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山崎育三郎の“核”を作ったミュージカル3作 「誰よりも『レ・ミゼラブル』が好きなだけだった」

観てくださる方がいて、自分は成り立っている

――今、テレビでミュージカルのことが取り上げられ、多くの方がミュージカルに注目するようになったのも、山崎さんが事あるごとにミュージカル愛を語ってくださったことが大きいと思います。山崎さんご自身がミュージカルに教わった大切なこととは、何でしょうか。
そうですね……お客様の存在でしょうか。お客様がいらっしゃるからこそ、僕たちの仕事が成立している。数千円から1万円以上もする高額のチケット代をお客様が払って、時間を作って観に来てくださるんです。

コロナ禍の今は「密」対策のためできませんが、ミュージカルでは観終わった後にお客様が出待ちをしてくださる文化があって。初めは「今日、ファンになりました」という3人の方に握手をしたのが、5人、10人、100人、500人と増えていって。最高で2時間半かけて、出待ちのお客様と握手しました。

僕はテレビ育ちではないから、お客様の存在がいまだに一番大事なんですよ。観てくださる方がいて、自分は成り立っている。テレビに出ているときも同じで、視聴者の皆さんという意識は必ず持っているし、自分だけでやっている感じはまったくない。テレビを観てくださっている方に対する感謝の気持ちが常にあるのは、舞台で生きてきたからなんです。

そして、チームという感覚。ドラマでもチームで一つの作品を作っているという感覚が持てるのは、舞台育ちだからだと思いますね。
――今回、山崎さんの“核”を作ったミュージカル3本を熱く語っていただきましたが、山崎さんが2016年の30歳のときに出版した自叙伝『シラナイヨ』(ワニブックス刊)にはその3作品を含めて、山崎さんのミュージカル愛と軌跡がぎっしりと詰まっています。9月10日には電子書籍化されました。
タイトルの『シラナイヨ』は祖父の口癖なんですけど、“育三郎にこんな過去があったのか……”と、皆さんに楽しんでいただける内容になっていると思います。

バラエティー番組では「ミュージカル界のプリンスです」と言ったり、朝ドラ『エール』でもキラキラの役を演じたりしていますが、そういうところだけではない、もう一つの山崎育三郎の物語をこの『シラナイヨ』で知っていただけると思います。

写真も多いですし、井上芳雄さんや浦井健治くんたちからのメッセージも載っています。スマートフォンなどに入れていただいたら、どこででも読めますので、ぜひ気軽に覗いてみていただけたらと思います。

プロフィール
山崎育三郎(やまざき・いくさぶろう)
1986年1月18日生まれ、東京都出身。幼稚園の頃に観た『アニー』がきっかけでミュージカルに興味を持ち、12歳のときに受けた小椋佳さん企画のアルゴミュージカル『フラワー』で主役デビュー。東京音楽大学在学中、『レ・ミゼラブル』日本上演20周年記念公演のオーディションで念願のマリウス役に抜てきされる。2010年には『モーツァルト!』で帝国劇場初主演を務め、第36回菊田一夫演劇賞・演劇賞を受賞。近年はTBS系『下町ロケット』(2015年)など、テレビドラマにも活躍の場を広げ、現在はNHK連続テレビ小説『エール』、日本テレビ系『私たちはどうかしている』に出演中。9月10日には、2016年に発売された初の自叙伝『シラナイヨ』(ワニブックス)が電子書籍化された。
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