ORICON NEWS
ニッチな調味料「誰でもお店の味を再現」はホントなの? “プロ泣かせ”紹興料理酒の秘めたるチカラ
自宅で紹興料理酒を使用したことがある人は25%と低認知
家で作る中華料理にも変化はあるのだろうか? ORICON NEWSでは、全国の20〜60代の男女1781人を対象に、本格中華料理に欠かせない調味料である「紹興酒」の利用実態調査を実施。ところが、「飲料の紹興酒」については全体の85.1%が【知っている】と回答したものの、「料理用紹興酒」はグンと下がり25%と低い認知度に止まった。
この結果を受けて『日の出 紹興料理酒』を製造・販売するキング醸造株式会社のマーケティング戦略課リーダー・馬場達也さんは「ニッチな商品ですので、おおよそ予想はしていました……。でも逆を言えば、まだまだ伸びしろがあるということだと捉えています!」と前向きに答えてくれた。
この結果から、紹興料理酒を使っている人は、たまに作る凝った本格中華だけでなく、ごく普通の“おうち中華”にも利用しているのでは? と推測できる。実際はどうなのだろうか。
ただ炒めるだけでお店の味? ひとかけで高まる“美味しさのポテンシャル”
「油との相性がいいですから、炒め物には本当によく合いますね。加熱工程にひと回し入れてあげるだけで、本格中華ならではの香りが立ちます。アンケートには上がっていませんが、普通の野菜炒めに使うだけで『お店の味になる』とおっしゃった方もいました。普段、清酒系の料理酒を使ってお料理されている方なら、すぐに違いに気づいていただけると思いますよ」(安井さん)
たしかに清酒系の料理酒ならだいたいの家庭にあるため、中華料理にも使う人は多いだろう。それでも紹興料理酒でしか出せない「美味しさ」があるはずだ。
ちなみに「料理用紹興酒で作ったことのある料理」アンケートの4位は、おうち中華の基本中の基本とも言える【チャーハン】だった。
「チャーハンもいいですね! 仕上げに鍋肌に沿って加えると香ばしく仕上がります。もっと簡単な使い方ですと、市販の中華の素やお惣菜にプラスするのがオススメです。紹興酒を大さじ1ほどかけて加熱するだけで、さらに本格的な味わいが楽しめますよ」(馬場さん)
ニッチが故に売上は低空飛行…それでも発売し続けた理由「根強いユーザーが支え」
しかし当時は現在よりもさらにニッチな調味料だったため、売上は難航。一時は製造・販売を休止する憂き目にもあっている。その後、家庭料理が多様化した2000年頃に再発売したところ、主に料理にこだわる層から大いに歓迎された。
「そこから約20年、売上が大きく伸びることも下がることもなく現在に至ります。再発売以来、継続して使っていただいている愛用者さんたちに支えられているとも言えますね。販売店さんが取り扱わなくなると、『あれがないとうちの味にならないんです』といった問い合わせがよく入る商品でもあります」(馬場さん)
「もっとサイズを小さくしてもいいんじゃない? という声は愛用者さんたちからもいただいていました。紹興料理酒は清酒系の料理酒よりも個性が強いので、少量でもしっかりした風味がつくんです。だから使い始めはチョイ足しで十分。使い慣れたら唐揚げの下味に揉み込むなど使う量もだんだん増えていくかもしれませんが、まずは試していただけたらうれしいですね。あくまで料理酒ですので、普段からお料理をしている方であればすぐに応用がイメージできると思いますよ」(安井さん)
外食がままならない昨今、家庭料理を少しでもおいしくしたいと思っている人は多いはず。かと言って、毎日の料理に凝りまくるのも難しい。そんな今こそ、普段のおうち中華を簡単にグレードアップできる紹興料理酒の秘めたるチカラは、ある意味「気づいちゃったモノ勝ち」の“禁断の調味料”なのだ。
(取材・文/児玉澄子)