お酒好きやウイスキー好きの人の間でも、意外と知られていないのが「ウイスキーは一体何でつくられているのか？原料は何なのか？」といった原料のことである。原料の秘密を知ることで、普段飲んでいるウイスキーの美味しさはより味わい深いものになる。

今回は、ウイスキーの美味しさを堪能してもらうために、原料や原料種別ごとのおすすめウイスキー銘柄を紹介する。ウイスキーを飲んでみたい初心者はもちろん、ある程度親しんできたウイスキー中級者も必見の内容になっているのでぜひチェックしてほしい。

【contents】
・ウイスキーの原料は何？
・ウイスキーの種類
　┗モルトウイスキー
　┗グレーンウイスキー
　┗ライウイスキー
　┗コーンウイスキー
　┗その他のウイスキー
・原料別おすすめのウイスキー
・まとめ

ウイスキーの原料は何？

ウイスキーは穀物を原料にして製造

ウイスキーの主原料はズバリ「穀物」である。ウイスキーづくりでは大麦・小麦・トウモロコシ・ライ麦などを中心に、さまざまな穀物が原料として使用されている。これらの穀物を糖化や発酵、蒸留させた後に、木樽の中で長期熟成することで普段飲んでいる美味しいウイスキーが完成する。

ブレンデッドウイスキーは複数の原酒を利用

一口に「ウイスキー」といっても、原料となる大麦やライ麦といった穀物の種類によって、最終的な香り・味・風味が大きく違ってくる。そのため、ウイスキーづくりのプロにとって「原料の魅力をどう活かすのか」が、ウイスキーづくりの醍醐味の一つといっても過言ではない。

たとえば大麦麦芽を使えば豊かな美味しさが魅力の「モルトウイスキー」に、ライ麦を使用すればシャープな味わいが特徴の「ライウイスキー」になるなど、ウイスキーにとって原料のチョイスや活かし方は非常に重要だ。

また、複数の原酒（「モルトウイスキー」など）を混ぜ合わせてつくる「ブレンデッドウイスキー」という種類もある。ブレンデッドウイスキーは大麦からつくられたモルト原酒と、大麦以外の穀物を主原料としたグレーン原酒をブレンドするのが主だが、どの銘柄も基本的にマイルドで飲みやすいのが特徴だ。

このあと紹介する「モルトウイスキー」などとはまた違う魅力があるので、もしブレンデッドウイスキーが未体験なのであればぜひチャレンジしてみてはいかがだろうか。

ウイスキーの種類＜原料別ウイスキー＞

モルトウイスキー【大麦麦芽を使用した個性豊かなウイスキー】

モルトウイスキーとは、大麦を発芽させた大麦麦芽を使用したウイスキーである。
モルトウイスキーはモルト100％でつくられ、その中でも、一つの蒸留所でつくられたモルトウイスキーを瓶詰したものを「シングルモルトウイスキー」と呼ぶ。

モルトウイスキーはスコットランドや日本でつくられるのが一般的である。スコットランドであれば「グレンフィディック」「グレンモーレンジィ」「ボウモア」、日本だと「山崎」「白州」「余市」などが、世界的に有名なシングルモルトウイスキーだ。いずれもモルトの良さを最大限に表現している銘柄ばかりで、シングルモルトウイスキーの人気を盤石なものとしている。

このほか、近年だと台湾やインドなどでもモルトウイスキーはつくられている。さらには「バーボンウイスキー」で有名なアメリカでもモルトウイスキーがつくられることもあるが、アメリカでは原料の51％以上がモルトであれば「モルトウイスキー」を名乗れるため、モルト100％で仕上げるスコットランドと日本のモルトウイスキーとは味わいなどが異なっている。

グレーンウイスキー【ブレンデッドで重宝するウイスキー】

小麦やライ麦、トウモロコシといった穀物を主原料にしたウイスキーでは、モルトは製造過程で酵素として加えるのみである。グレーンウイスキーだけで瓶詰めして生産することは少なく、基本的にモルトウイスキーなどとブレンドされることが多い。いわゆる「ブレンデッドウイスキー」のベースとしての役割がある影の立役者だ。

ライウイスキー【アメリカで愛されているウイスキー】

ライ麦を原料にするのがライウイスキーで、主にアメリカでつくられることが多い。アメリカで定義されている主な条件は以下の3つである。

・原料の51％以上がライ麦
・アルコール度数80％以下で蒸留
・内側を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成

辛口のシャープな味わいが特徴であり、ウイスキー好きの中でもツウ好みな存在だ。
マンハッタン、ウイスキーサワー、ワード・エイトといった、古くからバーで人気のあったスタンダードカクテルのベースにも使われる。ライウイスキーならではのキリッとしたテイストに仕上がるため、あっさりめなカクテルが好きな人はぜひライウイスキーをベースに使ってみてほしい。

