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日常風景に巨大ロボ プラモ写真をデジタル加工した“デジラマ”の魅力

ひろぽん♪さんのデジラマ作品

 「ガンプラ」をメインに、『エヴァンゲリオン』や『パトレイバー』などロボットもののプラモデルを撮影、デジタル処理を施した“デジタルジオラマ(デジラマ)”を作成しているのが、プラモデル愛好家のひろぽん♪さん。原作に近いシーンを再現したり、また日常の何気ない景色とプラモデルを絡めるなど、実際にはあり得ない世界観を構築している彼の作品は、どれもハイクオリティな仕上がり。今回、ひろぽん♪さんに「デジラマ」制作の魅力を聞いてみた。

デジラマ歴15年、400点以上を制作 20時間かかった大作も

――ひろぽん♪さんが思う、一般的な「デジラマ」の定義を教えて下さい。
ひろぽん♪プラモデルを撮影したデジタル画像に画像編集ソフトなどを加工し、情景を作り出していきます。一言で画像編集といっても、ビームなどのエフェクト加工を追加するだけのものから、背景合成後に被写体の表面処理を施すまで、作業内容は多岐に渡りますね。

――「デジラマ」にハマったきっかけは何ですか?
ひろぽん♪アニメーターのキクチミチタカ(麻宮騎亜)氏の作品である、ウルトラマン・イン・ザ・リアルの合成加工写真をみて、「これをロボットでやってみたい」と思ったのがきっかけです。「デジラマ」歴は正確には覚えていませんが、始めたのは15年以上前です。当時は当然「デジラマ」と言う呼称も定着していませんでしたね。作業も、PCで簡単に作ってからプリントアウトさせるという感じでした。

――「デジラマ」制作において、影響を受けた方は?
ひろぽん♪なんといっても、デジラマ師のRobographerさんです。ポージングやパース感、画面構成や表面処理など、どれを取っても素晴らしいですね。全てにおいて影響を受けているとは思いますが、結局自分にあったやり方をするので、作品のテイスト自体はそこまで似てないかもしれません。

――写真では出せない、「デジラマ」画像ならではの良さは何でしょうか?
ひろぽん♪「デジラマ」の良さは、やはりリアリティと巨大感だと思います。それに「日常の風景に巨大ロボットがいる」という妄想を具現化できるところでしょうか。「デジラマ」と同じく「ジオラマ」も、圧倒的な存在感と情報量が魅力ですね。あえて言えば、「ジオラマ」はあらゆる角度から風景を楽しめる点が大きいかな。存在しているもの=全てが本人の手による創作品ですから。

――今まで制作した「デジラマ」の総作品数は?
ひろぽん♪以前、PCを買い換えた際に誤って大量削除してしまったんですが、それでも400点くらいはあると思います。

――400点!大体の制作ペースを教えてください。
ひろぽん♪今だと、1点あたり20時間くらいかけてますね。前に1カ月連続で1日1点制作していたこともありましたが、もう無理です(笑)。

駅前にガンタンク、バス停にジム… あり得ない世界を表現

――作品を作る前のテンションはどんな感じでしょうか?
ひろぽん♪作業の前半は、自分でも「ちゃんと完成するんだろうか」と毎回不安なんです。それが後半になると、全体像が掴めてきて一気に楽しくなる。早く完成させて実物を見たいという気になりますし、完成した時の安堵感と喜びは計り知れないです。

――ロボット系を使った「デジラマ」が多いですが、理由はあるのですか?
ひろぽん♪戦車や戦闘機と違って、この世界に「本物」が存在していない点ですね。実在しないものだからこそ、作り手の想像力を掻き立てられます。お台場のガンガム、あの立像は別ですよ(笑)。

――ガンプラの中で一番好きなモビルスーツは、やはりガンダムですか?
ひろぽん♪いえ、個人的にも宇宙ものよりも地上ものが好きなのもあって、「デジラマ」関係なしだと、シャア専用ズゴックです。それ以外ですと……ジムでしょうか。

――ところで、最初に反響を呼んだ「デジラマ」作品は?
ひろぽん♪京都・河原町を舞台に、ガンダムが登場する作品です。メイキング動画を作って、動画投稿サイト上で公開したので、反響がわかりやすくモチベーションもUPしました。また、最初に作った作品は、昔すぎて鮮明には覚えていませんが、バス停待ちをしているおじさんの後ろにジムを立たせたり、駅前でガンタンクが走っているとか、そんな内容だったと思います。当時は時代的にも画質が粗かったので、見る方も作る方も悪目立ちすることもなく、やりやすかったです。

――「デジラマ」制作時に、最も大変なことは?
ひろぽん♪いざ作業を始めるまでが一番大変ですね(笑)。作業工程でいうと、パーツごとに撮影して合成しているので、その調整が難しいです。遠近感を強調するため、普段ガンプラでは取らないポージングをリアルに再現すると同時に、撮影時の被写体深度によるボケ防止も兼ねています。

――一番の自信作というのを挙げてください。
ひろぽん♪常に最新作=自信作……と言いたいところですが、やはり後日見返すことで反省点も見えてきますし、もっと良いものが作れるはず!と信じながら作り続けています。

――「デジラマ」制作に関してのご自身のポリシー、絶対に譲れない点、人には負けないこだわりなどをお聞かせください。
ひろぽん♪身近な現代日本の風景との合成や、作品の本編にはない設定、またはマニアックな作品や機体を使うなど、公式があまりやらないような作品を作るよう心がけています。「自分的にこんなシーンがあったらなぁ、というスタンスが根底にあるので、原作シーンを再現することはあまり多くないです。

――どういったところに「デジラマ」ならではの魅力を感じますか?
ひろぽん♪「デジラマ」の入り口としては、特にイラストや3DCGを作るスキルがなくても、デジカメと模型、そして画像編集ソフトだけで気軽に作れるところです。だから、少しでも興味を持った人は、ぜひチャレンジしてみて欲しいですね。ただし、昔と違って今は見る側の目も肥えてますから、一定の評価を得るには相当の技術やセンスが必要という深みもあります。

――最後に、今度挑戦してみたい「デジラマ」作品のテーマは?
ひろぽん♪人物を絡めた情景物は作ってみたいですね。色々な人の協力が必要な上に、親和性を高めるのが難しいので、なかなか実現は厳しいですが……。かつて、「デジラマ」でコマ撮り動画を作ったり、エフェクトに食材を使ったりしたので、これからも遊び心を忘れずに作品を制作していきたいです。

「シン・ゴジラ」「エヴァンゲリオン」「パシフィック・リム」などデジラマ作品多数

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