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『テニプリ』作者・許斐剛が語る、令和における漫画家の在り方「漫画家が漫画だけを描く時代ではない」
独自の成長を見せるメディアミックスは「切磋琢磨の関係」、原作への逆輸入も
許斐剛うれしかったと同時に不安もありました。有名な声優さんやアイドルが演じるミュージカルはありましたが、まだ無名の新人の俳優さん達が舞台に上がって、果たしてそれが受け入れられるのか、と。ですが初演を観て「これは大丈夫だ」と感じました。素晴らしい俳優さんたちばかりでワクワクしましたし、お客さんが増えていくのがリアルタイムに感じられたのも楽しかったですし。それに私は、もし漫画家になってなかったら、ミュージカル俳優になりたいと思っていたんですよ。
――ミュージカル俳優ですか!?
許斐剛ミュージカルが好きで、帝国劇場の『レ・ミゼラブル』を何度も観に行くような高校生でした。音楽の道へ進みたい、でも漫画も描きたい。そう思い、ミュージカルをやりながら趣味で漫画を描けばいいかと考えていたんですけど、漫画のデビューの方が早くて漫画家に。しかしなぜか、巡り巡って、自分の作品のミュージカルの話が来たんです(笑)。不思議な縁ですよね。
――その『テニミュ』からは斎藤工さんをはじめ、城田優さん、瀬戸康史さん、志尊淳さん、桜田通さんなど多くのスターが。若手俳優の登竜門ともいわれる作品になっていますが、作品が原作の外でも盛り上がり、独自のコンテンツとして成長していくことへのお気持ちは?
許斐剛『テニミュ』は手放しで応援していますし、テレビを観たらどのチャンネルにも『テニミュ』に出ていた子がいるんですよ。もう保護者と言うか親目線のような形で「あ、頑張ってるな」とうれしく思っています。アニメや実写映画もおかげさまで盛り上がりを見せ、互いが互いの分野で上手く演出してくれているので、切磋琢磨しているような気持ちになっています。
――ということは、原作の外の作品から逆輸入をしたりも?
許斐剛逆輸入もあります。例えばミュージカルで佐伯虎次郎役を演じてくれた伊礼彼方くんが「無駄に男前」って言われていたんですよ(笑)。その「無駄に男前」は原作にも落とし込みました。ほか私が描ききれなかった部分をミュージカルが拾って出したり、アニメでもそのシーンを使ったり、どんどん補完し合っていっている印象です。
――『テニスの王子様』は音楽と切っても切り離せない関係ですものね。
許斐剛キャラクターソングだけでも900近い数がありますから。ですから今回映画でも音楽には相当力を入れました。