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(更新: ORICON NEWS

大人が熱狂する“ミニ四駆”SNS拡散と地域参入でブームから文化へ…ジャパンカップ30周年

 最近、郊外型の量販店やホビーショップなどの一角で「ミニ四駆」のサーキット場をよく見かけるが、2012年の公式レース「ジャパンカップ」の復活から大人たちも巻き込んだ盛り上がりを見せており、現在“第三次ミニ四駆ブーム”がおとずれているという。11月17日、18日に静岡県で開催されたホビーのお祭り「タミヤフェア」でもミニ四駆のレース大会が開催され、日本と世界10カ国の代表選手が大型サーキットで熱戦を繰り広げた。第一次・第二次ブーム時には子どもだった大人をも巻き込んだ現在のブームについて、タミヤの担当者に話を聞いた。

2度のブームで累計販売台数は1億8000万台、大人もレース参入で3次ブームへ

 80年前後は、田宮模型(現タミヤ)においてもミリタリー系や自動車のプラモデル、いわゆるラジコンの人気が定着していた。そんな中、82年に、「4輪駆動で、どこでも走れるモーターライズのプラモデル」(タミヤ担当者)として、初代ミニ四駆が発売されたが、あまりウケず大ブームとまではならなかった。その後ラジコンバギーのブームが到来するも、当時の価格で2万円くらい、子どもにはなかなか手が出なかった。そこで、84年ころに、「子どもでも遊べるように、ラジコンバギーの人気モデルをモチーフにしたミニ四駆を600円という価格で発売しました。」(同上)、これが人気となり、87年に『コロコロコミック』で『ダッシュ!四駆郎』がはじまると、人気は頂点となり、第一次ブームが到来するのである。

 その後、さまざまな公式競技が開催されたが、サーキットで速度を競うレースが一番人気となる。それにともなってミニ四駆自体にも変化が生まれた。「当初は外で遊ぶことを想定して作られていたので、小石などに当たらないように車高が高く、タイヤもオフロード仕様になっていました。しかし、レース人気によって、より速く走るために車高が低くなり、タイヤもオンロード仕様に。ローラーなどのグレードアップパーツが付けられるような車体に進化していきました」(同上)。

 そうして、ミニ四駆を自分の好みに改造したり、より速く走らせることがユーザーにとって大きな魅力となり、グレードアップパーツも充実していく。94年には、ボディがタイヤを覆う「フルカウルミニ四駆シリーズ」が発売され、これを題材にした漫画『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』が『コロコロコミック』に掲載されると、第二次ブームを迎える。実際、現在までの累計販売台数を聞いてみると、「1億8000万台を超えています。国内でミニ四駆に触れたことのある方は約1900万人に達しているという推計もあります」(同上)というから、ブームのすさまじさがよくわかる。

 そして 現在、第三次ブームの真っただ中にあるわけだが、きっかけは2012年に13年ぶりに復活した「ジャパンカップ」。「以前は中学生までの参加制限があったのですが、大人も参加できるということを発表したところ、当時遊んでいた大人の方たちがSNSで一気に拡散してくれたのです」(同上)とのことで、過去の爆発的なブームではないにせよ、今に至るまでロングランなブームになっているようだ。

親子で一緒に楽しむ“コミュニケーションツール”としてのミニ四駆

 また、SNSも今回のブームに影響を与えていると担当者、「『富士通 乾電池 提供 ジャパンカップ2017掛川大会』内の『コンクールデレガンス』(マシンの美しさを競う大会)では、静岡で有名な『さわやか』というハンバーグチェーン店さんをモチーフにしたミニ四駆が、SNSでバズったという例がありました。こうした話題をきっかけに「『ジャパンカップ』が開催されていることをTwitterで知り、もう一度ミニ四駆をはじめてくれる方も少なくありません。思い思いのタイミングでミニ四駆ブームが来ている感じなのでは」(同上)とのこと。以前とはまた違った形のブームが到来していることがうかがえる。

 実際、「ジャパンカップ2018」の大会参加者数について聞いてみると、「7:3で大人の方が多く、2018年の大会出場者数は2万2000人に達しています。年間を通じた大会参加者数はかつてのブーム当時よりも多くなっています」(同上)とのこと。つまり、今回のブームは、かつてのブームを経験した30代〜40代の大人と、子どもが作り出しているのである。父親にしても、子どもと一緒に楽しむということであれば妻に対する大義名分にもなるし、「親子で遊ぶときも、親は自分の経験と知識だけで教えることができるので、コミュニケーションツールのひとつとしてミニ四駆を楽しんでいるかたも多いようです」(同上)というように、ミニ四駆が家族関係の“潤滑油”となっている側面もあるのだ。

 このまま第三次ブームは、かつての第一次・第二次ブームのような“社会現象”へと発展していくのだろうか。「一気にブームが来て、競技人口が増えるのはうれしい反面、レース数の確保や物理的な会場の制約など、顧客満足度を維持するのが難しい」(同上)と、急激なブームの到来は、痛し痒しの状況もあるようだ。「持続可能なブームという意味では、SNSなどをきっかけに、各々の方に異なるタイミングで“マイ・ミニ四駆ブーム”が来ている今の状態は理想的とも言えます。そうしたビギナーの方に楽しんでいただく施策として、公式レースと連動する形で近隣のショップにサテライトレースを開催していただくなど、沢山の参加者が集まる公式レース以外でも、手軽にミニ四駆を楽しめる場作りにも取り組んでいます」(同上)と語る。“第三次ブーム”というよりは、ミニ四駆が文化として“定着”したと言ったほうがいいのかもしれない。

「ファン×地域コミュニティ×タミヤ」というトライアングルが形成

 また、異業種によるミニ四駆コミュニティもあるようだ。たとえば、「和歌山県では、優勝者に“漆器ボディ”が贈呈される『紀州漆器カップ』が開催されていたり、岩手県では、板金工業組合のグループが全金属製のコースを作って地域の産業まつりに出展していたりと、特産品や産業と組み合わせたユニークなイベントも各地で開催されているようです」(同上)とのことで、そうしたイベント企画者へ向けた施策としてタミヤでは、「ファンの方がミニ四駆で何か企画したいと思ったときに、イベント情報を投稿・告知できるサービスを提供したり、サーキットの無償貸出、コースのレイアウトを組むためのパワーポイントデータを公式HPで公開するなど、サポート体制の整備をすすめています」(同上)というから、今や「ファン×地域密着型コミュニティ×タミヤ」というトライアングルまでが形成されているのである。

 今年で創業72年目を迎えるタミヤだが、今後の展開に関して担当者は、「かつてのミニ四駆少年達が大人になり、ミニ四駆に復帰してショップや地域のレースを盛り上げて下さっていますが、自分が楽しむだけでなく、子供世代にもその楽しさを経験してもらうと取り組んでいる方も数多くいらっしゃいます。こうした各地のムーブメントを、持続可能な形で支援をしていく、ここが今大切にしなければならないところだと思っています」(同上)と語ってくれた。

 かつての技術やブームを大切にしながら、現在のトレンドを柔軟に受け入れて機能させていく、そうしたタミヤの姿勢こそが、今の第三次ミニ四駆ブームの原動力となっているのだろう。

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