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“日本一映える日常を送る女子高生”が最高にエモい、静岡の“田舎”撮り続けるカメラマンの思い「地域の活性化につなげたい」
富士山見える町景色と女子高生、人の心動かす写真に大きな反響
うちださん モデルさんのしぐさ・表情・信号機の色・富士山の見え方など、すべてが狙い通りだったので、手応えはありました。ただ、ここまで反響をいただけるとは思っておらず、通知が鳴り止まなかった2日間は仕事に集中できなくなるほどソワソワしました(笑)。7年間コツコツとTwitterに投稿し続けてきて、本当に良かったと感じましたね。
――どんな反響が印象に残っていますか?
うちださん 現在この地域に住んでいる人や過去に住んでいた人、また同じような故郷を持つ多くの人たちから、共感を得ることができたのかなと思いました。ただ、「富士宮の方がすごい」とか「富士山合成?(合成ではなくカメラのレンズによる圧縮効果です)」といったコメントもあり、良くも悪くも、人の心が動く要素がたくさんあったからバズったのかなとも感じましたね。
――あの場所はどのようにして選んだのでしょうか?
うちださん 「三保街道」の富士山が見える町景色は、カメラ好きな人たちには実はお馴染みのアングルです。場所としてはベタなのですが、この風景に地元の女子高生を掛け合わせた写真はまだ見たことがないなと思い、ここで撮影することにしました。
――この女子高生は、お知り合いの方ですか?
うちださん 僕は2015年から『夏色フォトグラフィー』という田舎の夏と女子高生をテーマにした作品撮りを行なっていて、2019年から春に卒業する3年生も撮るようになったんです。昨年、成人式の前撮りをする機会があり、主役の子の妹さんが一緒について来ていて、その子が高校3年生だったためスカウトしました(笑)。
儚さと尊さの掛け合わせ、共感を生むことで「景観を守ろうという気持ちにつながれば」
うちださん 「仕事以外の写真で自分の好きな世界を表現したい」と漠然と感じていたとき、知人に誘われて富士宮市の山奥へ行ったんです。その途中で出会った柚野(ゆの)という田舎の村に広がる田園風景に目を奪われ、思わず車を停めて見入ってしまいました。30年以上も静岡県に住んでいて、こんなに素敵な地域があるなんて誰も教えてくれませんでしたし、身近な静岡市民にも知っている人はほとんどいませんでした。だから、「みんなに知ってほしい」と思ったことが最初のきっかけですね。
――写真を見ましたが、本当に美しい風景でした。
うちださん はい。ただ、風景だけを撮影したのではつまらないので、「人が共感できるようなストーリーを描きたい」と思い、女子高生を被写体にすることにしたんです。
うちださん 桜の花のように、短期間に美しい姿を見せて姿を変えていくものに、人は自然と魅了されます。夏・田舎・女子高生という儚く尊い3つを掛け合わせ、ノスタルジックでセンチメンタルな写真を撮れば、多くの人の共感を得られるのではないかと思います。
――たしかに、どこか切なさも感じられます。
うちださん この三保の写真も、風景だけだったらこんなに多くの反響はなかったと思うんですよね。そこに、短い青春を駆け抜ける現地の女子高生の姿があったからこそ。共感を生むことで、景観を守ろうという気持ちや地域の活性化につながればいいなと思っています。
――一方で、女子高生というテーマを扱うことに、不安はありませんでしたか?
うちださん SNSは便利な反面、良いことよりもむしろ悪いことの方がすぐに拡散されてしまう気がします。そう言う意味でも、「未成年である女子高生」の扱いにはかなり気をつけています。撮影前、撮影中、撮影後にもトラブルにならないように、親御さんの許諾はもちろん、事故が起こらないように気を配っています。身バレしてしまわないように、制服のリボンを替えたり、中学校の制服とミックスして着用してもらったりすることもありますね。