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“タブー”へ切り込んだ『3年A組』、番組Pが語る「“時代錯誤”を主流に変えた熱量」

  • 『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)のプロデューサー・福井雄太氏

    『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)のプロデューサー・福井雄太氏

 変革期を迎えているエンターテインメント業界。テレビ最盛期やミリオンヒットが続出した時代に青春を過ごした30代は今まさに、その最前線で活躍している。そんな彼らが今なにを考え、どう時代の変化に立ち向かっているのかをインタビューする本企画。今回は、最終回で15.4%の高視聴率をマークし、SNSでも大きな話題を呼んだドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)のプロデューサー・福井雄太氏を直撃。このドラマがいかにして企画され、なぜ、俳優・菅田将暉を起用したのか。福井氏が伝えたかったメッセージや制作秘話とは。

「世の中に対して訴えたいこと」「伝えたいこと」が共鳴し、“僕らの物語”がスタートした

――学生時代からエンタメ業界を目指していたのでしょうか?

福井雄太高校3年生のときから脚本家になろうと思っていたんです。それで、脚本の描き方を教えてくれる学校に通って脚本の書き方を学び、賞レースにも応募して「賞」を頂いたこともありました。いろいろな脚本を書いているなかで、新しい作品を企画し、アイディアを形にすることが好きになった。そう思ったときに「脚本家」ではなくテレビ局の「プロデューサー」がという選択肢が生まれました。

――企画を生み出す喜びに魅せられたからですか?

福井雄太プロデューサーは「ゼロ」を「イチ」にする仕事なんだと感じたんです。それでテレビ局を志望して、日本テレビに採用してもらいました。

――入社後、3年目で“日本テレビ史上最年少”のプロデューサーになられたんですよね。

福井雄太それは周りの方々のおかげですね。当時、企画書を何十本も出していて、その1つを採用してもらいました。僕の企画書は実はかなり下手くそで、イメージキャストや具体的な内容はあまり書かないんです。それよりも、「このセリフが言いたい」という一行が生まれた時に企画書ができる。こういう事を伝えたい、そのためにはこんなシチュエーションが大事。そうやって一つひとつを繋げて企画書を作っていきます。3年目の僕が担当した作品は予算の少ない深夜枠だったんですが、もう毎日、がむしゃらに作っていました。反省点もたくさんありましたが心底楽しくて、その時の出会いや経験が“僕の原点”です。それ以降、何十本も企画書を出すようなことは無くなり、「本当にやりたいことはなんだろう」と突き詰めて考えるようになりました。

――『3年A組』は、“本当にやりたい”1枚の企画書からスタートしたわけですね。

福井雄太『3年A組』は変わった始まり方をしています。6年前に菅田(将暉)くんと初めて出会って、その時にいろんな話をしました。お互い同じテーマを抱えていて、何時間も語り合いました。「いつか仕事をしたいね」と話していたら、ちょうど2年くらい前に一緒にドラマを作れることが決まった。そこで改めてもう一度「何をやりたいか」を話しました。お互いに世の中に対する同じテーマを持っている中で、彼が「教師をやりたい」と言ったんです。その一言を最初のきっかけにしてまず“学園モノ”をやろうと決めました。

――同ドラマでは、脚本家・武藤将吾さんの存在も大きかったとお聞きしました。

福井雄太僕にとって、武藤さんは“もう一人”の天才です。武藤さんとずっと話していたことは、今回の“学園モノ”というジャンルでどんな「テーマ」をどう伝えるかということでした。

――『3年A組』の「テーマ」とは何だったのでしょうか。

福井雄太いま、自分の思いだけで生きるのが難しい世の中で、「生きる」という思いをどうやって見つければいいのか。同時に、SNSが発達してコミュニケーションの様相が変わる中で、責任を持って生きることが難しくなっている。では、自分の人生をきちんと生きる、ということを伝えるにはどうすればいいんだろう。そう考えた時に、今の世の中と“背反している教育”、「体と体がぶつかりあうこと」、そして「目と目を見てちゃんとコミュニケーションをとる」ことをテーマにしました。

――そのテーマを劇として見せるうえで、“人質”という舞台を作ったと。

福井雄太結果、一番原始的な「密室劇」をやろうという話になったんです。最初に武藤さんが突然「人質にとる」っていうのはどうだろうと提案してくれたんです。その一言からドラマはドンドン広がっていって、僕も新しく企画書を書きはじめて、タイトルを『3年A組-今から皆さんは、人質です-』に決めました。その内容を菅田くんに話したとき、僕と菅田くん、武藤さんの3人が「世の中に対して訴えたいこと」「伝えたいこと」が共鳴し、僕らの物語がスタートしました。

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