ORICON NEWS
唯一無二のサイバーモデル 外見や持病への“差別”に負けず「復讐心がいつしか感謝の気持ちに」、100均アイテム武器に躍進
『仰天ニュース』の反響に驚き、吃音へのいじめ、斜視で演技の仕事を諦めた過去
斎藤ゆきえ 地元・仙台の同級生が久しぶりに「観たよ!」って連絡をくれたり、一瞬だけ「#サイバーパンク」というワードがトレンドに入ったり、テレビの影響って大きいなと思いました。サイバーパンクファッションの認知度も高められたのかなと思うと嬉しいです。
──サイバー系モデルという分野を確立された斎藤さんですが、そもそも斎藤さんがサイバーパンクファッションに興味を持ったきっかけは何だったんですか?
斎藤ゆきえ もともとは仮面ライダーが好きで、役者として特撮ヒーロー作品に出たいという夢があったんです。しかし、私は子どもの頃から吃音症に悩まされていて、それが原因でいじめられることもあって。それだけに、強い特撮ヒーローがずっと大好きだったんですが、吃音があるからやっぱり演技することは不可能だと思って、諦めました。
──それで得意の画力を生かして、美大卒業後に漫画家さんのアシスタントに?
斎藤ゆきえ ええ、絵を描くことも好きでしたから。でも、その漫画家アシスタントをしている間に吃音が治り、「これならお芝居ができる!」と思って演技を習いに行き、オーディションもたくさん受けはじめたんですけど、今度はその間に目がひどい斜視になってしまって。演技の練習をして実力を上げても、斜視では書類選考の写真審査で落とされてしまうんです。二度手術を受けたんですが再発してしまい、「吃音という病をひとつ乗り越えたら今度はこれかよ!」と、すごく悔しかった。でもそこで、「(斜視が)治らないなら生かすしかない!」という発想に切り替えて、左右非対称を逆手に取った「半身機械」設定のサイボーグ風自作コスプレ衣装に身を包み、友だちとハロウィンパーティーに行きました。そのときの写真がFacebookでシェアされ、あちこちに拡散されたんです。
セクシーなコンパニオンが多い展示会、人目引くサイバー特化型が武器に
ガンプラを活用して自作した衣装
斎藤ゆきえ 美大でたくさん勉強し、造形もやっていたので、衣装や小物を作る基礎があるとは思います。ただ、体型維持に関しては…自分ももう30代なので、かなり頑張ってキープしていますね(笑)。
──企業からオファーが来るようになったのは、SNSがきっかけだったそうですね。
斎藤ゆきえ Twitterのフォロワーが8千人を超えたあたりから、こちらからアピールしなくても企業からPRモデルのオファーが入るようになりました。イベント会場には、レースクイーンなどの事務所から派遣されてくるセクシーな格好のコンパニオンさんはたくさんいるけど、私のようにサイバーファッション特化型の人はいなかった。展示会の雰囲気とも親和性の高い近未来的な外観が人目を引き、そのまま武器になったんですよね。
――たしかに、目立ちそうですよね。
斎藤ゆきえ でも、SNSに自作のサイボーグ衣装の写真を載せるようになった最初の頃は、「身体を機械のように装飾するなんて、本当に手足が義手義足の人に失礼だ」というバッシングDMも来るようになって。その頃はフォロワーも少なかったし、下手に反応したらそれこそアンチの思うつぼになってしまう。知名度を上げたり大きな企業さんに使って頂いたり、結果を出すことで認めてもらうしかないと思い、自分の世界観を表現することに全力を注いでここまできた感じですね。