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東日本大震災で経験した“遺影制作”の漫画に反響 震災10年の節目にSNS投稿した理由とは?【#あれから私は】
「パソコンの画面越しのひとりひとりに手をあわせていた」
【あいしま】全てに目を通しているわけではありませんが、私が描いたもので皆様がさまざまなことを思い考えているのを目にして驚きました。伝えたかったこと以上の反響があり、読んでくださった皆様には感謝しかありません。
――今回の投稿に至る背景と投稿に込めた思いを教えてください。
【あいしま】震災から10年という区切りの年でもありましたし、何より私の子どもが漫画に描いた当時の子どもたちと同じくらいの年齢になりました。それもあり、日頃の防災意識にもっと目を向けてもらいたく描いた次第です。
――自身も被災しながらも写真スタジオで遺影制作に取り組まれたとのことですが、当時はどのくらいの発注があったのでしょうか?
【あいしま】これは申し訳ありませんが、本当に覚えていません。上司が作った遺影写真を私が額に入れたり、私が作ったりはしましたが、はっきりとはもう思い出せません。でも、数にできるくらいの量ではなかったと思います。
――遺影制作をするにあたって、何か心がけていたことはありますか?
【あいしま】できるだけご遺族のご希望に沿って作っていました。また、作るにあたって、パソコンの画面越しのひとりひとりに手をあわせていたのを覚えています。
――遺影制作を通じて、自身の中で変化した思いや考えなどがあれば教えてください。
【あいしま】できるだけ人には優しくいようと思うようになりました。いつ何時に、その人との別れが訪れるかはわからないので…。
自分の命を救う術として「大切な人と防災について話してほしい」
【あいしま】この作業が大変だったとかはないのですが、やはりあまり明るい仕事ではないので、気持ちが沈みきらないようにするのが大変でした。
――震災から10年が経ちますが、自身の中で震災に対する考え方に変化はありましたか?
【あいしま】自分自身が母親になったこともあり、家族や子どもと防災を考えるようになりました。
――最近も大きな地震があり、またいつ何が起きてもおかしくない状況です。東日本大震災の被災者の立場として、読者に心に留めてほしいことはありますか?
【あいしま】誰しも大切に思う人がいると思います。その人と少しでも防災について話して頂きたいです。きっと自分の命を救う術になると思います。