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「まるで米津玄師が歌いそう」クリエイター・いとうせいこうが驚いた中学生の俳句とは?

 日本で生まれ育ったなら誰もが目にしたことがある「俳句」。五・七・五のリズムには妙な心地よさがある。この「俳句」と、伊藤園の『お〜いお茶』にはふか〜い関係があることをご存知だろうか。あの緑のパッケージを思い出してほしい。どこかに俳句がプリントされているはずだ。これは、毎年行われる「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」で選出されたもので、同大会は、今年で30回目を数える歴史ある大会だ。

今年の大賞は「猫」がテーマに

 記念すべき30回目の表彰式は、2019年7月3日(水)に東京の帝国ホテルにて行われた。式の冒頭では、伊藤園代表取締役社長の本庄大介氏が「今年で新俳句大賞とともに『お〜いお茶』も30周年を迎えました。開始からトータルで3,500万句が集まり、令和になっても皆様に愛される賞でありたい」と挨拶。大きな節目を迎えた大賞だが、今年はどのような俳句が選出されたのか。受賞作をいくつか紹介しよう。
「猫の寝る ヘルスメーター 文化の日」文部科学大臣賞 田中龍太さん(27歳)
「今ここで 蒲公英(たんぽぽ)になれ 種になれ」金子兜太賞 松本大夢さん(15歳)
 どちらもリズミカルで、脳裏に情景が鮮明に浮かぶ。たった17文字だからこそ、余白を埋めようと想像してしまう。それが俳句の面白さなのかもしれない。

伊藤園新俳句大賞公式サイト

「まるで米津玄師の歌詞のよう」クリエイター・いとうせいこうが驚いたクオリティ

 今回の選評を、長らく同賞の審査員を務めている作家・クリエイターのいとうせいこうさんに聞いた。

【いとうせいこう】印象に残ったのは、「駅を出て 街のかけらと なっていく」(高校生の部大賞 西田歩未さん)や「夏の空 許されている 時間かな」(中学生の部優秀賞 柿沼璃子さん)。10代がこれを詠んでいることに驚いています。すごくいい句だし、まるで米津玄師さんのようなポップスターが歌っていそうじゃないですか(笑)。俳句とは、庶民が時代の空気をサッと詠めるもの。音楽でいうところのポップスみたいなものだと思えば、とっつきやすいと思います。サビを詠んでもいいし、平歌(Aメロ、Bメロなど)を詠む渋い人がいてもいい。一生かけて極めることもできるため、本当に面白い文化・趣味だと思います。特に伊藤園の賞は「新」俳句と銘打っているので、季語を含まなくてもいいんです。自然だけでなく、より自由に詠んでいい。選者としても、俳句の可能性を広げるために「俳句らしくない句」を選んでいるところもあります。
【いとうせいこう】普通、俳句の賞は「俳人」が選ぶものですが、この新俳句大賞はそれ以外にも、写真家・女優・ギタリストなど、様々な人が集まって審査しています。でも様々な専門家の観点から、高いレベルでお互いの意見をぶつけ合っている。こういう賞はなかなかないと思いますよ。どの句も審査員全員で選考するから思い入れがあるんですけど、僕は「中学生部門」の選考が好きです。中学生以上になると勉強を重ねて、良くも悪くも「普通」になってしまう。でも中学生以下の句は、こちらの発想を飛び越える驚きがある。こんな句を見ていたら、怖くて自作できないですよ。自分の句が中学生より下手になる可能性があるんですから(笑)。毎年刺激を受けているので来年以降も期待したいですね。

 いとうさんが紹介した他にも、「十五夜に飛ぶ蝙蝠(こうもり)よ眩しいか」(中学生の部 田村煌さん)、「たんぽぽが おそれ知らずに 旅に出る」(小学生の部 原田悠生さん)など、瑞々しい表現の句が各部門の大賞に選ばれた。

「冬」に詠まれたたんぽぽの句 思いついたのは学校の廊下だった

 いとうさんが「刺激を受けている」と評した中学生の句。作者はどのように詠んだのだろうか。「今ここで 蒲公英(たんぽぽ)になれ 種になれ」の句で金子兜太賞を受賞した松本大夢さん(15歳)に作成時のエピソードを聞いた。

【松本大夢さん】 この句が浮かんだのは冬のことでした。学校で3つ以上俳句を作って発表する授業があって、僕は好きな「たんぽぽ」を使って句を作ろうと考えていたんです。ある日、学校の廊下で友達と話していたときにふっと浮かんだんです。まさか受賞できると思っていなかったので、とても光栄です。

 春の花でもあるたんぽぽの句が冬に浮かぶというのが、柔軟な発想を持つ若者らしく、従来の俳句の型に慣れていた審査員たちには新鮮に映ったのだろう。

来年からは「写真俳句」も開始 新たな伝統が作られていく

 30周年の節目を迎えた「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」だが、来年は俳句と写真を組み合わせた「写真俳句(自身で撮影した写真と俳句を合わせたもの、応募はインターネット)」の応募を受付するとのこと。TwitterやInstagramに似た感覚で投稿できるので、興味を持った方は来年チャレンジしてみては。

 また、実行委員会では「俳句ユネスコ無形文化遺産登録協議会」に協力し、俳句の世界遺産(無形文化遺産)化を目指している様子。俳句という日本固有の文化は、これからいかなる変遷を遂げていくのだろうか。

伊藤園新俳句大賞公式サイト

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