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「離婚を勧めているのか?」批判から一転、母や妻描くコミックエッセイの先駆けに…漫画家語る女性の生き方

  • 『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)

    『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)

昨今、プロ、アマチュア問わず、主婦や母親たちの悩みを描くコミックエッセイが大きな話題を集めている。なかにはSNSで投稿され、単行本化されるケースも多い。そんな、家庭における女性たちを描いたコミックエッセイの先駆けが、『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)などで知られる漫画家・野原広子さんだ。ほのぼのとした絵柄ながら、描く内容は女性ばかりか男性にも突き刺さり、ときには議論が巻き起こったりもする。野原さんに、それら作品が生み出される源、女性の生き方について聞いた。

離婚にママ友、当初は理解されなかったコミックエッセイに大反響

  • 『離婚してもいいですか? 翔子の場合』

    『離婚してもいいですか? 翔子の場合』

 漫画『離婚してもいいですか? 翔子の場合』『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』の2作が、YouTubeチャンネル『コミックエッセイ劇場』で動画配信され、話題になっている。2作ともポップでライトな絵柄ながら、どこにでもいる普通の主婦や母親の日常に潜む苦悩や葛藤を赤裸々に綴った内容だ。コミックエッセイの作者は、世の母親や妻たちから多くの支持を得ている、人気漫画家の野原広子さん。過去作ながら改めて話題になっている上記2作の制作意図や反響とは。

――『離婚してもいいですか? 翔子の場合』は、コミックエッセイとしてとても人気のあった作品。一見幸せそうだけど、実は離婚したいと思い悩んでいる主婦の話ですが、本作はもともと、どのような経緯で描かれたのですか?

 「この作品の少し前に『離婚してもいいですか?』(2014年)を描いたのですが、その時の編集者の方が『レタスクラブ』(料理、生活情報雑誌)の編集長になられて、『もう一度、離婚をテーマに漫画を描かないか』とお話をいただきました。ここでは3ページの連載でしたが、当初は『水を打ったように静か』と言われるくらい反響がなくて(笑)。読者に主婦の方が多いせいか、『離婚を勧めているのか!?』というお叱りの意見をいただいたこともありました。『やっぱりダメか…』と思ったけど、だんだんと読んでくださる方が増え、反響も大きくなっていきましたね」

――家事や育児に非協力的で、自分を蔑ろにする夫への翔子の不満、そこから離婚へ向けて動く心理描写がとてもリアルでした。ご自身の経験も反映されているのですか?

 「反映している部分もあるけれど、こういったテーマで描いていると、多くの方々がご自分の気持ちを吐き出してくれるんです。だから、ネタには困らないというか(笑)。みんな思うことは同じで、『離婚したいけど、旦那に文句を言えないし、お金もないし、子どものことを考えると…でもでも』って、堂々巡りになるんですよね。そういう皆さんの意見を集結して、こういう話になりました」

「トイレで読んで泣いた」…、誰にも言えない女性たちの悩み

  • 『ママ友がこわい』

    『ママ友がこわい』

――もう1作の『ママ友〜』は、ママ友との関係が壊れてしまったことに悩み苦しむ母親が主人公。

 「もともと仲が良かったママ友が、いつからか一切口も利かず、目も合わせてくれなくなって。いじめを受けているような状態になってしまったママの話です。最初はおだやかに関係が始まるんだけど、あれよあれよという間に崩れていって、怖い世界に踏み込んでしまうという。その謎解きのような、崩れていく過程を掘り下げた作品です。なかなか難しいテーマの話なので、最初に出版した紙の本は売れなくて。でも最近復刊していただいて、読んでくださる方もいらっしゃるようです」

――この2作について、読者の方からの反響はいかがですか?

 「自分では最初、こういうテーマを描くのはどうなのだろうと思ってたのですが、『読んで助けられました』というお声をいただくようになりました。『自分が言えない代わりに、翔子が言ってくれているんだよね』と言われた時には、嬉しかったですね。中には、お会いした時に涙を流された方、『トイレで読んで泣きました』という方もいて。わざわざトイレで読まないといけないくらい、家族にも言えない悩み、苦しみなんだと実感しましたね」

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