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「離婚を勧めているのか?」批判から一転、母や妻描くコミックエッセイの先駆けに…漫画家語る女性の生き方
離婚にママ友、当初は理解されなかったコミックエッセイに大反響
――『離婚してもいいですか? 翔子の場合』は、コミックエッセイとしてとても人気のあった作品。一見幸せそうだけど、実は離婚したいと思い悩んでいる主婦の話ですが、本作はもともと、どのような経緯で描かれたのですか?
「この作品の少し前に『離婚してもいいですか?』(2014年)を描いたのですが、その時の編集者の方が『レタスクラブ』(料理、生活情報雑誌)の編集長になられて、『もう一度、離婚をテーマに漫画を描かないか』とお話をいただきました。ここでは3ページの連載でしたが、当初は『水を打ったように静か』と言われるくらい反響がなくて(笑)。読者に主婦の方が多いせいか、『離婚を勧めているのか!?』というお叱りの意見をいただいたこともありました。『やっぱりダメか…』と思ったけど、だんだんと読んでくださる方が増え、反響も大きくなっていきましたね」
――家事や育児に非協力的で、自分を蔑ろにする夫への翔子の不満、そこから離婚へ向けて動く心理描写がとてもリアルでした。ご自身の経験も反映されているのですか?
「反映している部分もあるけれど、こういったテーマで描いていると、多くの方々がご自分の気持ちを吐き出してくれるんです。だから、ネタには困らないというか(笑)。みんな思うことは同じで、『離婚したいけど、旦那に文句を言えないし、お金もないし、子どものことを考えると…でもでも』って、堂々巡りになるんですよね。そういう皆さんの意見を集結して、こういう話になりました」
「トイレで読んで泣いた」…、誰にも言えない女性たちの悩み
「もともと仲が良かったママ友が、いつからか一切口も利かず、目も合わせてくれなくなって。いじめを受けているような状態になってしまったママの話です。最初はおだやかに関係が始まるんだけど、あれよあれよという間に崩れていって、怖い世界に踏み込んでしまうという。その謎解きのような、崩れていく過程を掘り下げた作品です。なかなか難しいテーマの話なので、最初に出版した紙の本は売れなくて。でも最近復刊していただいて、読んでくださる方もいらっしゃるようです」
――この2作について、読者の方からの反響はいかがですか?
「自分では最初、こういうテーマを描くのはどうなのだろうと思ってたのですが、『読んで助けられました』というお声をいただくようになりました。『自分が言えない代わりに、翔子が言ってくれているんだよね』と言われた時には、嬉しかったですね。中には、お会いした時に涙を流された方、『トイレで読んで泣きました』という方もいて。わざわざトイレで読まないといけないくらい、家族にも言えない悩み、苦しみなんだと実感しましたね」