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『仮面ライダー変身ベルト』が50年間“男子の憧れ”であり続けるワケ 開発陣に伝わる教訓「その武器で地球が救えるのか?」
時代は変わっても、子どもたちの“原始的な欲求”は変わらない
「子どもたちに驚きを提供できるよう、新しい技術を取り入れていくことも積極的に考えてはいるのですが、ただ、技術ありきで作ろうとは思っていません。留意しているのは、『今、変身ベルトを通して一番子どもたちに届けたい・伝えたい楽しさは何か?』ということです。そのために新しい技術が必要なのであれば採用しますし、その必要がなく、これまでに使ってきたギミックを、魅せ方を変えて伝えられるのであれば、以前も使用した技術・手法も用います」
「開発陣は、そのプロジェクトごとに変わっていきますが、受け継がれているのは、ホンモノ志向であること。弊社に残る逸話なんですが、かつて、ある担当者が武器のデザインを上司に見せた際、『お前、その武器で本当に地球が救えると思うか?』と問われたと。ただ派手でカッコいいおもちゃではなく、そのヒーローが本当に悪を倒し地球を救うことができると信じられる武器になっているかを真剣に考えて作れ、という教訓なのですが、それはヒーローアイテム作りの考え方の根底に根付いています」
「今は携帯電話やパソコンが身近にあり、子どもにとっての“当たり前”は時代によって変わってきています。ですが、変身ベルトが対象にしている3〜6歳の子どもたちの、ものごころが付き始めたときに触って遊ぶおもちゃに対する物理的な興奮や、人間の根源的な面白い面白くないという感情は、変わらない部分があると思っています。
最新作の『仮面ライダーセイバー』も、ベルトに刺さっている剣を抜いて遊べるようになっていますが、昔から木の棒を振り回して遊ぶのが好きな子どもは多いですよね。そういう戦い遊びに代表されるような、遊びに対する原始的な欲求は変わらないと思って、開発に当たっています」
文/河上いつ子