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山崎育三郎の“核”を作ったミュージカル3作 「誰よりも『レ・ミゼラブル』が好きなだけだった」

帝劇のセンターに立ったときの感覚は忘れられない――『モーツァルト!』ヴォルフガング役

――そして、山崎さんの“核”を作ったミュージカル、3作品目は?
『モーツァルト!』です。
『モーツァルト!』
5歳にして作曲の才が花開いたヴォルフガング・モーツァルトは、“奇跡の子”と呼ばれていた。青年になってからも故郷ザルツブルクで音楽活動を続けていたが、領主のコロレド大司教に仕えて作曲をすることに嫌気がさしていた。「大司教に逆らうな」という父と意見が衝突。ついに自分を束縛する大司教に、怒りを爆発させてしまう。日本初演は2002年。
――天才ヴォルフガング・モーツァルトの半生を描いた作品で、山崎さんはこの作品で初めて、帝国劇場で主演を務めました。
自分にとってヴォルフガングは憧れの役で、いつかは演じたいと思っていた役でした。21歳でマリウス役を演じて、2年後の23歳でヴォルフガングが決まって。技術的にも精神的にも帝国劇場で主演を張るところまで達していないのが自分でわかっていたし、本当に追い込まれながら演じた作品です。

23歳で帝国劇場のセンターに立って、市村正親さん、山口祐一郎さん、涼風真世さんという大スターをバックに自分がカーテンコールを終わらせる。自分にできるのかと、本当に震えました。20代のときはずっと追い込まれる状態に自分を置いていた気がします。マリウス役もそうでしたが、自分が足りていないところに身を置いて、しがみついてもやるという繰り返し。

帝劇のセンターに立ったときの感覚は忘れられないです。自分が主演でない立場で出演するのと、主演とでは大違い。「今まで帝劇で主演された方々はこんな大変なことをやっていらっしゃったんだ」と心から尊敬しました。森光子さんや松本白鸚さんをはじめ数々の名優が立ってきた帝国劇場のセンターに、ミュージカルデビューして数年の自分が立ったのは、今考えても信じられません。

初めてヴォルフガングを演じたのが23歳で、今、僕は34歳。一番長く一つの役を演じさせていただいているのが『モーツァルト!』です。この10年の自分の変化を、ヴォルフガングを通して感じています。

ヴォルフガングを演じた初日、あばら骨にひびが入る大けがをしてしまったこともあって、いろんなことが重なり追い込まれていきました。でも、それ以降の仕事では、『モーツァルト!』初主演のとき以上に怖いことはないですね。
――ヴォルフガングを演じたことが、そこまで大きな経験になったのはどうしてでしょうか。
ヴォルフガングは基本出ずっぱりですし、どのミュージカルの楽曲よりも一番音域が広いので歌も大変なんです。でも、何より「帝国劇場を引っ張っていく」ということですね。

2018年に行われた『モーツァルト!』製作発表会見の模様 歌声も披露

――2010年-11年、2014年-15年、2018年と演じた『モーツァルト!』ですが、ご自分では成長の手ごたえを感じていらっしゃいますか?
成長というか、23歳のときと比べると、今は舞台にスッと立っていられる感覚があるんです。でも逆に言うと、初めて出演したときにしか出せないものもあった。だから、何がいいとか悪いとかはなくて、そのときの自分が反映されるものだなと思うんです。

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