タイのお土産が主人公に? 厳しい修行から日常まで ミニカー写真家が“リアル”に追った僧侶とは?
「日本のいろいろな景色を見せてあげよう」から撮影スタート
E.P.友人がタイ王国に旅行に行った時、お土産で買ってきてくれたものなんです。タイ王国では僧侶を非常に尊敬していて、ステッカーやポストカード、ジグソーパズルなんかも売っているなかで、これを私にくれて。せっかく縁があってうちにきてくれたんだから、いろいろな日本の景色を見せてあげようと思って撮り始めました。
E.P.ちょっとした小旅行に行く時に、僧侶を一緒にお連れして、行く先々で出会った風景を一緒に楽しむような感覚ですね。撮るたびに、微妙な角度や光の当たり方で、表情が全然変わって見えるので、それを見て『この場所は気に入ってくれたのかな』とか「ここはあんまり楽しくないのかな」と思ったりしています。ミニカーを撮る時は、絵作り重視で余計な物が写らないように撮るんですが、僧侶の場合は、その場にあるものはそのまま写るように撮っています。カメラの設定やアングルも、それまで試さなかった方法をいろいろ試すようになったので、僧侶を撮影する前と後でミニカー撮影の方も幅が広がったような気がします。
E.P.公園で撮影していたときに、遊びに来ていたお婆さんが拝んでいってくれたり、タイ料理屋の店員さんがとても喜んで『この僧侶はルアンプー・トー(タイ王国では、年を重ねた徳の高い高僧を「ルアンプー」「ルアンター」と呼ぶ習慣がある)だ』と教えてくれたり、初対面の方との間で交流が生まれました。その時は、僧侶をお連れできて良かったと思いました。
大切なのは、僧侶をおもてなしする気持ち
E.P.僧侶をおもてなしする気持ち、一緒に楽しむ気持ちを大事にしています。そして何より、タイ王国や仏教を敬う気持ちですね。特に仏教や僧侶は、タイ王国の方々にとって、非常に重要で尊重されているものなので、できる限りその考えに寄り添いたいと思っています。この僧侶は僕の人生を見守ってくれている、とても大切な存在です。
今後、この僧侶はどうなっていくのだろうか?
E.P.具体的なことは特に決めていないですが、今後も、僧侶と一緒に色々なところに出かけていきたいですね。タイ王国では、僧侶フィギュアを手放すとき「かっこいい木の下に埋める」ということなので、最期はタイ王国に連れ帰って、現地の木の下に埋めてあげようと思っています。
E.P.写真についても、自動車やタイ王国の文化についても、まだまだ知らないことばかりなので、もっと勉強していきたいです。ありがたいことに、ここ数年はフォトコンテストで賞もいくつかもらえるようになったのですが、やはり『変わったことをしている』ということで評価されている部分が大きいと思うんですよ。被写体の力に頼っているというか。なので、将来的に、ミニカー野外撮影がジャンルとして定着して、その中で作品として評価できるような写真を目標にしています。
ただ、それにはまだ技術や知識が、撮影についても、被写体に対しても、全然足りてなくて。だから、もっと理解を深めて、人の心に残る写真が撮れるようになりたいですね。