ORICON NEWS
マンガ雑誌っぽい“社内報”が話題 SNSで企業側が『日々のお仕事ちょっと楽しく』を提案する真意とは?
ただバズるだけでなく、誰が情報を拡散してくれるかも重要
この反響について同社のマーケティング担当者は「フォロワーの外にまで広がり、多くの人に目にしてもらうことを望んでいたので本当に良かった」と喜びをにじませる。「制作しているチームメンバーもうれしがっており、さらに今回の現象に目を向けてみると、今回は、有名漫画家の方々にリツイートされたことも非常に大きいと感じています」
バズは、いわゆる“インフルエンサー”から発信されることが主なきっかけの一つ。だが今回は、漫画雑誌ネタを、有名漫画家がリツイートしてくれたことで、同社が伝えたかった“文脈”の中で拡散。企画意図と似た方向性でのバズは単なる拡散の総量では測れない効果があり、投稿を目にした一人ひとりの受け取る情報量が多い…端的に換言すれば“より面白がってもらえる”ということを意味する。
企業と生活者とを繋ぐメディアは大きく3つに分けられる。広告など金銭を払って購入するペイドメディア、ホームページなど自身で所有したものを指すオウンドメディア。活動した結果得られる評判や口コミをアーンドメディアと呼ぶ。「この反響はアーンドメディアに含まれますが、拡散された結果、今回のようにメディアの方に取材していただけるなどの副次的効果もある。メディアとのリレーションにつながる活動は我々も望んでいることです」
何が炎上するか分からない時代、「常にユーザー目線でどう捉えられるのかを意識」
ここにはSNSに付きものの炎上対策もある。特に昨今はコロナ禍であり、発信する情報やネタに関しても「今はそれどころじゃない!」と、職種にはよるが、心の余裕がそこまでない人も多い時代であるはずだ。だからといって、炎上対策のために、「普遍的に誰にも当てはまるような楽しい情報やネタ」を提供しているわけではない。ミッションとして掲げる「We help people get jobs」のもと、「あらゆる人々」の仕事探し・就業を応援したいという想いから、さまざまな人に楽しんでもらえるコンテンツを提供し、それが結果として炎上対策にもなっている。とはいえ、炎上と隣合わせのネット社会であることもあり、「日頃から弊社に好意を持ってもらうよう、SNSユーザーとのコミュニケーションを重視しており、常にユーザー目線でどう捉えられるのかを意識している」とネット展開での難しさも語る。
ところで昨今ネット上は、ブラック企業問題が辛辣に取り上げられていたり、「○○ハラ」など多くの被害者の悲痛な声が散見される。また逆に「○○ハラ」の規制が行き過ぎて息苦しいと感じる声もあり、仕事に関してはネガティブで否定的な書き込みが比較的多いのが現状だ。そう考えると同社の「日々の仕事をちょっと楽しく」というテーマや同アカウントの情報は、ネットというメディアの現在のアンチテーゼになっているようにも感じる。
「そういった社会問題の解決など、このアカウントではそこまで大きな信念を掲げてPR活動をしているわけではありません。あくまでも『日々の仕事をちょっと楽しく』。ですが、日々の仕事をする上で、辛いと感じてしまったり、楽しく働けないような瞬間にある方々にも、もしこのテーマが届けられているのだとしたら、それはうれしく思います」