コーンウイスキー【ほのかな甘みを感じられるウイスキー】

その名の通り、トウモロコシを主原料にしたのがコーンウイスキーである。ライウイスキーと同じくアメリカでつくられ、定義も以下のように似ている。

・原料の80％以上がトウモロコシ
・アルコール度数80％以下で蒸留
・内側を焦がしたホワイトオークの新樽で熟成（期間の定めなし）

トウモロコシを80％使用するため、コーン特有のやさしい甘みを感じられるのが特徴だ。アルコール感が強めで、市場に広く出回っているわけではないため、ウイスキー好きの中でもニッチな人気を獲得している。

なお、「バーボンウイスキー」は広義ではコーンウイスキーの一種ともいえる。というのも、バーボンはトウモロコシを原料として51％以上使い、コーンウイスキーと同じ製造過程を踏んでつくられる。厳格な違いはトウモロコシの比率の違いのみだ。

しかし、コーンウイスキーが熟成期間を長く設けない一方で、バーボンは2年以上熟成させることが多いため、香り・味などは両者で結構違ってくる点は覚えておきたい。

その他のウイスキー

ウイスキーの原料にはメインの「モルト」「ライ麦」などさまざまな穀物が使用されるが、ほかのマニアックなものを原料にしている種類もある。たとえば、日本では米を原料とした「ライスウイスキー」がつくられ、フランスやアメリカではそばを原料にした「そばウイスキー」が生産されている。

原料別おすすめのウイスキー

最後に原料種別でウイスキーのおすすめ銘柄を紹介する。それぞれに特徴があるので、少しでも気になったらぜひチェックしてみてほしい。

ザ・グレンリベット　【モルトウイスキー】

スコッチウイスキーの原点とも称される世界的人気を誇る銘柄である。いつ蒸留所がつくられ、本格的な製造がスタートしたのかは不明だが、少なくとも1824年に「グレートブリテン王国」政府から初の公認蒸留所として認められているため、かなりの歴史を誇ることは確かだ。

スコットランドでは「ザ・グレンリベット」のほかにも、「グレンフィディック」「アードベッグ」などのシングルモルトウイスキーがつくられているが、どれも原料のモルトを活かした仕上がりになっている。もし、機会があれば「ザ・グレンリベット」とほかの銘柄を飲み比べて、モルトウイスキーの魅力を堪能してみてはいかがだろうか。

→【公式サイト】ザ・グレンリベット（外部サイト）

ジョニーウォーカー　【ブレンデッドウイスキー】

ブレンデッドウイスキーの雄「ジョニーウォーカー」は、長年世界で売れ続けているヒット銘柄だ。スコットランド国内のモルト原酒とグレーン原酒をブレンドし、上質な飲みやすさを実現している。

ブレンデッドウイスキーにはほかにも「シーバスリーガル」「デュワーズ」「バランタイン」など、CM展開もしている人気銘柄がいくつかある。ジョニーウォーカーと比較しつつ、ぜひ晩酌の友として嗜んでほしい。

→【公式サイト】ジョニーウォーカー（外部サイト）

ウッドフォードリザーブ ライ 　【ライウイスキー】

「ウッドフォードリザーブ」とはたしかな味わいと香りが人気のバーボンウイスキーの一つである。そのライウイスキーバージョンであり、マンハッタンやウイスキーサワーなどのカクテルのベースにも使われている。バーにいって同銘柄ベースのマンハッタンなどを嗜むようになれば、あなたもお酒の味がわかる大人の仲間入りだ。

また、世界的な競馬レース・ケンタッキーダービーの公式スポンサーであり、毎年開催を記念して限定ラベル版が発売される。限定ラベルは生産量が少なくマニアックなファンの中で争奪戦が繰り広げられる。競馬好き・スポーツ好きにも知られている銘柄といえよう。

→【公式サイト】Woodford Reserve（外部サイト）

I.W.ハーパー　【コーンウイスキー】

トウモロコシの配合率が86％と非常に高いバーボンウイスキー（コーンウイスキー）だ。トウモロコシならではの豊かなコクと強い甘みが魅力で、アルコール度数が40％ほどとそこまで高くないため、ウイスキー初心者でも親しみやすい仕上がりになっている。

ストレートなどでいただくのはもちろんだが、炭酸で割ってサッパリといただく「ハーパーソーダ」も大人気だ。おつまみを限定せずに楽しめるのでおすすめである。

→【公式サイト】I.W.HARPER Japan（外部サイト）

まとめ

今回は原料に着目してウイスキーの種類や魅力をまとめてきた。原料によってウイスキーの美味しさは千差万別である。これからは原料にも着目して、日頃のウイスキー選びや晩酌を楽しんでほしい。

著者プロフィール

タリトネ
東京都内のBarを中心に、日々酔いどれているアラサーのライター・Webディレクター。カクテルとウィスキーをオーセンティックBarで嗜み、日本酒とワインをレストラン・小料理屋にて楽しむ。飲み会・デート前には必ずアペるのがクセ。趣味が高じてウイスキー検定2級取得。自身のブログサイト「20代からのオーセンティックバー（外部サイト）」にてBarやお酒の魅力を発信中！

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