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「脳がバグる」「魔改造?」あずきバー味“チータラ”に予想外の反響、背景に「ユーザー約8割が40代以上」おつまみ業界の苦境が

  • 甘〜い チータラ あずきバー味

    甘〜い チータラ あずきバー味

 昨年10月、SNSやネットである商品が話題にのぼり、ツッコミや「意外にうまい」などの声が上がった。それが、『甘〜い チータラ あずきバー味』。発売したのは、老舗おつまみメーカー・なとりだ。主力商品のチータラを魔改造したような挑戦的な商品だが、実際は「まったく狙ってなくて予想外」の盛り上がりだったとか。このような試みに至った背景には、消費者の高齢化や若者の酒離れなどがあるという。

ピュアなひらめきで生まれたあずきバー味、「もっとSNS展開を仕掛けておけば良かった…」

 確かな勝算があったわけでもなく、新たな試みとして昨年10月に発売した『甘〜い チータラ あずきバー味』。おつまみの老舗・株式会社なとりと、井村屋の『あずきバー』がコラボしたこの商品は、意外にもSNS上で「どこからツッコミをいれていいのか」「見つけてはいけない商品を見つけてしまった(買った)」「脳がバグる」「意外にワインに合う」など、大きな話題に。そもそもなぜ、この摩訶不思議な商品が開発されたのか。同社マーケティングR&D開発本部・小寺美帆氏は、次のように語る。

 「コンビニなどの冷蔵コーナーに、甘いデザートタイプのチーズが増えてきましたよね。ニーズがあるなら…と、弊社でも『チータラ』に何が合うのかを考え、『あんことバターを組み合わせた“あんバター”が流行っているし、バターと同じ乳製品のチーズも合うのでは…』と、企画担当者が思いついたようです。そこで、小豆といえば井村屋さんの『あずきバー』だと、企画を持ち込んだというのが始まりです」

 同社の看板商品『チータラ』と『あずきバー』のコラボ。あまりに強烈な組み合わせに、当初は社内でもほぼ否定派が占めていたが、試食をしてみると「意外と美味しい!」と高評価を得た。「井村屋さんでも、最初は本当に合うのか少し懐疑的だったと伺いましたが、試食していただいたところお褒めの言葉をいただきました」。

 こうして、期間限定商品(1月31日まで)として販売。結果、SNSで予想以上にバズるという成果を得たのだが、「話題性としては抜群だったのかもしれませんが、売上的には苦戦(笑)」とのこと。しかし、過去には『ガリガリ君』がコンポタ味など奇抜なフレーバーを数多く販売し、話題や認知に繋がった例も多い。「たとえ、売上としては大きくなくとも話題になることが重要」と、あらためて感じたという。

 「ただ、ここまで話題になるとは正直思っていなくて、まったくの想定外でした。バズりを狙ったわけでもありませんし、企画担当者のピュアなひらめきで生まれた商品だったのです(笑)。ここまで皆さんの興味を引くのであれば、もっとSNS展開も仕掛けておけば良かった…」。

外飲み復活で売上に不安、人口減に酒離れ「若者は珍味売り場には立ち寄ってくれない」

  • チーズ鱈ピザーライタリアーナ味

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  • 一度は食べていただきたいシリーズ

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 そんな同社といえば、おつまみや乾燥珍味を主とした食品メーカー。1948年に前身となる会社が発足して以降、1955年に東京焼いか、その後さきいか、あたりめ、イカフライ、こんぶ飴などを販売。また主力である『チーズ鱈』(1982年発売)は同社による発明であり、当時、三菱総合研究所が発表する「成長消費財トップ20」では、新商品部門のトップにもなった。

 昔からの酒好きにとっては馴染みの会社であり、定番商品には「味がいい」「失敗が少ない」との声もある老舗。だが、最近のラインナップを見ると、「ピザーラ」とコラボしたイタリアーナ味のチータラ、「かつや」が監修した『カツっ!全力かつやカツ丼味』など、遊び心にあふれた商品も見える。『甘〜い チータラ あずきバー味』も含め、なぜ、こうしたアグレッシブな動きを見せているのか。

 「やはり、おつまみのユーザーは40代以上の方が約8割と、年齢層が高いです。もう少し若年層を取り込む施策はないかということで、誰もが知る商品とのコラボをスタートさせました。おつまみ業界は、人口減や若者の酒離れなどもあり、今後なかなか伸びないだろうことが見えている中、おやつ用途としても広げてみたいという思惑もあります。パッケージを工夫して売り場でも目立つようにと心がけてはいるのですが、若者はなかなか珍味売り場には立ち寄ってくれない。お菓子をおつまみにお酒を飲む若者も多いので、弊社商品の価格もちょっと高めなのかもしれません」

 一時期はコロナ禍による家飲み需要で盛り上がりはしたが、外飲みが復活しつつある今期は売上が厳しめだという。いわばこれは、おつまみ業界全体が抱える問題になりつつある。そうした中で、人気キャラクター『すみっコぐらし』をパッケージにプリントした『ペンシルカルパス』など、親子で楽しめる商品も開発した。

 「お子様に気づいてもらう、お子様にあげたくなる要素を盛り込んだ商品展開も進めています。発売後は、親子で食べているというご意見もかなり多く届いているので、これからもっと強化していきたいですね」

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