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なぜ五輪選手がSNS誹謗中傷の的に? 四大会帯同メンタルトレーナーが明かす事前対策の“落とし穴”
「真面目にやれ」「ご飯食べてんじゃねーよ」、心無い中傷から選手を守るために必要なこと
「やはり一番はSNSをやらないことなのですが、大会期間中に発信するのならば、コメント欄をオフにする・非表示にするなど、自分を守る対策が必要だと思います。それでも閲覧できる状態を保つのなら、私たちメンタルケアを担当する側は、ポジティブなメッセージを選手の活力にするように心掛けます。
ただ、ほとんどが応援でも、1つマイナスな意見があると、どうしてもそちらに引っ張られてしまうのが人間。以前、サッカー選手の担当していたとき、試合で結果が出ないと『真面目にやれ』とか『負けたのにご飯なんか食べてんじゃねーよ』なんて厳しい意見が書き込まれることがありました。長い時間努力に努力を重ね、懸命に競技に打ち込んでいるにも関わらず、『自分は真面目にやっているように見えないのか…』と、メンタルをやられてしまう選手もいました。そんなときは、とにかく選手にモヤモヤを吐き出させることが大切。本人以外が誹謗中傷コメントに対して過剰に怒ったり、笑い飛ばしたりしてあげることで、選手の心は晴れていきます」。
これまで選手のメンタルケアと言えば、いかに自身と向き合い、実力を最大限に発揮させることが重要だったが、いまはこうした周囲からの雑音との戦いも大きな要素になっているという。
「観る側も、『なんでもあり』という意識を変化させてほしいと思います。ポジティブに応援するような形になれば、選手がより力を発揮できるようになるのではないでしょうか」。
(文:磯部正和)
【プロフィール】
心理カウンセラー:浮世満理子(うきよ・まりこ)
全心連公認上級プロフェッショナル心理カウンセラー/メンタルトレーナー。大阪府出身。『アイディアヒューマンサポートアカデミー』学院長。『一般社団法人全国心理業連合会』代表理事。アテネ、北京、ロンドン、リオデジャネイロと五輪四大会にメンタルトレーナーとして帯同。トップアスリート、芸能人、企業経営者などのメンタルトレーニングを手掛ける。『週刊まるわかりニュース』(NHK総合)などメディア出演のほか、著書多数。