ORICON NEWS
「作業工程すっ飛ばしすぎ!」な仏像に反響、元サラリーマン仏師がSNSで発信する理由
インバウンドは落ち込んでも、SNSで世界中の潜在的な需要を呼び起こしたい
「市場規模が小さくなり、仕事の量が減って職人は生きていけない、だから子どもに継がせられない、とも言われています。ですが、実は作品や技術を知ってもらえていないだけだと思うんです。今ならSNSを通じて、存在を世界にアピールできますし、潜在的ニーズはまだまだ呼び起こせると思います。コロナ禍でインバウンドは落ち込んでいますが、世界中で潜在的な需要はあります。SNSは個人で発信できて、世界中の人に見てもらえるのが強みなので、今後も利用していきたいと思います」
――三浦さんが所属する土御門仏所のHPを見ると、伝統的な仏像彫刻のほかに、『ドローン仏』『ガチャ仏さま』『3D仏像データ』など、仏像を現代の技術と融合させた試みが見られます。これらも、そういった新たな試みの一環ですか?
「そうですね。ドローンや3Dプリンターなど、新しい技術と昔からの伝統技術を融合させていろいろな見せ方をしていますが、その根本にあるのは『仏教の世界を具体的、立体的に表現する』という思いです。たとえば、平安時代に日本で流行った『阿弥陀來迎』という、阿弥陀如来が雲に乗って亡くなった人を迎えに来てくれる仏教画があります。今から1000年前に、阿弥陀如来が宙に浮いている様子を仏師が描いたものですが、それを現代の技術を用いて立体的に表現したのが『ドローン仏』です。発想としては、決して突飛なことではないんじゃないかと思いますね」
――なるほど! 浮遊している仏様の絵が、現代になったらドローンに…というのは、つながりを感じますね。では最後に、これらツイートなどを見て、初めて仏像彫刻の世界に触れた人に伝えたいことは?
「今、古い仏像を見るのが好きな人って多いのですが、この機会に、今も平安時代や鎌倉時代の流れを汲んで仏像を作っている仏師もいるんだと、多くの人たちに知ってもらえればと思います」
■三浦耀山さんInstagram(外部サイト)
■土御門仏所HP(外部サイト)