ORICON NEWS
モデラーが実証…ズゴック“赤じゃなくてもカッコイイ説”
ドズルの怒りから生まれた“シン・マツナガ専用ズゴック”
「ドズル・ザビが、地上で戦死した弟・ガルマの弔いとしてランバ・ラルに続いて、シン・マツナガを地上に派遣したら、という妄想から発想しました。戦死したガルマを守りきれず、罷免されたシャアが搭乗している機体で地上戦でのラスボス的な機体でもあることから、シャアへの当てつけとして同じ機体にしました」
真っ白なボディとともに目を引くのが、巨大化した左アーム。「ジムの腹を爪で一突きにする、誰もが知っている有名なシーンがあると思うのですが、あれより迫力のあるものにしたいという思いから、カスタムし巨大化した左アームを再現してみました」と、ジャブローでの名シーンを意識して制作したこの「アイアンネイル」にSNSでも多くのコメントが寄せられた。
「左右非対称のデザインの与えるインパクトの大きさのお陰でしょうか。片方の鋏脚が大きくなることで知られるカニの“シオマネキ”のような、巨大な片腕から繰り出される強烈な突きを妄想して下さるコメントをたくさん頂きました。制作時の思いが少しでもツイートを見て下さった方々に届いているようでうれしくまた励みになりました。技量がまだまだ乏しいので今後はさらに高度なテクニックを身に着けられるよう頑張っていきたいです」
“シオマネキ”化してパワーアップしたこのズゴックに、シン・マツナガの技量が合わされば、ジオン軍の勝利も見えてくるのではないか?と尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「連邦軍に与えるダメージは大きいと思いますが、決定的とは言えず、特に主人公アムロが搭乗するガンダムには致命傷を与えられず、決戦は宇宙へ持ち越し…と、さらなる展開の余地を残しておきたいと思います。モデラーとして宇宙での決戦用機体もたくさん制作したいので(笑)」
40年前のガンプラムック本を手掛かりに作った「シャーク・ズゴック」
「ガンプラブーム時、祖父が買ってくれたガンプラムック『SFプラモブック 機動戦士ガンダム』の載っていた、シャーク・マウスが描かれたズゴックをお手本に制作しました。川口名人(=川口克己。BANDAI SPIRITS社員。玩具・模型の企画やプロモーションを担当しながら、ガンプラ普及に尽力)の作例も載っている本で、自分の中でガンプラ制作のバイブルになっている1冊です。ガンプラブーム当時の熱さも感じる、ちょっと懐かしい雰囲気にできればと思い製作してみました。ムックで作例を見たときからずっと憧れ、40年近く作ってみたいと思い続けていたもの。子どもの頃に憧れたものに、大人になった今挑戦できるという喜びも感じながら作れたので楽しかったです」
コロナ禍でおうち時間が増え、自宅にあった“積みプラ”の『MGシャア専用ズゴック』をベースにしたという本作。色味に注意したというだけあり、丁寧なマスキングが美しい迷彩を生み出している。
「最終的に汚し仕上げにするので、迷彩で使用する4色の色味に注意しました。『シャーク・マウス』は、まず胸部をホワイトで塗装。鋭角に細切れにしたマスキングテープを使用してマスク処理をしてからレッドを塗装しています。その後シャーク・マウス部分をマスキングして4色の迷彩を施しました」
さのすけさん同様、幼い頃にみた「シャーク・ズゴック」の強烈な印象から、「懐かしい」という声や、お店のスタッフさんからも「かっこいい」と言ってもらえたという本作。作品を見ても分かる通り、プロ級の作品だが、本人には「越えられない壁」があるという。
「私の『ガンプラ』の原体験が、昭和のガンプラブーム時、父と近所のおもちゃ屋さんへ行き、『1/60ドム』を買ってもらったことでした。当時自分ではまだ作れなかったので、父が塗装もして作ってくれたドムに感動したことは今でもよく覚えています。『モノアイがムギ球で光る!』というのも子供心にたまらなかったですね。今思えば週末に筆塗りで1/60のキットを完成させる父のすごさに驚きますが、完成した『1/60ドム』のかっこよさや衝撃は、今でも自分の中で作品作りの目標になっています。今後も越えられない気はしているのですが、楽しみながら作り続けていければと思っています」