菌して製造しています。そのため、保存料などの添加物も一切使用していません。ただし、開封後は普通の牛乳と同じように、賞味期限にかかわらず、早めにお飲みいただくように注意喚起しています。パッケージ側面にもその旨を記載しています」
豆乳は、かねてより常温のものも多く販売されている。そもそも牛乳は、冷蔵保存しなくても良いのだろうか。
「牛乳が冷蔵保存しなくても良いわけではありません。『LL牛乳』は、冷蔵の牛乳とは異なる製造工程や条件(殺菌方法、包材等)で製造しています。そのため冷蔵の牛乳は、10度以下で保存する必要があります」
賞味期限切れによる食品ロスの削減に貢献 “生乳”の価値を高め牛乳市場の活性化が狙い
「従来の冷蔵牛乳は賞味期限が短いこともあり、『飲み切れずに、余ってしまう』ことが多い食品のひとつでした。また、コロナ禍での買い物回数の減少によるまとめ買いの増加や、メリハリ消費、エシカル消費といった消費トレンドが見られます。本商品は、常温で長期保存が可能なので、まとめ買いによる保存にも便利です。賞味期限切れによる食品ロスの削減に貢献することができると考えています」
ヨーロッパで広く普及している「LL牛乳」だが、国内ではまだまだ商品数も少なく、一般認知度も低い。同社は、『明治特選北海道牛乳』を通して生乳市場の可能性を追求していくと言う。
「当社の使命は、“生乳”の価値を高め、その価値を広めていくこと。そのなかで、本商品のポイントは、LL牛乳での“賞味期限延長”かつ“特選牛乳化による差別化”を図った点と考えています。牛乳市場の活性化と共に、生乳の消費拡大に取り組み、持続可能な社会の実現に向けて社会的問題の解決に微力ながら貢献していきたいです」