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伝説の“Tプロデューサー”こと土屋敏男氏に聞く『電波少年』復活と“天下を取る人”の条件

土屋敏男氏

土屋敏男氏 (C)oricon ME inc.

 1990年代に一世を風靡した『電波少年』(日本テレビ系)が、来年1月からWOWOWで『電波少年W〜あなたのテレビの記憶を集めた〜い!〜』として無料放送で復活することが発表された。『電波少年』といえば、ヒッチハイクの旅やアポなしロケなど過激な企画を実施し、有吉弘行ら多くのスターを輩出してきた伝説的バラエティ。放送終了から18年以上経過した今、なぜWOWOWで復活するのか、いったいどんな放送になるのか。Tプロデューサーこと、土屋敏男氏に話を聞いた。

予測不能、予定調和のないコミュニティによって作られる『電波少年 W』

  • WOWOWでプロデューサーを務める射場好昭氏

    WOWOWでプロデューサーを務める射場好昭氏 (C)oricon ME inc.

 アポなしロケ、ヒッチハイクの旅、懸賞生活など無名の若手芸人による奇抜な体当たり企画で人気を博した『電波少年』。その新作は、WOWOW側が土屋氏にオファーをしたところから始まった。WOWOWでプロデューサーを務める射場好昭氏はオファーの理由を語る。

射場『電波少年』は空前絶後で屹立した存在。テレビの歴史を語る上で無視できないコンテンツだと思い、その語り部でもある土屋さんに声をかけさせていただきました。

土屋WOWOWさんから「うちで『電波少年』的な番組をやりませんか?」とお誘いを頂いた時は「いやぁ、またまた」と思いました(笑)。できる訳がないと思ったんです。ですがその後『WOWOWが目指す、次の時代の方向性はコミュニティです』と聞いた時に「それは面白い!」と脳内でいろんなものが結びつきました。

 これまでも番組がコミュニティを作ることや、SNSのトレンドや「#」(ハッシュタグ)などを取り入れて番組作りすることもあった。だがWOWOWがやろうとしたのは「コミュニティで番組を作る」こと。番組サイトに独自のコニュニティを作り、ユーザーがそこにアカウントを作ってログイン。さまざまな意見交換などを行い、それを基に番組を制作していく。

土屋テレビというのはマスメディアの最たるものですから、基本的にはこちらが発信する一方向。例えば『半沢直樹』(TBS系)は高視聴率で3,000万人が観たということなので、テレビ1に対して3,000万。同時にYouTubeは元々発信側と受け取り側が1対1の関係。WOWOWさんがやろうとしているのは双方向であり、規模はその中間…ミディアムサイズで、そのサイズ感も初の試みで面白い。コミュニティでどういう意見が出るのかは、まったく予測不可能でどうなるか分からない。それが予定調和なく思いつきのアドリブでやってきた『電波少年』らしいと思い企画書を作成したのです。

かつてテレビがそうであったように“視聴者の欲望”が番組を作る

 土屋氏が提出したアイデアは「テレビの記憶」。日本のテレビの歴史は約70年。その歴史の中から視聴者が「確かあんなことがあった」「このシーンをもう一度観たい」などの意見をコミュニティで募る。その“集合知”の中から人気が高いものをWOWOWが各テレビ局にオファー。その映像を探り出し語り合うというもの。

射場本来テレビは皆の欲望を吸収して返す存在でした。ですが今は仕組みの中でテレビが決まってしまっている…流れ作業のようになっているように感じていて、それをWOWOWで一度ロック解除してみようと。みんなの欲望で番組を作ったらどうなるのか。それこそ昔のテレビっぽく戻れるのではないか。そんな使命感があります。テレビって元々そういうものだったでしょ、と。

 ユーザーが観たいと思っていた番組やシーンが局にないかもしれない。もしくは借りることが困難な状況かもしれない。提供できないとすれば次に何をするか。困難に当たりながら紆余曲折し、壁を迂回しながらどんな形でもいいから進めていって、ギリギリのところで目的地を見出す。そのコンセプトはまさに『電波少年』そのものだ。

土屋例えば、『電波少年』の「懸賞生活」のなすびが最初に「服を脱いで」と言われるシーンが忘れられない、とか。日本テレビだと映像を借りることはできるかもしれないけど、他局の番組だと借りにくいかもしれない。そうしたら、テープをどうやって入手するかの“やり口”がカギになる。クラウドファンディングで応援してくれる仲間を募るのか、あるいは、テレビ局のテープ保管庫にこっそり忍び込むのか(笑)。

射場どこから登れるか、ぐるぐる回って上っていって、どこまでもいくってところは電波少年なのかなと思います。諦めずに、道を探していくという感じですね。

 『電波少年』=過激なものというイメージが先行しているだけに、今回もそこを期待する声は、放送前から多く寄せられている。

土屋番組は受け取る側のものだと思うので、そういうふうに受け取るのは別に構わないし、逆に『みんなそう思ってんだな、その期待に答えなきゃいけない』と思ったりはします。それも“双方向”だと思います。

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