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相次ぐたばこ増税も「何に使われているの?」 非喫煙者も“他人事”ではない、貴重な“財源”活用の在り方
たばこ税は何に使われているのか? “貴重な財源”の減少が非喫煙者にも影響
国たばこ税、地方たばこ税は目的税ではなく一般財源となるため、消費税などと一緒くたになっており、使われ方は明らかにされていない。特に昨今は、コロナ禍や災害により財政が圧迫されているため、これらは「貴重な財源」と言える。
須田氏がとくに注目するのは、たばこ税のうちの“たばこ特別税”だ。「これは、旧国鉄の債務返済、国有林野事業の負債の穴埋めに使用されています。例えば旧国鉄の返済には、たばこ1本あたり約1円が使われている。ただ、この旧国鉄の“借金”は喫煙者だけが負担すべきものなのでしょうか。これは税の公平・公正性に疑問が生じるところ。不公平な税制では、税金を収める意欲が失われていきますよね。たばこ特別税は常に、その不公平さにさらされているのです」。
さらに近年、喫煙者の減少により、たばこの税収は、増税したとしても下がるフェーズにすでに入ってきたという。「もちろん、たばこ特別税の税収も減ります。でも国鉄などの借金は返さなければいけない。財源がないのに、どう返すのか。国税、地方税も減るわけですから、何らかの形で補わなければいけない。その負担が、今度は非喫煙者にのしかかってくるかもしれませんし、ほかの住民サービスが低下する恐れもあります」。
これまでは、大きな反対もなく得られていたたばこ税という「貴重な財源」。それが失われるとなると、非喫煙者にとっても決して他人事ではないだろう。仮にたばこ税がなくなり、代わりに消費税を上げることになった場合は約1%の増税となる。
減少した喫煙所に整備の動き、たばこ税の活用に非喫煙者の理解も
実際、自治体も動き始めている。東京都足立区竹ノ塚駅前の区有地には、自治体の税金で喫煙所を整備。大阪府は市町村や民間企業等と連携し、令和元年度から5年間で20〜30ヵ所の屋外喫煙所整備を目指している。政府・与党もこうした自治体による喫煙所の整備を後押ししており、令和3年度税制改正大綱には「地方たばこ税の活用を含め、地方公共団体が駅前・商店街などの公共の場所における屋外分煙施設等のより一層の整備を図るように促すこととする」と記載。厚生労働省でも、「受動喫煙防止対策助成金」制度を実施している。
このような取り組みは喫煙者のみならず、非喫煙者からもある程度の賛同を得ている。『たばこ税に関する調査2021』(ネットエイジア社 20歳〜69歳の男女1,000名/喫煙者500名、非喫煙者500名に調査)によると、「屋外喫煙所の整備のためにたばこ税を活用することはよいことだと思う」と答えた非喫煙者が79%。また、「たばこ税は社会に貢献していると思う」と答えた非喫煙者も75%となった。
非常に大きな財源であるたばこ税。「吸いたい人が払うのは当然」と一蹴するのは簡単だ。だが、たばこの税収が下がれば、非喫煙者にもデメリットが生まれかねない。貴重な財源の正しい活用については、喫煙者・非喫煙者の垣根を越えた活発な議論が必要であり、また正しい情報開示も求められてくるだろう。
(文:衣輪晋一)