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“タバコ”ならぬ“チャバコ(茶箱)”自販機が話題、ダジャレでお茶業界の活性化願う
「タバコは、あなたの周りの人の…」ネガティブな警告文、“お茶”ならポジティブに変えられる
――なぜタバコとお茶を組み合わせた商品を開発しようと思ったのですか?
森川氏粉末のスティック茶は、「水かお湯さえあれば、急須がなくてもいつでもどこでもお茶が味わえる」という点が大きな魅力なので、持ち運ぶ際の大きさや重さといった“携帯する上での利便性”も重要だと考えました。そこで、口に入れるもので人間がもっとも携帯しているものは何かと考えたときに、「タバコ」ではないかって思ったんです。また、お茶業界では、お茶を入れる昔ながらの桐箱のことを「チャバコ」と呼んでいて、今でも当たり前のように「チャバコ」という言葉が使われているので、語呂合わせという意味でもちょうど良いと思いました。
森川氏“携帯する上での利便性”で言えば、パッケージの形状だけを参考にすれば良いので、当初は見た目までタバコを彷彿とさせるつもりはありませんでした。ただ、タバコのパッケージに書かれている「タバコは、あなたの周りの人の・・・」といったネガティブな警告文を見たときに、「お茶であれば、この警告文をモジって、すごくポジティブな“宣伝文”にできるんじゃないか?」と思い、だったらパッケージの見た目もタバコに寄せた方がおもしろいのでは?と考えて、今のチャバコのデザインに至っています。タバコでいう短い警告文の中で、何をどう表現するかという部分には特にこだわりました。デザイン性を必要としない文面の部分こそが、チャバコのデザインの根幹と言えるかもしれません。
森川氏チャバコには「世の中を、“茶化”そう。」というコンセプトがあります。これには「ストレス社会と呼ばれる今の時代に、“お茶を通じて、もっともっと世の中に冗談(笑顔)を増やしたい”という思いを込めています。なので、中身のスティックのデザインもタバコ風にすれば、例えばオフィスなどで「ちょっと(チャバコで)一服しない?」みたいな、クスッと笑えるコミュニケーションが生まれやすいのではないかと考えました。市場調査の結果、スティック茶に対して「面倒くさい」という印象を抱かれている方もいらっしゃることがわかり、だったら「スティックを開封して水やお湯に溶かす」という“ひと手間”を逆に“面白さ(付加価値)”に変えたいと思い、今のスティックのデザインにしました。
背景には“急須離れ”が影響、「チャバコでお茶業界を盛り上げたい」
同商品は、掛川市内の5施設(掛川駅南口のお土産店『これっしか処』、掛川城の目の前のお土産店『こだわりっぱ』、『つま恋リゾート彩の郷』『道の駅かけがわ』『お茶処いっぷく』)に常設された自動販売機で購入が可能に。自動販売機は、10月23日から11月13日の期間限定で、横浜赤レンガ倉庫2号館『日本百貨店赤れんが』にも設置されている。
――自動販売機を設置した意図は?
森川氏静岡県は言うまでもなくお茶の大産地で、味や品質という点においては、作り手の皆さんが、何十年、何代にもわたって磨き続けてきた技術や知識がすでにあります。飲んでさえいただければ、ほとんどのお客様が「おいしい!」と喜んでくださるんです。ただ、その一方で、国内の急須離れの影響もあり、ペットボトル以外のお茶を手にとっていただく機会が年々減り続けているのも事実です。おいしいお茶ができても、飲んでくださるお客様がいなければ価値を伝えられないので、「いかに手にとっていただくか」という点に、お茶業界が抱える課題があると考えました。お茶を“購入する”段階から、今までのお茶商品にはない楽しさを提供したいと思い、自動販売機の設置を企画しました。
――SNSでも話題になっていましたが、「これはほしすぎる…」「パッケージがかわいい」などさまざまな反響があがっていることについていかがですか?
森川氏本当に、感謝の気持ちでいっぱいです。自動販売機に商品を補充しに行く際に、実際にチャバコを購入してくださっているお客様や、自動販売機を写真に撮ってくださっているお客様をお見かけすることがあります。その度に「もっともっとお客様に喜んでいただけるお茶商品を作りたい!」という思いがこみ上げてきて、すごく励みになっています。
――今後の展望についてお聞かせください。
森川氏パッケージのデザインも自動販売機の設置も、根底にあるのは、ひとりでも多くのお客様に「お茶っておもしろい!」と感じていただきたいという思いです。「お茶を買う」「お茶を飲む」「お茶に誘う」…チャバコに限らず、そんなお茶にまつわる何気ない行為が少しでもお客様にとっての楽しい記憶や思い出として刻まれるようになれば嬉しいですし、それが、お茶業界の活性化にもつながっていくと信じています。