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ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)

ガンプラW杯覇者が語る『2001年宇宙の旅』の影響と構図【連載17回】

 来年40周年を迎える「ガンプラ」は、1980年7月の発売以降、累計4億5千万個以上を出荷。80年代前半のガンダムブームを牽引したのはもちろん、HG、MG、RG、PGといったカテゴリー分けを実施し、今なお進化を続けている。その人気は世界的にも絶大で、今では年間約1千万個の出荷数のうち、その3割が海外に出荷されているという。そこで、バンダイ公式のガンプラ世界大会『GBWC(ガンプラW杯)』で昨年優勝したディフェンディングチャンピオのウツギさんに、世界大会に挑んだ経緯、モデラーとしての矜持を聞いた。
◆【ガンプラビフォーアフター】毎週更新・トップモデラーインタビュー特集→

日本のモデラーは、他国のモデラーが持つアドバンテージを埋める必要性がある

――『ガンプラW杯』はモデラーにとってどんな大会ですか?
 
ウツギよくSNS上で「年に一度のお祭り」と形容している事がありますが、正にそれだと思います。見る立場でも応募する立場でも楽しめるので。応募する場合、他の応募者の途中経過を気にしながらしていくことになり、みんなで作っているお祭りという感じがあって楽しいですね。

――『ガンプラW杯』を目指すことで、自身が成長できた部分はどこですか?

ウツギ最近知ったのですが、『ガンプラW杯』の前身の大会(バンダイアクションキットアジアカップ)があり、日本以外アジア圏のみで開催されているというものだったそうです。海外勢はそこで培ったノウハウを脈々と受け継いできているはずです。日本のモデラーは、他国のモデラーが持つアドバンテージを埋める必要性があると考え、クオリティのハードルは高く設定しました。

――海外勢はガンプラとの向き合い方も違うのでしょうか。

ウツギ海外ではガンプラが輸入品のため日本よりも高価になるそうで、そのガンプラを心を込めて作っている海外の方たちは発想力も豊かです。オブジェ的な感覚で親しんでいる方も多いと感じました。それらに太刀打ちできる作品を作るうえで、頭を捻ってトライアンドエラーを繰り返し、結果的に以前よりも感性が養われたのではと思います。

――苦心の末の『ガンプラW杯』優勝です。どんなカタルシスがありましたか?

ウツギ国内予選を経て日本代表になったときは、嬉しいと言う気持ちと同時にここからが未知の領域だという戸惑いがありました。決勝で優勝が決まった時は、本当に嬉しかったです。まさに感無量で、大会後のレセプションパーティーで飲んだお酒は人生ベスト3に入る美味しさでした(笑)。

本作の裏テーマとして映画『2001年宇宙の旅』のエッセンスを注入

――優勝作品のコンセプトとこだわりを教えてください。

ウツギコンセプトは”全方向型の作品を作ろう”でした。それは見た目自体ではなく性別、年齢、ガンダムに興味ある人ない人関係なく皆さんに「凄い」と言ってもらえる様な作品という意味です。こだわりはスケール感と、映画のような情景の再現、無重力下のモビルスーツの改修作業の表現です。

――おっしゃる通り、優勝作品を見た人の中には「『2001年宇宙の旅』のようだ」という声もありました。映画のようなスケール感と奥行きのある構図が印象的です。

ウツギ本作には裏テーマとして、施設は映画『2001年宇宙の旅』を参考に作っています。この映画の監督スタンリー・キューブリックは、構図に一点透視図法を用いることが多くあります。この一点透視図法をジオラマで表現するのが裏テーマでした。

――本作の奥行き感には、そうしたテクニックがあったのですね。

ウツギ奥行きのある表現をするため、実際よりも奥側のスケールを小さく製作しました。さらに、後ろにインフィニティミラーを設置。これは、この図法をジオラマで表現する上で問題になる「見る場所によって追従しなければならない消失点」を可能とする為です。

――つまり、どの角度から見ても消失点が変わらないため為、奥行きのある構図が担保されるわけですね。

ウツギ色々な方に絵画やCGみたいと仰って頂いたのは、潜在的にその感覚を読み取ってそう言って頂いたのかもしれません。マニアック(変態)過ぎる話なのですが(笑)。一応これを見て頂いたらどの角度から見ても構図(消失点)が破綻しない事が理解できると思います。

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(C)創通・サンライズ
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