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「加熱式たばこ」は本当に普及したのか? 非喫煙者との共存もたらすデバイスの可能性

加熱式たばこの普及が遅れる国内事情とは? 紙巻ユーザーの受け皿足りえない&商品とメリットの少なさ

 このように、3社3様、さまざまな考え方や戦略があり、ユーザーの選択肢も広い。もちろん、周囲への配慮や健康への影響をとっても、加熱式たばこは時代に即していると言える。そんな状況にありながら、なぜ加熱式たばこは一気に広まることなく、全体の3割にも満たないままなのか。

 特に年配層や地方層では、紙巻ユーザーの比率がいまだ圧倒的に高い。加熱式の“たばこ感”の弱さによって敬遠する紙巻ユーザーも多く、紙巻たばこの“次”の受け皿になり得ていないというのが現状だ。また、加熱式に変えたところで、とくにメリットが感じられないという実情もある。

 「かつては、『プルーム・テック』なら吸えるというカフェもありましたが、今ではそういった優遇措置も少なくなってきました。やはり、既存のものから乗り換えるには、何かしらメリットが必要。例えば、加熱式たばこの値段、税金を安くするという社会的な変化があってもいいのかもしれません。イギリスでは、『害の多いものから害の少ないものに変えてもらえば、社会全体のメリットに繋がる』という、ハームリダクションという発想で、これを国として推し進めています。たばこも同様で、健康懸念物質の少ない加熱式たばこに優遇処置があれば、シェアは伸びていくのではないか。また、加熱式たばこOKのお店の出店、喫煙所の増設などが進むことで、迷惑な路上喫煙などもなくなり、喫煙者と非喫煙者の共存の道も見えてきます」。

喫煙者・非喫煙者の共存の行方は? 加熱式たばこ市場のさらなる活性化で劇的な変化も

  • 今後が注目される『プルーム・エックス』

    今後が注目される『プルーム・エックス』

 では、紙巻たばこユーザーが求める“吸いごたえ”の点ではどうか。それについてゲンキ氏は、「『プルーム・エックス』の登場で国内シェアに変化が起こるかもしれない」と語る。

 前述のとおり、“煙のない社会”を目指すフィリップ・モリスに対し、JTは紙巻ユーザーも見捨てず、あくまで“選択肢”を広げるという考え方だ。「実際、『プルーム・エックス』を試したブログ読者からも、『おいしくなった』『吸いごたえが増した』という声が多い。紙巻たばこユーザーもこれなら移行しやすいのではないでしょうか。また、デザイン性にも優れているため、アイテムとしての魅力も高い」とのこと。加熱温度を最適化することで、吸う人の満足感と周囲への配慮の両立も実現しているようだ。「JTは味はもちろん、“におい”にこだわる会社。高温にしたことで少しはにおいが出ますが、バランスをとった結果。喫煙者と非喫煙者の共存を意識している同社ならではでしょう」。

 吸いごたえが求められながらも、周囲への配慮、健康懸念物質の低減が課せられた加熱式たばこ。だが、各社の開発努力により、さまざまな問題がクリアされようとしており、実際に調査が進められているという。「実は、厚労省も加熱式たばこの健康懸念物質9割減に関する科学的知見を発表していて、主流煙のニコチン濃度は紙巻きたばこの3分の2程度。同一条件下(換気のない狭い室内で喫煙した場合)で室内のニコチン濃度を測定したところ、紙巻きたばこが1,000〜2,420 ?g/m3なのに比べ、加熱式たばこは26〜257 ?g/m3です(国立がん研究センター委託事業費「たばこ情報収集・分析事業」による調査)。『たばこだから』と一概に禁止して歪みが出るよりも、こうした正しい情報をもとに、配慮し、共存できる社会になればと思います」。

 各社が切磋琢磨し、盛り上げようとしている加熱式たばこ市場。10月からの値上げの影響とともに、紙巻派がどれだけ加熱式たばこへとスライドするかが注目される。喫煙者と非喫煙者の共存のためにも、今年が大切な節目と言えるだろう。

(文:衣輪晋一)

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