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たばこ規制厳格化が生む多様性、苦境のJTが模索する喫煙者・非喫煙者の“共存”の道は?
今やマイノリティーとなった喫煙者、嫌煙まっしぐらな風潮に懐疑的な声も
そして、今回の改正法施行の主眼となるのが受動喫煙の問題だ。東京都福祉保健局の『受動喫煙防止対策 施設管理者向けハンドブック』によれば、「日本では受動喫煙による年間死亡者数は推定1万5千人」、「受動喫煙は肺がんや虚血性心疾患など様々な疾患と関連することが明らかに」と記されており、自らの意志で受動喫煙を避けることができない環境に対して警鐘を鳴らしている。
しかし、上記の内容については各種議論もある。喫煙や受動喫煙が体に無害でないことは程度の差こそあれ間違いなく、吸わないに越したことはないのかもしれない。だが、現在の喫煙者完全排除、嫌煙まっしぐらの鬼気迫った風潮を見ると、果たしてたばこ“だけ”を毒として標的にするべきなのか、もっと他にやり方はないのか、懐疑的な人も少なくないのだ。ただ、自ら選んで吸う喫煙者はともかく、たばこの煙を嫌い、ともすれば健康を害する危険のある非喫煙者の人権を守ることは絶対的に必要であるし、この流れが止まることはないだろう。
苦境のJT、喫煙者と非喫煙者の共存を目指せども…
「JTでは、以前からマナー広告などを使い、たばこを吸う方と吸わない方が共存できる社会を目指してきました。2004年代頃から、『ひろえば街が好きになる運動』と称して、吸い殻のポイ捨て防止を。それ以前にも当時の媒体、例えばテレビCM等を用いて、ポイ捨て防止、ほかにも、寝たばこへの警鐘、未成年の喫煙禁止など、様々な施策を行ってきました」(荒木さん)
ポイ捨て防止のために、地方自治体と組んで街なかに灰皿を設置。飲食店等への分煙コンサルティングも行い、専門会社としての知見を生かしてきた。また、紙巻たばこだけでなく、『プルーム・テック』などの加熱式たばこにも力を入れ、時流に合わせて変化もしてきた。
「ですが、世界的にも年々厳しくなる禁煙の流れは止めようもありません。たばこという商品は、私たちが売り、ユーザーさんが買った後、どこで使うかが非常に難しい、他に類を見ないとてもユニークな商材となってしまいました」(同)
海外は『屋内禁煙、屋外(制限付きで)喫煙OK』、もっとも喫煙場所が確保しにくい日本
同社マーケティンググループCRM推進部主任の黒髪祥さんは、「よく海外に倣うべきと言われますが、海外ではわかりやすく『屋内は禁煙だが屋外は(制限付きで)喫煙OK』でした。ですが今の日本では、エリアによっては外も喫煙不可。実は、日本のように『路上喫煙禁止』から規制が始まった国は他になく、路上も屋内も禁煙というのは世界的にも非常に珍しい。喫煙場所の確保という観点では、日本はいつの間にか、たばこの規制がもっとも厳しい国になってしまいました」と、実情を明かす。