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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

ジャブローに無事「降りられた…」量産型グフ&ザクを立体化、ガンプラ作りは子ども時代の“リベンジマッチ”

ジャブロー降下作戦をジオラマ化/制作:量産ズキ(C)創通・サンライズ

ジャブロー降下作戦をジオラマ化/制作:量産ズキ(C)創通・サンライズ

 ガンダムファンにとって、子どもの頃に体験した“ガンダム原体験”は、何ものにも代えがたい貴重な思い出となっているはずだ。今回紹介するモデラー・量産ズキ(@buzzfgump29)氏は、中学生時代、戦場で命を散らすジオン軍兵士たちの死に様に魅せられたのだという。そして、その思いは氏の制作したジオラマ『ジオン軍ジャブロー降下作戦』に形となって表れている。

ランバ・ラルやガルマの背後に見えた“日常の幸せ”が物語にリアリティを与えた

――ガンダムシリーズの原体験は?

【量産ズキ】ガンダムシリーズの原体験は、1979年に放送されたファーストガンダムの本放送です。当時僕は中学生でしたが、この作品の衝撃度は凄まじかったです。

――人生で最も多感なタイミングで本放送に直撃とは、羨ましい限りです。具体的にはどのような衝撃だったのでしょうか。

【量産ズキ】やはりストーリーですね。富野由悠季(当時のペンネームは富野喜幸)監督は、子ども向けのアニメという体裁を取りながら、“大人も見られる子どもアニメ”、“子どもでも楽しめる大人のアニメ”を制作しました。それまでは勧善懲悪のスーパーロボットものが主流でしたから、国家が互いの正義を振りかざして戦争をする様に、「よくわからん!」と正直面食らいました(笑)。

――中学生の正しい反応だと思います(笑)。

【量産ズキ】最初は何の話だか全く分からないのですが、何か心に引っかかるものがあるわけです。「ジオン軍はなぜ命がけで独立戦争を仕掛けたのか?」「量産型ってカッコイイ」「ズングリムックリの中年兵士ランバ・ラルの死に様になぜか痺れる」等々…。

――本放送で思い出に残っている回は?

【量産ズキ】実は、本放送をリアルタイムで見たのは最終回だけなんです。でも、ガンダムとジオングの戦いや、その後の脱出に至る過程を見た時、「なんかこのアニメ違う」と明確に感じました。そして、間を置かずに再放送が繰り返し放送されるようになり、全話を食い入るように見て、やはりランバ・ラルの自爆シーンが強烈な記憶として残っています。

――ファーストにおける“兵士の死に様”ですね。

【量産ズキ】当時、ストーリーに関しては専門用語も多く分からない部分だらけでした。でも、子ども向けのロボットアニメに“戦争のリアリティ”を感じたのは、敵兵であるジオン兵それぞれにバックボーンを感じられたからです。それは、「部下の生活のために戦果をあげようとするランバ・ラル」や、「姉であるキシリアへの対面を気にして自ら最前線に出るガルマ」、そして「恋人の名前を叫びながら死んでいく名も無き兵士」といった風に、敵役である彼らの背後に、我々と同じ“日々の生活や幸せ”を見てとることが出来たためです。

――おっしゃる通り、お腹の出た中年体形のランバ・ラルは、今なお根強い人気を誇っています。

【量産ズキ】彼がアムロにとって“乗り越えるべき父親”の役割を果たしている点は、ファーストガンダムを名作たらしめる重要なポイントだと思います。

「ザクとは違う」ハズのグフが、いつの間にやら“ヤラレ役”に降格

――名前が“量産ズキ”なのは?

【量産ズキ】その名の通りの意味です(苦笑)。再放送を見る中で、量産機のヤラレっぷりに惹かれていきました。ザクIIもよいのですが、一番好きなMSは断然グフ!しかも、ランバ・ラルが搭乗した先行試作型ではなく、その後にドダイに乗ってよく現れた量産型のグフです。ランバ・ラルの「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」の名言と共に圧倒的存在感を見せたグフですが、その後はアッサリとヤラレ役に降格します。当時、「パイロットが違うとこんなにも違うものなのか…」と少し悲しくなりました(笑)。

――1980年代前半のガンプラブームも体験されていると思いますが、ガンプラはずっと作り続けいる?

【量産ズキ】ガンプラブームには乗りましたが、高校生になると自然とフェードアウトしまして。ガンプラを大人になって作るようになったキッカケはHG黒い三連星のカッコよさに惹かれたからです。ガンプラを作るのは久しぶりだったので、ガンプラ上達本を買って改造・ウェザリングを勉強しました。

――では、ジオラマなどを本格的に制作するようになったのは最近?

【量産ズキ】この5〜6年位ですね。子どもの頃って、とりあえず組み立ててイジってみるけど、頭に思い描いた理想の姿とはかけ離れていて、作るのを途中でやめたり、積みプラにしてしまうことも多かったんです。でも、今はガンプラ自体のクオリティも高いですし、ちゃんと勉強すれば理想のガンプラに近づける。当時の“リベンジマッチ”という意味合いも強いかもしれません。

――ジャングルを舞台にしたこの作品は?

【量産ズキ】劇場版『機動戦士ガンダムII 哀戦士編』に出てくる1シーンをイメージしました。哀戦士編は終盤の展開が素晴らしく、挿入歌の「哀戦士」と相まって何度見ても鳥肌が立つくらい好きな作品です。なので、自分なりに、ジオン軍MSの降下シーンを立体化してみたかったんです。

――哀戦士編の終盤の新規作画部分は今見ても美しいですね。

【量産ズキ】安彦(良和)さんが監修した新規作画で全部見たかったですね。下からの砲撃の嵐の中、どんどんと撃墜されていくジオン軍の量産機たち。そんな中、運よくジャングルに降り立ったザクとグフに感動しました。しかもグフがジャイアントバズーカ持っている点が素晴らしい!

――その思いを作品にしたと。

【量産ズキ】はい。この作品は、正面よりもちょっと上から見たときの奥行きにこだわっていて、展示会などで色んな角度で見て欲しいと思って構図を考えました。

――熱い思いが伝わってきました。量産ズキさんにとってガンプラとは?

【量産ズキ】自分にとってガンプラとは「挑戦」です。好きなMSや名シーンを再現するため、いろいろな情報をとり入れてプラモに落とし込んでいく。そんな、日々の勉強と挑戦が僕の人生の“彩り”になっています。

(C)創通・サンライズ

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