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『マルコメくん』からの脱却…創業160年の老舗企業が「泣ける」アニメCMを制作したワケ
動画再生数も「これまでにない速さで伸び」、中国でも話題のアニメCM
これまでも「マルコメの泣けるアニメCM」として話題を呼んできた同シリーズだが、広報担当者によると、「今作は公式YouTubeチャンネルの再生数が180万回、一般ユーザーがアップしたTwitterの動画は1370万回(2月25日現在)と、これまでにない早さで伸びています」とのこと。国内のみならず、中国でも話題になっているとか。
「大変な時期の中国で話題になるとは、とてもありがたいですね。さらに、1月に初オンエアした直後には、(夫の)道夫役の声優さんから、『まわりからの評判がすごくいいんです。次回のオンエアはいつですか?』とお電話をいただいて。声優さんからこのような連絡を直接いただくのも、今作が初めてのことでした」
昭和の『マルコメくん』イメージを変えるには? 裏側に老舗企業の課題
「弊社は社員400人程度とそれほど大きな会社ではありませんが、規模の割にはありがたいことに広く認知をいただいています。しかしその認知は、昭和の時代の『マルコメくん』CMのイメージのままでストップしているのではないか? という課題意識もありました」
マルコメ=安心安全というポジティブなイメージは、幅広い世代に浸透している。しかし、日本人にとって味噌はあまりにも身近なもので、ともすれば「どのメーカーの味噌もそれほど変わらない」と認識されやすい。数多くのメーカーがひしめく中で、これからの生活者に「なんとなく、マルコメがいい」と選んでもらうには? 老舗メーカーが未来を見据えた岐路に立たされたのが、2014年の新CM企画のタイミングだったという。
「さらに当時、弊社は新商品として『料亭の味』ブランドの徳用袋を開発していました。廉価商品をアピールするCMは、実写で作るとチープな見え方になりがちなこともあります。だけど『料亭の味』の価値は価格ではなく、家族の絆や温もり、そして時代ごとの生活者に寄り添う手軽さとおいしさにあります。その世界観を伝えるにはアニメーションという手法が最適だと考え、上司に掛け合ったんです」
米アカデミー賞短編アニメ映画賞を受賞した制作会社を起用
「ロボットさんとは5年間ご一緒してきて、回を重ねるごとにいいものになっていったという自負があります。さらに今作では、ロボットさんが集結してくださったアニメーターの豪華さに、我々も驚いたほどでした」
アニメーション制作は、繊細な人物の感情表現描写に定評のあるアンサー・スタジオ。また美術監督には、美しい背景描写で評価の高いアニメ工房婆娑羅など、日本のアニメ界を牽引するスタッフが集結。アニメに詳しい人であれば、クレジットを見ただけでもクオリティの高さに納得するだろう。