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「俺のステイホームなめんなよ!」SNSで話題になった100均アヒルロボ制作者、コロナ禍に訪れた変化
100均グッズでの制作は自分への戒めも、「世界が尊敬する日本人100」選出は“持ちネタ”に?
安居智博 なんだかよくわからない特殊な素材を使って作られるより、知っているものを変換して作られているほうが、「あれがこんな風になるんだ」という面白さがあると思います。専門的な造形をやればやるほど、そういうことを忘れてしまう。「造形の驚きはシンプルなところにある」というのはとても大事なことなので、自分への戒めの意味もあります。
――100円ショップで手に入る素材が多く使われていますが、安居さんにとって100均はどんな存在ですか。
安居智博 「造形の材料やヒントを見つけに行く」という視点がひとつ加わるだけで、今までとはまったく違う場所に見えてくるようになりましたね。
――一方で、これまでに『ニューズウィーク』誌の「世界が尊敬する日本人100」に選出されたり、美術の教科書に掲載されたりもしています。そういったことによって、何か影響はあったんでしょうか?
安居智博 あまり変わらないですかね。『ニューズウィーク』に関しては、あまりにも不思議な出来事すぎて、何が起きているのか理解ができませんでした。当時はちょっと恥ずかしさもあったのですが、今となっては自分の持ちネタとか一発ギャグみたいな感じで、みんなに言えるようになりました(笑)。
――美術の教科書に関しては?
安居智博 ちょっと早すぎたのかなって(笑)。掲載されたからといって、特に何かが起こるようなことは当時はなかったです。むしろ最近になってから、「そういうことがあったんですね」とか、「結構尖ったことしてたんですね」などと言われることが増えてきましたね。
子ども時代に悟った、「自分がやりたいことと人が望んでいるものは違う」
安居智博 自発的に作るものと発注されて作るものは、ずっと分けて考えるようにしてきました。実は、子どもの頃からそういった考えは持っていたんです。カミロボを作って友だちに見せてもあまりいい反応は得られなかったんですが、ガンダムのプラモデルを綺麗に作り上げて見せると、ものすごくウケが良くて(笑)。だから、「自分がやりたいことと人が望んでいるものは違うんだな」って、子どもながらに感じていました。最近になってようやく、その両方の感覚を混ぜながら制作できるようになってきましたが。
――子どもの頃から、プロのようなお考えですね(笑)。プロといえば、安居さんのように海外で展覧会を開かれているような方が、SNSでも作品を発表している…というのも面白いと思います。それぞれ、意識の違いはあるんでしょうか?
安居智博 プロレスが好きなのでプロレスに置き換えて考えると、別の国のリングに上がるような感覚です(笑)。アメリカにはアメリカのスタイル、メキシコにはメキシコのスタイルがあり、そこに日本人レスラーが遠征をして、そのスタイルの中で戦い方を変化させるようなイメージですかね。
――なるほど(笑)。最近は一般の人もSNSで作品を発信して、大きな反響を集めることも多いです。そういったことに対してはどう感じていますか?
安居智博 本当に、時代が変わったんだなって実感しています。僕が最初にカミロボを発表したときはSNSがまだ無かったので、“ひとり遊び”を発表すること自体が面白がられたんです。当時は「発表する」というのはとても特別なことだったのですが、今はどんなものでも、誰でも自由に表現できるので、いい時代になったなと思いますね。
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